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理系はロジカルな人、なんて言わないで

皆さま、おつかれさまです。
後継経営者のお悩み解消に【徹底伴走】するコンサルタントの長谷川です。

早速ですが、「ロジカルシンキング」という言葉を聞かれて、どのようなイメージを持たれますか?

私は経営者~一般社員を対象にした「ロジカルシンキング」の研修を行っており、研修のはじめにこの質問をすると、次のような答えが返ってきます。

「筋道が通っている」
「理にかなっている」
「知的でクール」
などなど……

「ロジカルシンキング」は「論理的思考」のことで、基本的な定義は「物事が体系的に整理されており、話の筋道に矛盾がないこと」です。したがって、「ロジカルシンキング」の共通した認識は大体の人がお持ちだと思っています。

さて、突然ですが、私は理系人間です。
高校は理系クラス、大学~大学院の6年間では工学を学び、そして就職先は化粧品会社の研究員。だから、何か発言や意見を述べると、「長谷川さんは理系だから、ロジカルに考えられていますよね」と言われることが本当に多いです。

確かに、私は発言する時に根拠をできうる限り集めて発言するようにしています。それは、学生時代の経験がベースにあるからではありますが、だからと言って私は「理系=ロジカルな人」とは思っていません。むしろ、感覚的に話をしてしまうタイプだと思うくらいです。そのため、しっかりと発言しないと思うので、根拠を集めるようにしています。

ロジカルな人、そうでない人

ロジカルシンキングや論理的思考に関する書籍や記事を目にされた方はご存じかと思いますが、これらの思考法にはフレームワークと言われる「考え方の型」が何種かあります。例で挙げますと、

・ロジックツリー(ピラミッド構造)
・縦の論理(因果関係)と横の論理(MECE)
・帰納法と演繹法
・Where、Why、How

というものです。私は、これらのフレームワークに沿って物事を考える習慣やスキルを身に付けているだけで、本質的にはロジカルな人間ではないと思います。ちなみに、「理系はロジカルな人」という考えは「関西人は皆面白い」と同じくらいの先入観バリバリの話だと私は思っています。(※私は関西出身ですが、まったく面白くないです……)

一方で、「自分はロジカルなタイプ」「論理的思考で常に考えています」という方と話をすることがあるのですが、本当にそうなのかな……と疑問符を持つことも少なくありません。

話をお聞きすると、確かに筋道立てて矛盾なく考えておられるので論理的だなと思います。しかし、冒頭の「ロジカルシンキング」の定義にあります「体系的に整理」の部分についてイマイチに思えます。そのうちの腑に落ちない点について質問すると、急に話のキレが悪くなる。つまり、結論ありきの根拠集めをしている発言だったわけですね。

このようなパターンは俗に「How思考」と呼ばれ、問題に対する根本原因を捉えて解決へ導くのではなく、解決策や打ち手・やり方にすぐ飛びついてしまう思考パターンを指します。この思考パターンはロジカルとは真逆の「思い付き」で、意外とこういう方は多いと思います。

昨今のビジネス環境において、働き方改革に代表されるように、様々な面で生産性向上が求められています。現場に近い立場の方であれば、思い付きの「How思考」で思いもよらないアイデアが生み出されることもあるので良いと思います。

しかし、経営者~管理職の皆さまは「How思考」ではいけないと思います。なぜなら、現状を適切に掴み、限られた条件の中でベストな意思決定が求められるからです。そのためには、「どこが問題か(Where)」「なぜ問題なのか(Why)」「どのように問題を解決するか(How)」の順番で問題を解決する思考が重要です。

実践・ロジカルシンキング

再び「ロジカルシンキング」の定義を振り返りますと、「物事が体系的に整理されており、話の筋道に矛盾がないこと」です。私は研修の講師をしておりますが、本質的にはロジカルな人間ではないので、書籍を読んだり、「脳の筋トレ」をすることで、「ロジカルシンキング」をより多くの人に伝えることができるようにしています。

その「脳の筋トレ」の中で私が最も有効だと思うものが「フェルミ推定」です。フェルミ推定とは、「一見予想もつかないような数字を、論理的思考を頼りに概算すること」です。フェルミ推定は「体系的に整理すること」と「筋道を通して検討すること」の「ロジカルシンキング」に重要な2つの要素を兼ね備えているので、とても良い「脳の筋トレ」になります。是非、お試しください。

例えば、「ディズニーランドの一日の売上高」を予測するケースです。売上高=数量×単価ですので、「ディズニーランドの入場者数×1人当たりの客単価」として考えることができます。この後、入場者数を因数分解し、「入場ゲート数」や「アトラクション数」、「制限人数」など検討して、より精緻に近づけていきます。

最後に、これは私の実感なのですが「ロジカルシンキング」に理系も文系もないと思います。「ロジカルシンキング」はスキルなので、トレーニングすれば誰でも身に付けることができます。とにかく、慣れたもの勝ち、使いこなせたもの勝ち、だと思います。また、自分の主張を相手に伝わりやすくすることにも繋がりますので、経営者~管理職の皆さまにこそ、是非とも身に付けていただきたいスキルだと思っています。

今回の記事が誰かのお役に立っていれば嬉しいです。
また次回も、宜しくお願い致します!

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