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素晴らしきドラマの旅 2023

気づいたら、2024年がものすごいスタートダッシュをして過ぎていく。
 
どんどんと通り過ぎていく前に、2023年も、私を毎夜、素晴らしき旅へと連れ出してくれたドラマを振り返っておこうと思う。

2023年、個人的に選んだ素晴らしきドラマは以下の6本。
 
1月クール 「ブラッシュアップライフ」
4月クール 「日曜の夜ぐらいは・・・」
7月クール 「最高の教師」
10月クール 「いちばんすきな花」、「きのう何食べた? Season2」
1&10月クール 「大奥 season1 & 2」

 
個人的に、2023年は「友情」、「シスターフッド」が、トレンドだったもよう。
 
どういうジャンルが一番前に来るドラマでも、「恋愛」という要素が必ずどこかに入っているのが当たり前だったし、観ている側もそれが当然だと思ってきた。
 
けれど、恋愛要素が全くなくても、面白いドラマはできるし、人生を素敵にするのに、必ずしも恋愛が必要ではないのだ。
 
これからも時に、恋愛の要素が全くないドラマや、友情に重きを置いたドラマを作ってほしいし、観たいと思う。


この6本の中から、2023年の個人的なベストに選んだのは「大奥」
 
「大奥」の凄さ。その1つは絶妙なキャスティングだったと思う。
大作ともなればなおさら、主要なキャストには経験や実績、人気のある、ある意味無難な役者が配置されがち。
 
しかし「大奥」は、役者としてのキャリアや時代劇の経験の有無にかかわらず、そのキャラクターを演じるに適した人を、主要なキャストに選んでいる。
 
かなり冒険だったと言えるかもしれないが、ほかのドラマなら「主役級」でないとしても、歴代の女将軍を始めとする主要なキャストが、その抜擢に応える演技をみせてくれたことは間違いない。
 
それが「大奥」の2つ目の凄さ。魂のこもった演技のリレーだ。
とにかく展開の早いドラマなので、主要なキャストであっても、登場回はだいたい2~3回しかない。
 
しかし、その中に各キャラクターの見せ場が必ず用意されていて、そこで主要なキャストがつぎつぎと魂のこもった、渾身の芝居をみせてくれた。
前年の「鎌倉殿の13人」もそうだが、主要な登場人物が多数いる作品において、魂のこもった演技がリレーされていくことほど、観ている方にとってたまらないものはない。
 
それから私は常々、いい作品にはいい脚本が欠かせないと思っているのだが、「大奥」で言えば、よしながふみの原作と森下佳子による脚本があってこそだったと思う。
 
加えて、役者としてのキャリアが浅かったり、時代劇初経験の役者さんたちを見事に導いていった演出、あの別世界を作り上げた美術のスタッフさんたちがいなければ、これほどのクオリティに仕上がることはなかっただろう。
 
最初は、「血を繋ぐ」という呪いに縛られた女将軍と、種付けの為に集められた男たちの哀しい場所だった大奥が、たくさんの喜びと悲しみを繰り返し、血縁の呪縛から解き放たれ、帰りたい場所になった。
 
どこかの部分だけではなく、大奥誕生から、その最後までを描き切ったからこそ感じる感慨深さがあったし、最初の頃と幕末では、別のドラマを観ているような気さえした。
 
もう、だいぶ先まで、よしなが「大奥」の実写はしなくていいと思う。
これを上回る実写化はそうそうできないだろうし、観たいとも思わない。
私にとって、それほど忘れられない、記憶に残る1本になった。


個人的に、その「大奥」に次いで良かったのが、「ブラッシュアップライフ」「いちばんすきな花」
 
「ブラッシュアップライフ」は、私にはあるある満載の、笑いと涙にあふれた作品だった。
 
これまでに好きなドラマはいくつもあるけれど、一番最後、最終回を観終わった時が、そのドラマを観ていて一番幸せな気分になった、というドラマは多くはない。
 
けれど「ブラッシュアップライフ」は、文句なしに、最終回を観終わった時が一番ハッピーな気持ちになれた。
観終わって、「最高ー!」と思わず叫んでしまったし、1週間ぐらいは、幸せな気持ちに浸り続けることが出来た。
 
笑って、泣けて、観終わって最高に幸せな気持ちになれるなんて、言うことなし。
それにしても、脇役に至るまで、あのメンツをそろえたこともスゴイ。
 
 
「いちばんすきな花」は、金子みすゞの詩のように、「みんなちがって、みんないい」と言ってくれる作品だった。
 
美鳥ちゃんを含めた5人には、「わかるな」と思えるところもあれば、「うーん」と思うところもあった。だけど、それでいいのだと思う。
 
すべてに共感できる必要はない。
たった1クール、3か月とは思えないほど、彼らが愛おしくなったのだから。
 
確かにドラマは終わったのに、不思議と「終わった」という感覚がない。
それは、自分が生きるこの現実世界のどこかに、彼らが本当に生きていて、いつかどこかで、4人がおしゃべりをしているのに出会えそうな気がするから。
 
終ってもずっと続いていくこの感じも、ドラマの素敵な終わり方の1つだと思う。

振り返れば、地上波ドラマは2023年も本当に素敵な旅に連れ出してくれた。
今年は一体どんな旅に出かけられるのだろうか。


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