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【ミニ社長塾 第8講】プログラムディレクターの視点から見た、今回の企業視察会の3つのポイント

おつかれさまです!
中小企業診断士で、社長の後継者に【徹底伴走】するコンサルタントの長谷川です。

先日18日、社長塾のプログラムとして企業視察会を行いました。
視察訪問先は「株式会社吉村」さま
日本茶などの包装資材の製造販売を営んでおられる会社です。

第8回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞などの多くの賞も受賞されています。まさに「強くて愛される会社」の現場を見るうえで、一番のベンチマーク企業だと思います。

そこで、今回は「どうすれば強くて愛される会社になれるのか」をテーマに話してみたいと思います。プログラムディレクターである私から、皆さまに押さえていただきたいポイントをお伝えする内容です。

なお、今回の吉村さまの経営はあくまでも「強くて愛される会社」の一例であり、ベンチマーク企業の一つであることにはご留意ください。

1.競争力の視点

まずは「強くて」の部分。どのような池クジラを築いておられるか、という点については次のように表せます。

単なるパッケージ包装ではなく、フルサポートを通じた付加価値向上・販促支援まで行う「茶業界のビジネスパートナー」

包装資材の製造販売にとどまらず、販売提案から売り場づくりも行うサービス業によりWTP(Willingness To Pay:喜んでお金を支払う)が創出されています。

ここでポイントなのは、本格的にサービス支援まで行われたのは確かに今の社長になってからですが、製造販売については元々強みとして持っていた一括製造によるものです。

もともと優れた技術力や商品力があるものの、時代の変遷とともに十分活かせなくなってきたというのは、実は他の「強くて愛される会社」にも共通している話です。

そこで、お客様から選ばれるためにはどうすればよいのか? そのためには、差別化や独自性を徹底的に考え抜くこと。これが池クジラを築くうえで、最も重要な意識だと思います。

今回の吉村さまの場合は、キーとなったのは「消費者インタビュー」でした。BtoBtoCのビジネスモデルの吉村様は取引先のBを見ていさえすればよいのですが、その取引先が対するお客様であるCに直接アプローチをしました。

これは、取引先にやってくるお客様はお茶を飲む文化を持っているお客様(ヘビーユーザー)ですが、そうでないお客様(ライトユーザー)から選ばれないと意味がない、と考えられたからです。

このお客様の声に耳を傾ける、というのはマーケティングでは基本のキですが、十分にできている会社は果たしてどのくらい出来ているのだろうか? というのは橋本社長からの示唆でした。

どうしても自社の技術ありきのプロダクトアウト思考になりがちですが、購入してくださるお客様の姿を見ることなしに商品やサービスの提供はあり得ません。マーケットインの発想こそ重要だと、改めて学びました。

競争力の視点を整理しますと……

①もともと一定水準以上の技術力を持ってはいたが、それを差別化・独自性として活かせてはいなかった。
②ターゲットの見直し・絞り込みを行い、顧客インタビューし、ニーズを掴む。
③マーケットインの発想でお客様の日常の課題の解決に自社ならどのような解決策が有効かを考え、実行する。

このような流れですね。
特に①については、自社の社員や既存のお客様にインタビューを行い、整理していくことも有効だと思います。

2.社員力の視点

今回の視察会でも多くの方が「社員の自主性をどのように引き出しておられるのか」というところに焦点を当てられていました。

この話は「やり方」ではなく「あり方」がとても重要だと思っています。

今回の吉村の橋本社長の場合、「自分の弱さを受け入れた」ということが大きかったように思いました。

社長講話の中で最も印象的だったのが「コインの表裏」の話です。
長所と短所はコインの表裏の関係性で、自分の短所は人の長所で補ってもらい、逆に自分の長所で人の短所を補う。そのような相互補完の関係がチームビルディングには必要だという話です。

この話を人から聞いてすごく楽になった、と語った橋本社長の表情が本当に印象的でした。

自分にはできないこと、足りていないことなどと向き合い、それでも社長としての使命感や責任感もあり何とかしなければならない、という苦しい気持ちは、参加された経営者の方々はとても共感されたところだと思います。

そこで、社員の力を借りて前に進んでいく。社員を駒としてではなく、ビジネスパートナーとして尊重し、「会社のために自分がやらなければ」という空気を社員の間にもつくられたことは見事です。これは、アートの世界だと思いました。

一方で、社長の使命感や責任感は会社を永続させるため、であったり社員とその家族の生活を守るため、であったりするはずです。だからこそ、自分が何とかしないと、と考えてしまうのは無理もないです。同じ立場であれば同じように考えると思います。

しかし、重要なことは「勝ち続ける」のではなく、いかに「負けないようにするか」です。そうであれば、社長が意思決定する上で、納得できる情報を集める中に社員に任せる部分があっても良いのかなと思います。

また、社長と社員をつなぐものの一つが「経営理念」です。価値観が多様化しているので、必ずしも共感して行動規範みたいにする必要がないことを今回のケースで私は学びました。

しかし、社長の所信表明みたいなものとして理念を機能させることはできるので、一度だけではなく何度も繰り返し伝えることは重要だと思いました。そして、言ったからには誰よりも体現していることは重要です。これにより、社長の本気度が伝わり、社員との信頼関係の構築につながるからです。

3.自主性を引き出すもう一つの視点

社員の自主性を引き出すための仕掛けについては、色々と話がありました。一例として印象的だったのは利益の均等分配の話です。

成果分配ではなく均等にすることにより、社員同士の会話を自然発生させ(来年も頑張ろうね! という会話)、互いに励まし合う環境。そして、自分の頑張りが自分に返ってくる意識を醸成することにより、自分から成果を取りに行く行動につながる、そうです。

他にも、発言を活性化させる方法など色々とありましたが、事業のポートフォリオが博打になっていないということは大きいと感じました。

プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(以下、PPM)の話なのですが、しっかりと利を得られる「金のなる木」や「花形」、そして明日の飯の種となる「問題児」の事業に対して適切に自主性を発揮させる場を持たせているように考えます。

だからこそ、うまくいかなくても大丈夫! となり再チャレンジができる。
一方で、自主性を発揮して成功した体験は次の行動意欲につながるので、さらに自主性をもって行動できるようになる。
この部分はサイエンスの世界だと思います。

自主性を引き出すためには理念や価値観の共有も大切ですが、成功体験の積み重ねで自信をつけていくという視点も見逃せないところだと思いました。

今回はここまでです。
また、次回の【ミニ社長塾】も、どうぞよろしくお願いいたします。


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