【詩】 夏の宇宙人
冷たくて、甘いレモンティー。
サラダの上に乗っかったフレンチドレッシング。
夏休みのお泊まり会は、わたしの家にはない味ばかり。
さっちゃんの家には、グッピーがいて
赤と青の揺れる尾びれをいつまでも見ていられた。
夏祭りのあんず飴は、あんずじゃなくてすももを選んだ。
うちでは金魚は飼えないから、誰かがすくうのを見ているだけ。
好きなあの子に会えたらいいな、わくわくしながら下駄を鳴らした。
あの頃の夏は、特別だった。
期間限定で、違う星に来たみたいに。
わたし達は、小さな宇宙人になる。
暑い暑いと、過ぎていく大人のわたしの毎日は
きっとどこかの子供の違う星になっている。
晴海 たお