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尾上菊之助の春秋 その貳 夏 2020-

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すでにご愛顧いただいている「尾上菊之助の春秋」が、収録記事80本を超えて、重くなっていますので、新シリーズを始めることにいたしました。これまで同様、定期マガジン「長谷部浩のノート…
歌舞伎の正統な継承者であり、『風の谷のナウシカ』歌舞伎版を企画した冒険者としての尾上菊之助の現在に…
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#尾上菊之助

【劇評286】觀玄改め、八代目新之助の『毛抜』は、荒事の本質に届いていた。

 堀越勸玄は、ひとかどの役者へと進み始めた。  十二月の歌舞伎座は、八代目市川新之助襲名…

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長谷部浩
1年前
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【劇評259】海老蔵の復活。歌舞伎座で炸裂する『暫』の大きさ。

 六月歌舞伎座は三年ぶりの團菊祭。三部制を取っているために、大顔合わせは限定されるが、第…

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長谷部浩
2年前
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菊之助の『春興鏡獅子』と『京鹿子娘道成寺』配信から見えてきた舞踊の魔

 菊之助が国立劇場とともに収録した映像「尾上菊之助の歌舞伎舞踊入門」を観た。  『春興鏡…

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長谷部浩
2年前
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「尾上菊之助の歌舞伎舞踊入門」が、明日から配信される。

 尾上菊之助さんは、現在、歌舞伎舞踊の頂点に立つ一人ですが、国立劇場が独自に収録した『春…

長谷部浩
2年前
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【劇評252】正確な描画力にすぐれる菊之助の『盛綱陣屋』

 三月の国立劇場は、『近江源氏先陣館』を菊之助が出した。  「歌舞伎名作入門」と題したシ…

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長谷部浩
2年前
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蜆売り三吉、五代目菊五郎の売り声

 二月歌舞伎座第三部「鼠小紋東君新形」について、続編を書きます。  この芝居の初演は、安…

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長谷部浩
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丑之助の蜆売り三吉は、裸足で雪の庭を歩いたか?

 二月歌舞伎座第三部「鼠小紋東君新形」。  大正十四年三月、市村座。九十七年前のことである。  六代目菊五郎が稲葉幸蔵を勤めたとき、蜆売りの三吉は、七代目梅幸(当時の四代目丑之助)だった。雪の日に稽古したが、何度稽古しても、六代目は首をタテに振らない。 「バカヤロ、そりゃ畳の上の歩き方だ。おめえの役は蜆売りの三吉だぞ。最古の筒っぽを来て、紺の腹がけにひざの切れた股引きをはしょったわらじばきの蜆売りという役が、全然ハラに入ってねえじゃねえか。おれが見せるからよく見ておきねえ

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【劇評248】芯に立つ役者の力量。菊之助の『鼠小僧次郎吉』

 鼠小僧すなわち義賊との思い込みがあるが、黙阿弥の『鼠小紋東君新形   鼠小僧次郎吉』は…

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長谷部浩
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三月国立劇場。菊之助の『盛綱陣屋』は、丑之助が鷹揚たる小四郎を見せる。

 私信ではなくても、封書を開けるのは楽しい。愛用のペーパーナイフを使って、のり付けされた…

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長谷部浩
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【劇評246】偉大なるマンネリズム。菊五郎劇団の『南総里見八犬伝』

 いつもと変わらない正月を迎える嬉しさ。国立劇場の初春公演は、菊五郎劇団総出演の『南総里…

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長谷部浩
2年前
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菊之助の冒険、準備稿が完成しました。

 昨年のはじめから取材を重ねてきた『菊之助の冒険』ですが、ようやく準備稿が完成しました。…

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長谷部浩
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【劇評245】菊之助、勘九郎。哀惜こもる『ぢいさんばあさん』。

 目を瞠らせるスペクタクルばかりが歌舞伎ではない。  台詞を大切にした世話物が観たいと思…

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長谷部浩
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【追悼】二代目中村吉右衛門の夢

 悔いはないといえば、悔いはない。  悔いがあるといえば、悔いがある。  死は、だれにも等…

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長谷部浩
2年前
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菊之助「読書日記」と歌舞伎の未来。

 歌舞伎役者はどんな本を読んでいるのだろう。  八代目坂東三津五郎は、教養人で、多数の著書を持っていることでも知られている。歌舞伎だけではなく、骨董などの趣味が知られ、エッセイも小技が効いている。  若くして亡くなった十代目は、菊五郎劇団の重鎮だった父の九代目に「おまえは八代目の血を引いている」と半ば揶揄されたと語っていた。つまりは、愛書家は、変わり者とされる世界なのだとわかる。  尾上菊之助が、日本経済新聞の読書欄に「読書日記」として四回のエッセイを寄稿している。  

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