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天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎

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今もあふれる悲しみ。『天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎』(文春新書)を書くことになったのも、私にとっては宿命だったような気がしています。いつまでも忘れられず、記憶のなかで生き… もっと読む
ふたりの天才と名人のことが今でも、こころから離れません。『天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎』(… もっと詳しく
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記事一覧

【追悼】近くて遠い人。写真家、篠山紀信の想い出。

 神出鬼没の人だった。  篠山紀信と会った場所を思い出せばきりがない。青山のスタジオはも…

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長谷部浩
4か月前
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鶴松がお光を勤める『野崎村』。勘三郎の思い出。

 猿若祭二月大歌舞伎。もう十三回忌となるのか。墓参りは欠かさないようにしているが、今も、…

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長谷部浩
5か月前
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【追悼】無類の役者、四代目左團次のユーモアについて。

 代表作ではなく、口上から追悼を書き始めることをお許しいただきたい。  襲名や追善の口上…

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長谷部浩
1年前
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京都の花街、愛したり、食べたり、裏切ったり。

 京都の花街のシステムには、人を惹きつけてやまない深さがある。  是枝裕和総監督の『舞妓…

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長谷部浩
1年前
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【劇評288】彌十郎が、故・勘三郎を彷彿とさせた。『人間万事金世中』。

 強欲な家族に徹している。  新春の歌舞伎座第二部『人間万事金世中』(今井豊茂演出)は、…

長谷部浩
1年前
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【劇評287】目に焼き付けておきたい玉三郎の揚巻。

 師走の襲名披露は、一年の締めくくり。しかも夜の部は、配役を一新した『助六由縁江戸桜』が…

長谷部浩
1年前
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【劇評286】觀玄改め、八代目新之助の『毛抜』は、荒事の本質に届いていた。

 堀越勸玄は、ひとかどの役者へと進み始めた。  十二月の歌舞伎座は、八代目市川新之助襲名、初舞台の演目として歌舞伎十八番の内『毛抜』が選ばれた。新之助は、弱冠九歳。大らかな荒事ではあるし、家の藝とはいえ、役と本人にあまりにも落差があるのではないか。演目と配役が発表されたとき、危ぶむ声があがった。  現実の舞台を観て、いらぬ取り越し苦労だとわかった、新之助は、現在ある力を振り絞りこの役に取り組んでいる。その誠実さに胸を打たれた。  以前、故十代目坂東三津五郎の聞書きをした。

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ニュヨークスケッチ2 ザ・ドラマ・ブックショップのトートバッグに出会う。

 なにしろ二一年振りのNYだから、かつて訪ねた場所が懐かしい。  メトロポリタン歌劇場の向…

長谷部浩
1年前
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【劇評258】右近、巳之助の『弁天娘女男白浪』は、歌舞伎の未来を予告する。

 歌舞伎座で『京鹿子娘道成寺』を踊るのは、女方舞踊の頂点に立つひとりと認められるに等しい…

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長谷部浩
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【劇評255】幸四郎、右近の愛情深き『荒川の佐吉』

四月大歌舞伎、第二部は新作歌舞伎とめずらしい舞踊の狂言立てとなった。  真山青果が大の苦…

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長谷部浩
2年前
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菊之助の『春興鏡獅子』と『京鹿子娘道成寺』配信から見えてきた舞踊の魔

 菊之助が国立劇場とともに収録した映像「尾上菊之助の歌舞伎舞踊入門」を観た。  『春興鏡…

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長谷部浩
2年前
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菊之助の冒険、準備稿が完成しました。

 昨年のはじめから取材を重ねてきた『菊之助の冒険』ですが、ようやく準備稿が完成しました。…

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長谷部浩
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十八代目中村勘三郎のアナザーストリーズが、NHKBSプレミアムで放映されます。

「そのとき歌舞伎は世界を席巻した十八代目中村勘三郎の挑戦」が、12月7日午後九時からNHK BS …

長谷部浩
2年前
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【劇評243】包容力のある菊五郎の工藤。父の教えを愚直に守る巳之助。そして、千尋の谷を上がってきた千之助。

 九月の半ば、帯状疱疹という病気に罹患した。  発熱と激痛に襲われて、一週間はほぼ寝たきりで過ごした。そののちも、患部の治りが遅く、毎週皮膚科に通った。また、困ったことに、鈍痛と電気が走ったような痛みが残ったので、二種類の強い痛み止めが手放せなくなった。劇場通いもままならず、厳しく辛い日々が続いていた。  歌舞伎座も十月はなんとか痛みを押して観た。  十一月になっても痛みは治まらない。  困ったことに、強い痛み止めは、眠気を誘う。十一月吉例顔見世大歌舞伎の第二部は、六日に観

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