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新シリーズ『本棚に人生がある』。『鏡獅子三代』など、勘三郎をめぐる四冊。

長患いのために、更新が滞っていたが、徐々に復帰しますので、どうかご容赦いただきたい。新シリーズ『本棚に人生がある』と題して、読書と本の周辺についての雑記をお届けします。何を読もうかな、迷ったらご参考にどうぞ、お楽しみに。

 必要があって、十八代目中村勘三郎の周辺の本を、集中的に読んでいる。
 ユニークなのは、NHKの山川静夫が企画した『鏡獅子三代』(日本放送協会 昭和二十二年)。九代目團十郎、六代目菊五郎から十七代目勘三郎、そして十八代目に伝えられた『春興鏡獅子』を科学の目で追う。

 当時、山川は当時先端の科学技術を駆使した「ウルトラアイ」と邦楽の番組の司会を担当していていたので、ふたつの番組を接続する試み。「ウルトラアイ」は、当時面白く見たが、ここでは、六代目の身体のサイズを測定するくらいで、さしたる効果をあげていない。藝と数値を関連させるむずかしさを思う。

 中村勘九郎『中村屋三代記 小日向の家』(集英社 一九九五年)は、十八代目勘三郎は、あとがきに登場するだけで、彼の活躍を支えた周辺の人々への取材。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。