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家族旅行で見えたこれからの家族のかたち


#これからの家族のかたち

2023年の年始め。私達家族4人は沖縄行きの飛行機に乗り込みやっと一息ついていた。
年末はそれぞれが忙しく過ごし、この旅行が我が家の新年会といったところだ。

今春からいよいよ息子も家を出て新社会人となることから、
「もうなかなか4人揃って旅行に行けることもないだろうし、これからは一人一人が独立して自分の人生を歩むという意味で、『家族解散記念旅行』にしよう」と娘が言ったのだった。

私は娘の言う「一人一人が独立して自分の人生を歩む」というのは夫婦の今後の在り方にも意味深い言葉だと感じた。

窓際の席で空を眺めている夫はこの旅行で何を想うのだろうか。


3時間半の空の旅を終え、いよいよ那覇空港に到着。

早速レンタカーで少し遅い昼食を食べにステーキ屋へ行くことにする。

運転は息子。助手席は娘。
私と夫は後部座席だ。

車に乗り込むと娘が直ぐにそこから1番近い「ステーキハウス88」をナビに登録する。
そして沖縄のミュージックをBluetoothで流し気分を盛り上げた。

息子の運転はとても静かでスムースだ。
正月の沖縄は道が混んでいたが息子はとても安全運転なので安心して乗っていられる。

30分ほど走り目的地に到着。
お腹ペコペコだった私達はボリュームのあるステーキをペロリと平らげ、今日の宿がある北谷へ向かう。
途中、娘のリクエストでアイスクリーム屋のブルーシール牧港本店で休憩することにしたが、人気店なのだろう、店の外まで大勢の人が並んでいた。
私と夫なら絶対にスルーするところだが、私達は店内の可愛らしい席に座って子ども達が並んでアイスクリームを買うのを待つことにした。

カラフルなアイスクリームを片手に若者のインスタ映えする写真に老夫婦も便乗してご機嫌顔。


1日目のホテルはアメリカンビレッジへ歩いて行けるところを選んだ。

夕食は息子がオススメの店を予約してある。

子ども達はホテルの部屋に荷物を置きそそくさとアメリカンビレッジへ繰り出して行ったが、私と夫は疲れたので部屋でひと休みしてから出かけることにした。


海に沈む夕日とピザとワインで沖縄初日の夜が始まる。

アメリカンビレッジはとても多くの人で賑わっていて、私達はネオンの華やかさと旅の解散感でお酒がすすんだ。

今年の抱負なんかをそれぞれが語ったりして、いつもとはちょっと違う家族の会話も面白い。

大人の家族旅行はお酒を楽しめるのが醍醐味だ。
こうして4人で飲むお酒は格別だなとしみじみ思う。

それにしても子ども達は二人ともお酒が強い。

店を出てもこのままホテルへ帰るのは何だか寂しくて、私達はコンビニで缶ビールを買って夜の海を眺めながら飲んだ。

海風は少し冷たかったが、オリオンビールで体温が上がった私は何だか若い頃に戻ったようで楽しくなって朝まで飲んでいたい気分だった。 


翌朝はアメリカンビレッジの海辺のカフェで朝食をとることにした。

この非日常な雰囲気がたまらなくいいのだ。

コーヒーとビーフバニーニをお洒落なテラス席で食し、久しぶりに4人でショッピングへ。
旅のテンションに押され、全員に帽子やシャツを購入し、そのままそれを着てドライブへ出発!

最初の目的地は古宇利島。

天気も良くて気分も上がる。
車内は息子セレクトのラップ音楽でノリノリだ。
娘がナビの画面を見ながら的確にナビゲートする。
前席の二人は好きなラッパーの話や音楽フェスの話で盛り上がっている。

一方の後部座席では、私が夫に「運転もしてもらって楽チンで良かったね」と言うと、『隠居爺さん』のような立ち位置に来てしまった夫は、「運転する方が楽だな。乗っているだけというのも疲れる」などとのたまうから全く可愛くない。

それでも古宇利島の映えスポットでは、夫と仲良くハートポーズを取る様は我ながらシュールだわ〜。

次に、息子が是非私達に見せたいというレアなスポットへも案内してくれた。
そこはまるでプライベートビーチのような静かな美しい海岸だった。
韓国のアイドルが撮影で来たことがある海岸なのだそう。

せっかくなので娘の一眼レフカメラで家族写真を撮った。
広い海岸線をバックに個性豊かな面々が並ぶ絵は、それはそれで映画のポスターのような写真になった。


夫が小腹が空いたと言えば、すぐさま子ども達はA&Wのハンバーガー店を探して車を走らせる。
レトロな看板が印象的な店だ。ドライブスルーで購入しゴージャスなハンバーガーとカーリーフライを陽気に食べた。

若者のアテンドでなければ出来ないドライブには、もはや親はスポンサー以外出る幕はなさそうだ。


沖縄最後の夜は、息子が絶対にこの店に連れて行きたいと早くから予約してくれていた那覇で人気の「ライブ居酒屋」だった。
店内がまるでライブ会場のような熱気で溢れ、心地良い三線の音色と3人の女性が奏でるパワフルな歌声に酔いしれた。
沖縄料理もたっぷり堪能し、飲む、飲む、飲む。
こんな賑やかにお酒を飲むのは久しぶりだった。


私と夫はコンビニでスイーツを買ってホテルに戻ったが、子ども達はクラブへgo。

翌朝、二日酔いの娘はグッタリしたまま飛行機に乗り込み、それぞれが旅の余韻に浸りながら「おとな家族」の旅行は終わった。

これまでも何度か家族旅行で沖縄を訪れてきたが、今回は子どもの成長を改めて実感し、世代交代の旅だったように思う。
もう夏のギラギラした太陽もプールもなくていいのだ。

いつの間にか子ども達はすっかり大人になり、ちゃんと周りを見て行動できるようになっている。

旅の終わりには改めて「楽しい旅行をありがとうございました」と子ども達からお礼を言われた。
家族といえども一人前の大人として礼儀や距離感をそれぞれがちゃんとわきまえてこそ楽しい時間を共有できるのだということを子どもから学んだ気がする。

子どもに残せる財産など何もない私達だが、子ども達が幼い時から季節ごとに行った国内外の数々の家族旅行の思い出だけは子ども達の心の中にも色濃く残ってくれたらいいなと願う。

これからは子ども達は子ども達の人生を自分で切り開いてたくましく歩んでいくだろう。

私達夫婦も残りの人生を自分自身で輝かせていけるよう努力していこう。

そして、時々は息子の運転する車の後部座席に夫婦2人で仲良く乗せてもらいましょう。





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