まよいゴキブリ

昨夜、目の前の白い壁にぽとりと大きな虫がとまった。
セミかと思ったら、大きなゴキブリだった
これは猶予ならんと思って
手元にあった本で叩いた。
見事にゴキブリの後ろをたたき、それは逃げ去って行った。
ゴキブリは今期の初めに見かけて、全幅の信頼を寄せるホウ酸団子を置き、それで死滅させたと思っていた。
こんな大なのがいたなんてショックだ。
逃げた方向に、ホウ酸団子を置いてみる

しばらく経つと、台所にゴキブリの影があった
それでまた、そこにホウ酸団子を置いてみる。
夕食を食べていると、ゴキブリはなぜか再び居室に戻ってきて、居室の壁の上部天井近くをなぜかグルッと一周し始めた。
まさか私が食べている夕食を狙っているのか?
ホウ酸団子を居室に置いて様子を見ていると、居室の上部を一周し、ロフトの中を飛び、、

ロフトの中で卵でも産まれたらどうしよう。
夕食を狙って上から飛んできたらいやだなという恐怖。

しかし、そのゴキブリは、律儀に居室の上部を2周目、3週目、、
なんだこのゴキブリ
大きなゴキブリっていうのは、あっという間に台所の隅に逃げ込んで追えなくなるものではないのか
それとも、1匹ではなくて実は何匹もいるんだろうか
恐怖が襲う

ゴキブリが見えなくなり、カサカサと音がする
今夜はこの音に悩まさされるのか
寝ているときに手の上を這われたらどうしよう?

そう思っていたら、ベッド脇の壁の手の届くところをゴキブリがよたよたと歩いていた。
居室を何周もして疲れたのか?
なんなんだコイツ
すかさず、今度は冷静に近くにあった新聞紙を取って、ゴキブリに挑んだ。
少しすべり、ゴキブリをスルリと落としたが、ベッドの布の上に落ちたゴキブリはすき間に逃げ込めず、新聞紙で捕らえる事ができた。
逃がさないように、新聞紙でつかみ丸め込む。
再び生き返っても大丈夫なように、新聞紙ごと、ビニールに入れて密封する。
これで大丈夫。

その後、ゴキブリを見ないところを見ると
複数いたのではなくて、1匹だったようだ。
それにしてもあのゴキブリ、、
実は前世が人間で、なにかを私に伝えようとしていたのじゃあるまいなと思いつつ
いやいや、そんな事はないだろう。
もしそうだったとしても、ゴキブリからの伝達は無理だし

この家のゴキブリなら、とっとと台所の隅に隠れたろうけれど
きっと、今日どこかから迷い込んできたゴキブリだったんだな
それで、そいつ自身もなにやら戸惑っていたし、
大きな体をしていたが、栄養不足か水不足かなにかで弱っていたのだろう
弱っていたのに動き回ってますます弱る
まるで私のようだ

それにしても、きっちり同じ行動を繰り返す変なゴキブリだった
まるで神経質な人間のようだ

ゴキブリと戦ったせいで、ようやく治りかけていた腰の痛みが再び悪化したが
ゴキブリを退治できたので気持ちは晴れたかも
成仏してくれ
神経症の人間みたいなゴキブリさん
来世は、話せるものに生まれ変わってね

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