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味わう、喜びのエネルギー。

そのレストランは、地下にある。
頭上には、ローズマリーが茂っていて
打ちっぱなしの壁に少しカーブした階段を降りる。

自由が丘にある洋食店、
『ラトリエ・プリュ』。


【ニース風サラダ】
湯むきされたミニトマト、硬めに茹でたインゲン、
絶妙な茹で加減のゆで卵のスライスに、
程よい塩気のアンチョビとツナ。
そして舌触りのいい茹でたじゃがいも。
それらがひとくちサイズにちぎられた柔らかいグリーンと
爽やかなスライスオニオンの上にバランスよく散りばめられている。

味付けは、おそらく、塩とオイルとビネガーだろうか?
詳細はわからないが、シンプルでも素材たちが手を取り合ってサラダの味を作っている、そんな味だ。
そこに、わたしはテーブルの上の黒胡椒を少しかけるのがお気に入りだ。


丁寧に湯むきされたであろうミニトマトを
ゆっくりと噛みながらトマトの酸味を味わう。
アンチョビやツナは、ゆで卵やじゃがいもと一緒に少しずつ食べる。
『インゲンて、茹で加減が難しいんだよな。。。』心の中でそう呟きながら
インゲンの歯応えを楽しむ。
グリーンとオニオンは、少し多目にフォークに刺して口いっぱいに頬張る。



【ハンバーグ・デミグラスソース】
まず、つけわせのメンバーだ。
ニース風サラダと同じく茹でたじゃがいもとインゲン、
軽く焦げ目をつけたナスと、
優しい甘さと少しの酸味を全体に染み込ませた人参のグラッセ。

主役のハンバーグは、でしゃばらない下味が、デミグラスソースとタッグを組んでいて、そのままでも、ご飯とも合う。
これぞ、ハンバーグのお手本、だとわたしは思っている優等生だ。


まずは付け合わせを小さくナイフで切りながら、デミグラスソースをつけながら
制覇していく。
中でも、人参のグラッセを食べているときが一番ニヤニヤしてしまう。
人参のグラッセが苦手な人も多いだろうか?
わたしも、以前は、優先順位の低い存在だった。
が、しかし、ここの人参のグラッセは、何かが違う。
うまく説明できないので、ぜひ、食して確かめたいただきたい。

そして、最後に、ハンバーグとご飯の共同作業に入る。
どちらかが残らないよう、同時にゴール出来るよう、
バランスをみながら交互に口に運ぶ。

わたしは、大人なので、しかも、このレストランには一人で来ることも多いので
控えめに、ニヤニヤ、もぐもぐするのだが、
頭の中は、食べ終わるまで、うまうまがド派手にパレードしている。
カウンター席の椅子は高いので、ときおり、足をぶらぶらさせながら
だだ漏れる喜びを静かに表現してしまうのだ。



美味しいものを食べているときというのは、『今、この瞬間』を感じられる。
そして、自然と感謝の気持ちが湧いてくる。

一つのミニトマトが、育って、収穫されて、シェフの手で丁寧に湯むきされて、
わたしに出会うまでが、走馬灯のように脳内を巡る。
少し、大袈裟かもしれないが、そのくらい、わたしにとって
ここのレストランでの食事は特別な時間だ。


丁寧な料理に誇りを感じる職人風のシェフのご主人と、
一人一人のお客様への気配りがさりげない凛としたギャルソンの奥さま。


わたしの人生で、これから大切な記念日ができたとき、
大切な人たちと喜びを分かち合うときは、
このレストランで食事をしようと決めている。


店の名は、『ラトリエ・プリュ』。
ラトリエはアトリエ。
そこにつく、+(プリュ)の意味は?

わたしにとっての、このレストランでのプリュは
味わう喜びのエネルギーだ。



晴海たお



食いしん坊の『食神』を二つもつゆえ、自分なりの食へのこだわりは強い。
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