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リネンの理念

絡まった糸をほどくのはやめた。
もう、身にまとうものは
わたしにはいらないと決めたから。

素っ裸でも、堂々と歩けるくらい
圧倒的な自分感を静かに創造して生きたいのだ。

前しか見ていない、牡羊の力を借りて。

晴海たお

ひと様から見たら、ただのしわしわの服に見えるかもしれないが、まるで水面のような細かなしわのその生地を、わたしは『美しい立体感』であると思っている。
『美しい立体感』、それがリネン(麻)の魅力なのだ。


初めて、リネンの服をきたのは今のブランドに入社した春だった。
デニムとTシャツ、ウールのニットがわたしの日常着だったし、このブランドで初めて買ったのも、コットンニットのカーディガンだったので、わたしにはあまり馴染みのない生地だった。

その当時は、カラフルなリネンのコレクションが多く、先輩たちが素足にサンダルでしわしわのリネンのアイテムをナチュラルに気持ちよさそうに着こなすのを見てわたしも真似をして買ってみたのだ。
そして、着てみてすぐに虜になった。
今でも良く覚えている。
細い番手の糸で密に織られた、黄緑色のミモレ丈のプリーツスカートだった。


リネンの歴史は古く、紀元前8000年頃と言われている。
エジプトの王のミイラを包んでいたのもリネンで、通気性・保温性・吸水性に優れていて、とにかく丈夫だ。
その丈夫さゆえに、ヨーロッパでは100年以上前のリネンも今だに使われているという。
そういえば、わたしのお気に入りのアンティークショップでも、リネンのアンティーク生地がたくさん置いてあったな。


そんな、リネンの魅力は、着ている間にできるしわ感だ。
わたしは、そのしわ感を『美しい立体感』、だと思っている。
そのしわ感に包まれると、不思議とリラックスできる。
しわしわで、少ししとっと重さのあるリネンの服を着ているとなぜか身体の力が抜けていくのだ。
まるで、風呂上がりの裸にバスローブをまとっているだけのように。


シャツやハンカチにしっかりアイロンをかけたいタイプの方にとっては、このリネンのしわ感には違和感を持たれる方もいるかもしれない。
リネンは、どんなにしっかりアイロンをかけても、着ていればすぐにしわができてしまう。
だから、フォーマルな場ではあまり着ることはないかもしれない。


だがしかし、わたしはそんなリネンが心底好きだ。
わたしが長年勤めているブランドでは、同じ生地のリネンをデザインを変えて出すことも多く、わたしは一昨年買ったワイドパンツに、去年買ったジャケットをセットアップにして楽しんでいる。

扱っているリネンは、『マスターズオブリネン』と言って、品質管理が徹底しているヨーロッパ産のリネンだ。栽培から製造過程まで厳しく管理されたもの。
それは、SDGsにもつながっている。


リネンは丈夫で、10年単位で着ることが出来る、環境にも優しい生地。
経年劣化さえも『育てていく』と捉えて、ぜひ長く愛用して欲しい。

今回はなんだか長々と熱く語ってしまった。
以上が、リネンの理念であります!


さあ、あなたも今年はリネンのアイテムを一つ迎え入れてみてはどうだろう?
かくゆうわたしは、今年は、リネンのロングワンピースを買う予定だ。
昨日、試着してみたら、コーディネートの問題か?
アルプスの少女ハイジのようになってしまった。。。

かなり大人のハイジを店頭で見かけたら、それは、わたしかもしれません。
その時は、悪しからずご容赦ください。




晴海たお




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