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記憶のメカニズム 知識の定着に必要な3つの過程を理解しよう!

記憶と言われると学生時代の勉強を思い出します。テスト勉強に向けて暗記をしようと何度も繰り返し声に出したり、紙に書いたりしてみる。

しかし、覚えた矢先に忘れてしまう。記憶をできずに勉強そのものが嫌になってしまう経験は皆さんされているのではないでしょうか?

その苦しみを和らげるためには、記憶のメカニズムについて学ぶことです。

人間の記憶のメカニズムは、学習心理学の分野で数多く研究されています。

心理学の世界だけでなく、私たちの日常生活にも生かせる知識がたくさんあります。


記憶を司る「海馬」

大脳辺縁系の「海馬」は記憶の形成に重要な役割を果たしています。

海馬が障害されると新たに記憶をつくることができなくなります。

以前のことを思い出せない(逆行性健忘)、新しいことを覚えられない(前向性健忘)状態は、記憶障害と言われます。

記憶障害は、高次脳機能障害や認知症みられ、海馬が障害されることで表れる症状です。

記憶の3つ過程

記憶は、以下の3つの過程を通して定着します。

①記銘(コード化)
②保持(保存)
③再生(検索)

記憶の過程は③の再生の段階が成功することで定着が証明されます。

それでは、記憶の過程を一つずつ解説していきます。

①記銘(コード化)

記銘は、入力情報を脳内で処理できる形に符号化(コード化)することです。

私たちは、常に外界から刺激を受け取っています。

この刺激から得られた情報は、神経系や感覚器官によって処理され、あるものは記憶され、あるものは忘れてしまいます。

記銘の段階では、情報の重要度、好感度によって記銘の成功率が変化します。

嫌々やる勉強よりも、大好きな趣味では、記銘の成功率は高くなります。

楽しみながら情報収集するほうが記銘の成功率は高くなります。

記銘は、記憶の第一関門ともいえる非常に大切な段階です。

②保持(保存)

「保持(保存)」は記憶を定着させる段階です。

記銘に成功すると、次は得られた情報を忘れないように留めておく「保持(保存)」の段階に移ります。

何度も何度も復習して、何とか記憶に残そうと努め、リハーサルを繰り返します。

リハーサルを繰り返すことで、短期記憶から長期記憶に移行され、長期間記憶を保持できます。

これは、試験勉強をする時に相当します。

少しでも記憶に残そうと一夜漬けで記憶したり、何度も紙に書いたり、声に出したりして、記憶の定着を図ろうとします。

学んだ内容を忘れそうになったときには、もう一度、教科書を読み直したり、復習することが、記憶の定着を安定させることができます。

③再生(検索) 

「記銘」→「保持」の段階に成功すると「再生(検索)」に入ります。

この段階は、実際に試験を受けるときなど、一生懸命に学んでいる内容を思い出す段階です。

記憶は「再生」の段階が成功して、初めて記憶の定着が証明されます。

緊張した場面では何かを思い出そうとするとパニックを起こして思い出せないことがあります。

そんなときは、少し心を落ち着かせて、冷静になるように努めることで、危機状態を打破することができます。

系列位置曲線

人間の記憶は、初めの記憶と、最後の記憶が定着しやすいです。

系列位置曲線

10個の単語を記憶して、記憶した単語をすぐに思い出そうとします。

そうすると、最初の単語と最後の単語の再生率が高くなり(初頭効果と新近効果)、真ん中の単語の再生率は低くなります。

何かを短期間に覚えようとする時は、初めと終わりの記憶の定着が良いことが明らかにされています。

相手に伝えたいことがあるときは、初めと終わりに持ってくるなど、記憶に残りやすい工夫をしてみましょう。


リハーサル

「リハーサル」は、短期記憶から長期記憶に移行するために重要です。

リハーサルには、維持リハーサルと精緻化リハーサルに分けられます。

維持リハーサル

維持リハーサルとは、ただ単に繰り返し、情報を一時的に記憶に留めて置くだけのリハーサルです。

「りんご・さる・木」の3つの単語を覚える時に、

「りんご・さる・木、りんご・さる・木、りんご・さる・木、・・・」と、

復唱するだけのリハーサルです。

精緻化リハーサル

精緻化リハーサルは、意味や関連を考えて、深い処理を行うリハーサルになります。

先程の「りんご・さる・木」の3つの単語を覚える時には、

「さるが、木に登って、りんごを取って、食べた」など、

単語を関連させて覚えていく手法です。

維持リハーサルよりも精緻化リハーサルの方が、長期記憶に移行しやすいことが分かっています。

記憶の定着を図りたい時は、維持リハーサルよりも精緻化リハーサルを意識してみましょう。


フラッシュバブル記憶

私たちは、あまりに衝撃な場面に出くわすと、覚えようとしなくても長時間記憶に残る傾向があります。

これは「フラッシュバブル記憶」と言われます。

非常に衝撃的なニュース、出産、結婚、死別、事故など、

強烈な印象を持つような出来事については、時間が経過しても思い出しやすい傾向にあります。

フラッシュバブル記憶は、思い出すのに特別な努力を必要としません。

場合によっては、忘れたくても忘れられずに強烈な記憶となって、私たちを苦しめることもあります。

【まとめ】

○ 記憶は大脳辺縁系の「海馬」が司る。
○ 記憶は、3つの過程でを通して定着する。
 記銘(コード化)→保持(保存)→再生(検索)
○ 記憶は、最初と最後の記憶が定着しやすい。
○ リハーサルは短期記憶を長期記憶にさせる。
 維持リハーサルと精緻化リハーサル
○ フラッシュバブル記憶は衝撃的な出来事を記憶する。


今回は記事は以上になります。

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