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初めての二人暮らし。1LDKで過ごした1年8ヶ月間の日々から学んだこと

「うちの近くに建ててる物件。これはまさかのヒットでは…」

2023年1月4日の夕方、その時は呆気なく訪れた。

今の家に住んで一年半と少し、夏には契約更新が迫っていた。

住み心地は良かった。しかし日を追うごとに「もう少しこうだったらいいな」と思うようになり、数ヶ月前から夫が新たな家を探し始めていたのだ。しかし複数の条件を叶える物件へのハードルは高く、そう簡単には見つからない。

しかしこんな急展開を迎えることになるとは…素直に驚きながら、ある記憶が蘇ってきた。

そう、この家に辿り着く2年前の話だ。

ある日、その後結婚する当時の彼から「一緒に住もうよ」と提案された。

実は付き合う仲になって、日はそう経っていなかった。しかも土日はほとんど仕事のため、会えて平日の夜、数時間。

「私のことをどれだけ伝えられているのかも分からない。私の何を知って、この言葉をかけてくれたのだろうか?」

考えれば考えるほど自信がなくなっていった。

私はもともと自己肯定感も低く、心配性。そんな部分も少しずつ解消されてはいるが、この時ばかりは彼の想いを何度確認しただろうか。
そんな過程で、今の生活を変えない限り私も彼のことを知ることはできず、平行線のままだな…と悟り、二人で暮らすことにした。

そんなこんなで始まった家探し。
こだわりもあり、エリアは決まっていたし、条件に即すと物件は一気に限られる。

複数見ても「うーん…」と決断できずにいたある日、「間取りは少し妥協するけど、ここいいかも」との話になった。

その翌日には彼から「もともと内覧予定の物件の後に行けることになった!」とLINEがあり、ある土曜日の午前中、2件目の内覧で、お目当ての家にたどり着いた。

各部屋を見ながら、ふと彼の顔を見ると「ここにする」と書いてあった。確かに悪くない。

午後には別の方の内覧予定もあり、私たちが決めない限り埋まってしまう可能性を告げられると「ここにしようか」と呆気なく決まった。

私にとっては久しぶりの引っ越し。
引っ越し日もそう遠くはないなかで、土日は変わらず彼は仕事。代わって、慣れないながらかな新調することになった家具家電の候補を検討、さまざま交渉して、購入をした。

そして引っ越し当日。
梅雨が明けたばかりの晴天、夏真っ盛りのような暑さとなった。

入れ替わり立ち替わり訪れるたくさんの人。そうしてたくさんの荷物が運ばれていく。しかし新調した冷蔵庫とベッドフレームはそれぞれの事情でセンターへ出戻り。さらには夕方にはガス開通の手続きができていないことが判明。さまざまな気持ちが波となって襲う一日だった。

目処がついた夕方、引っ越しを手伝ってくださった彼のお友達と行きつけのラーメン屋さんへ。その後、二人で近くの銭湯で汗を流し、マットレスのみのベッドに寝た。

二人暮らしもさまざまな現実がありながら、気づいたらあっという間にスタートした。

しかも彼は翌日朝から出張へ。その一方、これまで低反発マットレスで睡眠をとってきた私は、新たな高反発のマットレスに全身違和感。心身ともにどんよりした翌朝を迎えることになった。

慣れない地で段ボールに囲まれた私…事前に出張許可を出してしまった自分自身を初めて後悔した感情は今でも忘れない。

しかし、彼がいなかったとしても楽しく過ごせるのも私。
自分が住み心地よく場所をつくるぞ〜と車を借り、必要なものを揃えた。一人で悪戦苦闘しながら洗濯ラックを組み立て、彼に写真を送る。「いいね、ありがとう」と返ってくると嬉しくなった。

土日の仕事も「行かないでほしい」ということもできる。しかし長年、サッカーを中心にスポーツ選手を追い続けてきた彼だからこそ発信できることも多いし、そんな彼の情報を求めているファンが多いことを知っている。何より本人がイキイキしている。

私がいるからといって、彼は彼の人生。だからこそ、仕事に行くことを止めたことはほとんどない。(しかし時々、いないことで本当に困ることがあるので、その時には行かないでもらうこともある。でも結婚式と今回の引っ越しの最終準備くらいだ)

そんなことをいっていると、気づいたら引っ越し翌月はほとんど家におらず。それでもこんな話も全て笑い話。むしろそこまで追っかけられる、夢中になれるものがあるのはうらやましいし、すごいことだと思っている。

引っ越し後、私は彼のような「好き」を見つけたい、と思うようになった。

近くのお店に行ってみること。
散歩を通じて四季を感じたり、街の変化を定点的に追うこと。
運動や絵を描くなど、これまで苦手なものだと思っていたことにもチャレンジをしてみること。

これまでも好きだな〜と思っていたことも、新たに始めてみて感じたことも、全てが私を再確認する出来事だった。

ちなみに彼との違いを見つけることでも、私を再確認できた。

私は身近なところに目が向くらしく、長年このエリアに住む彼よりもお店の事情に詳しくなってきた。同じ家に住んでいながら、「知ってる?」「え、知らなかった」との会話が日常。まぁ、確かに全速力の自転車では気づきにくいのかもしれない。

ちなみに、そうしてできたお気に入りのお店に連れて行った暁には、彼もお気に入りのお店になった。

しかし逆に私は周りに目を向けがちなのだと、思った。
実は一緒に住み始めてから少し経った時、自分でコントロールができないほどに、どうしようもなく落ち込む日々が続いた。
自分の力ではどうしようもできないことが起きながらも、自分だけで乗り越えようとしていた。しかし結果として、難しかったし、気づいたら心身ともに疲れてしまっていた。

改めて隣にいる彼を眺めていると、年齢はほぼ変わらないが、彼はセルフコントロールをしながら、周りに頼りながら過ごしていることに気づいた。「私と違う」ことは、時に比較にもなる。しかし一人ひとりは、さまざまな要素を掛け合わせた唯一無二の存在だ、と思うと、ひっそりと学んでみよう、と変換でき、今の私は彼の行動や思考もいくぶん影響しているのだと思っている。

この間、私たちは入籍をし、最近では結婚式を挙げた。互いの仕事も充実し、日々新しいことにチャレンジをしている。

急に大きな段ボールが届いたと思いきや、彼が自ら組んだ企画のプレゼントだった…なんてことも。もちろんプレゼントも自作。当時、結婚式の準備が佳境で、その準備物か…と思いきや、ずっこけた。

面白いことを仕掛ける度に、私が驚く構図ができあがってしまったが、それで喜ぶ方々がいるのであれば良いことだなぁ…と私まで嬉しくなる。

それらを象徴するように、荷物が増え、今回の家も手狭になったり、さすがに1LDKで二人同時に仕事をするのは気を遣うことも増えていった。

さまざまな思い出と共に、私自身をまた一つ成長させてくれた家。

離れるのは寂しくなるが、本籍はこの家にしたことに気づく。私たちの始まりを象徴するんだな、思えれば、少し気持ちも落ち着いた。

ちなみに、引っ越しを間近に控えた夜、彼も同じことを言っていた。同じことを思っていたのだと思うと、これからも大丈夫かも、と思えた。

そして最後に。

この家にたどり着く前に不安に思っていた「互いのことをどれだけ知っているのか」。そんな不安は絶対的に消えないのだとも分かった。日を追うごとに変化があるからこそ、分かるなんてことはないのだ。毎日起こる小さな変化の積み重ねが、一定期間の時を経て「あの時から変わったね」と思い起こさせるのだ。

まわりの皆さんからは「(彼はなかなか)いないけれど大丈夫なの?」と聞かれることも多い。物理的距離はあっても、連絡はマメにしてくれるので、その点は特に何とも思っていない。

もちろん近くにいた時にいつもと少し違う雰囲気でることもある。そんな時は「何かあったのだろうな」と思い、そっと見守る。時間をおいて私が見えていた姿や思ったことを伝え、聴ける範囲の話を聴いたり。反対に私が荒れている時は、どれだけ近くにいても一言も声をかけられない。その状況を自分で悟ると「何をやっているのだろか」と冷静になる私もいる。

パートナーシップや複数人での生活には正解がない。だからこそ不安になることも多い。それでも二人だからこその関係性の築き方はあるだろうし、その時の最適解をこれからも見出し、更新していきたい、と私は思う。彼もそう思ってくれていたら嬉しいな、と。

ちなみに、新たな家への引っ越しでもハプニングの連続。それも新たな学びと笑い話のネタになった気がする。

これから先、どんな日々が待っているのだろうか。
いいこともそうでもないことも波を打つ日々だろう。どんな出来事も味わって過ごしていけたらいいな、と思う。

2人の日々を書いた、その他のnoteはこちら↓


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