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『バンオウ-盤王-』第44話「ハンターアンナ」感想 将棋やってる場合じゃねえ!!!!!!!!


◆ハンターアンナ

11月17日(金)に『バンオウ-盤王-』の最新第44話が配信された。

お兄ちゃんのおかげでもある月山さん完全復活&完全体化。「教団のハンターは頭がおかしい」とお前だけには言われたくねーよ発言が早速今週もトバしてくれるのだが、今週不穏なのはサブタイが「ハンターアンナ」という件。アンナさんは月山さんの活躍を見届けてくれるわけだが、棋士ではなくハンターであることを主張しているのは「まさかここで吸血鬼ハンターの話…?ここで…??」ともう不穏な予感しかしてこない。

月山さんの黒いオーラかっこいいなあ。『新テニスの王子様』の真田さんみたいな黒いオーラだ。テニスのほうはいつものギャグ要素を兼ねつつも、実はスゴ味があって実はかっこよくて好き。月山さんのももれなく好き。

月山さんに食いつくアンナさん。テレビ越しからは例の黒いオーラは映っていない。だがこのコマの視点はいったい誰によるものか。そしてどう見えるかがだ。われわれには見えてるようで見えてないということだ。

◆黒いもやのようなもの

アンナさんの吸血鬼ハンターとしての回想が描かれた。えっこのタイミングで!?そしていつ見ても別漫画すぎるんだわ!!吸血鬼ハンターパートは相当久々だからなあ…(販促宣伝番外編を除く)

つーか、この漫画における吸血鬼はちゃんと人を襲うやべーやつもいるんだな。月山さんが例外すぎるのだろう。お兄ちゃんは…あの人マジで人間根絶やしにしたいのかどうか意図が読めないが…まあ絶対悪ではないはず。将棋教室の件を汲み取ってくれたし。

あっ…
本作における吸血鬼の特徴は「新月の日のみ、吸血鬼から黒いもやのようなものが出てくる」ということが判明した。そして、この日は新月だった。

すべての吸血鬼ハンターが共有する吸血鬼識別能力ではない。
会話を見るに、アンナさんや伝説の吸血鬼ハンターのみが持つ稀少な能力なのだろうか。吸血鬼を根絶やしにしたいハンター側からすれば大変重宝させられるのは間違いない。というか、アンナさんはその伝説のハンターの子孫でもあったりするのだろうか?そんな激レアスキル持ちが現在将棋にハマっているのは変な話だが…

ああ…あああ………この日がきちゃった…

◆お前を殺す

「…ツき…やマ
…吸血鬼…
…コロ…す…」

先程まで楽しそうに観戦していたようには見えないアンナさん。
完全に戦闘蛮族の目である。理性を失っているようなセリフからして吸血鬼よりも吸血鬼のようななにか見えてくる。アンナさんはこれでも正気なのかもしれないが…

いやあ、これは怖いもの見たさがあるヒキだなあ。
だがしかし、久々の吸血鬼パートでもあることからガッツリソレを掘り下げてくれる丁度良い機会だ。ヤバイ負の展開でありながら、色々なことが明かされるのが楽しみなメリットもデカい。
何故アンナさんは吸血鬼ハンターになったのか。アンナさんは別に好きで吸血鬼ハンターをやっているわけではないんだよな。月山さんが吸血鬼だと分かった現在、殺そうとするまで何の因縁があるのだろうか。一族の宿命とかそういうものなのだろうか?

月山さんは次回狩られる側になってしまうが、吸血鬼としてのポテンシャルは未だ不明だ。もしかすると主人公らしく伝説の吸血鬼の血を引き継いでいるとか、祖先が伝説のハンターと戦ったことがあるとか、まあそのへんはベタを超えたベタなのだが、別にあってもおかしくないだろう。
月山さんの戦闘能力も気になる。下手に人間を傷つけるのは解釈違い極まりないし、そも対局後は大分ガッツリ疲労しているから戦意はないはずだ。

だがしかし、お兄ちゃんが完全体元四郎と言い出したのが大いなる前フリに見えてきた気がした。黒いもやのようなものとかバフかかってんじゃねえかなあ。お兄ちゃんの思うツボになったら割と笑えない展開になるのだが…じょ、冗談だよね??

◆読者を没入させる構成の巧さ

今週は「山岸九段の掘り下げ全くなしにあっさり勝負ついちゃったよ!?」というモヤモヤは微かに残っている。将棋パートがこうもあっさり消化されるとちょっと行き急いでいるみたいで不安はあったのだ。まあでも山岸九段の掘り下げはそのうちやれなくはないだろう。今後の展開ないし番外編でやるのも良し、単行本の空きページでこっそり描き下ろすのも良し。流石にこのまま退場はこの漫画らしくないので。

今週の展開のミソとなるのは、月山さんの黒いもやに注目を募らせたことで、今は竜王戦のことを気にしている場合じゃないのが巧かった。もっと言うなら、将棋をやっている場合ではない。将棋漫画なのに。

人によっては重箱の隅を突ける回でもある。
当然、ぼくは全くそのつもりではない。新月の日なのは都合の良いタイミングだろうし、黒いもやは突然生えてきた後付設定のように見えてしまうかもしれない。だが、負のご都合主義とは安易に言わせない面白さがあった。
というか、初読時はそんなことを思う余地は全然なかった。そういう重箱の隅案件を明後日の方向に放り投げて作中へ没入させられたからな。シームレスな自然な展開の切り替え方が巧い。あとまあ、こうして吸血鬼バレもいつかやる予感はしていたし。その時が来た、ただそれだけだ。

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