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Culture/文化 : フランスの各文学賞が書店再開と同時に発表

通常は11月上旬に発表される各文学賞が、ロックダウンによってフランスの書店が閉鎖されたため、解除を待っての発表となりました。

これには、書店が営業停止となっている間に発表をしてしまうと、ネット通販大手の売り上げを伸ばすことになり、個人営業の書店の売り上げに繋がらないことから、書店営業再開まで発表を待つという計らいがあったのです。

この記事では、各受賞者や受賞作品をお知らせして、作家や作品内容についてのレビューは、別の記事にまとめることにします。
尚、まだ正式に翻訳までに至っていないため、作品名は直訳させていただいてます。

フランスで権威のある文学賞は大きく5つあります。それは、ゴンクール賞(Prix Goncourt)、ルノドー賞(Prix Renaudot)、フェミナ賞(Prix Femina)、メディシス賞( Prix Médicis)、そしてアンテラリエ賞( Prix Interallié)です。これらを順に紹介しましょう。


フランス文学界で最も権威のあるゴンクール賞は、Hervé Le TELLIER (エルヴェ・ル=テリエ) の L'Anomalie (異常)が受賞しました。

1902年に創設されたゴンクール賞は、アカデミー会員10人によって、その年で最も独創性にあふれた散文作品に贈られます。
賞金は10ユーロ(日本円で約1200円)だが、作家にとって最も夢の文学賞であり、作品の売れ行きが爆発的に伸びるため、結果として莫大な額が手に入るのです。

過去の受賞者には、ミッシェル・ウェルベックの『地図と領土』、マルグリット・デュラスの『ラマン・愛人』、ノーベル賞作家パトリック・モディアノの『暗いブティック通り』やロマン・ガリの『自由の大地 天国の根』とエミール・アジャール名義で『これからの一生』などがあります。


ルノドー賞
は、Marie-Hélène LAFON  (マリ=エレンヌ・ラフォン)の Histoire du fils(息子の物語)が受賞しました。

ゴンクールの次に経緯のある賞で1925年に創設。ジャーナリストのテオフラスト・ルノドーにちなみ、評論家や文芸ジャーナリストたちによって与えられます。賞金はないがゴンクール賞同様、作品の売り上げに多大な貢献をします。

過去の受賞者には、セリーヌの『夜の果てへの旅』、ノーベル賞作家ギュスターヴ・ル=クレジオの『調書』、アニー・エルノーの『場所』やダヴィッド・フィンキノスの『シャルロッテ』など。


フェミナ賞
は、Serge Joncour(セルジュ・ジョンクール)の Nature humaine (人間性)

1904年に、ミソジニー(女性嫌悪、女性蔑視)的なゴンクール賞に対抗して制定された賞。女性審査員10人によって選出され、優れた散文もしくわ試作品に贈られます。

過去の受賞者には、アントワーヌ・ド・サン=テグジュベリの『夜間飛行』、マルグリット・ユスナールの『黒の過程』、アレクサンドル・ジャルダンの『妻への恋文』など。


メディシス賞
は、Chloé Delaume (クロエ・デゥローム)のLe coeur synthétique(合成の心)

1958年に制定されたメディシス賞は、デビューしたばかりの作家、まだ才能に見合った評価を得てない作家の小説や短編集に与えられます。審査は、10〜12人の作家によって選ばれる。

過去の受賞者には、ノーベル賞作家クロード・シモンの『歴史』やジャン=フィリップ・トゥーサンの『逃げる』など。


アンテラリエ賞
は、Irène Frain (イレンヌ・フレン)Un crime sans importance(些細な犯罪)

アンテラリエ賞は、ある社交クラブのジャーナリスト約30人が昼食をしながら、女性審査員によるフェミナ賞の発表を待ちきれずに、いたずらでフェミナ賞の受賞直後に意表をつくような別の受賞者を発表しようと、満場一致でアンドレ・マルローの『王道』を選出。
これが第1回受賞者の発表となったのです。審査員は、ほとんどが白人男性10人のジャーナリストと前年受賞者によって構成。

過去の受賞者には、アンドレ・マルロー他、ミッシェル・ウェルベックの『ある島の可能性』などがあります。

いかがでしょうか? フランスには他にもいくつもの文学賞が存在しますが、おそらく日本では、ゴンクール賞しか知られてないでしょう。過去の受賞者を見ても、これらの賞の価値が高いことがわかります。
出来る限り受賞作品をレビューしていこうと思い、早速読み始めました。
お楽しみに!




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