【追悼】無類の役者、四代目左團次のユーモアについて。
代表作ではなく、口上から追悼を書き始めることをお許しいただきたい。
襲名や追善の口上で、左團次さんが参加されると聞くやいなや、いったいどんな暴露話やブラックジョークの矢が放たれるか、楽しみでならなかった。
なかでも、抱腹絶倒というよりは、一瞬凍るような気にさせるのが、左團次さんの真骨頂だった。八十助さんが十代目三津五郎襲名の席、私が聞いたのは、「金も女もわしゃいらぬ。せめても少し背がほしい」であった。
三津五郎さんは、背が低かったけれども、『勧進帳』の弁慶にも定評