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【私はもう、戸締まりをするーー映画「すずめの戸締まり」が私に教えてくれたこと】

新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」が、本日より全国の映画館で封切りとなった。「集大成にして最高傑作」と謳われる今作を、上映初日に劇場で鑑賞した。

映画を観た当日にコラムを書き上げたのは、はじめての経験だった。だが、本日映画テキストサイト『osanai 』にて公開されたコラムは、今日じゃなきゃ書けないものだった。鑑賞直後、抑えきれないほど湧き上がってきた切実な思い。それを書き留めておくことが、今の私には必要だった。

私に生まれたこの変化を、今だけのものにはしない。一時の感傷なんかで終わらせやしない。

創作に生かされ続ける人生だなと、改めて思う。映画も、小説も、漫画も、ドラマも、詩も、音楽も。不思議なもので、今の自分に必要な作品を、人は無意識に手繰り寄せているように思う。

これまで触れてきた作品は、どれもこれも、「今そのときの自分」に必要なものばかりだった。追い詰められ、息も絶え絶えであればあるほど、創作は私を手招きした。「創る」側になりたいと思ったのは、数々の作品に救われてきたからに他ならない。

“観客の何かを変えてしまう力が映画にあるのなら、美しいことや正しいことにその力を使いたい“

上記のコラム冒頭にも記した、新海誠監督の言葉だ。「すずめの戸締まり」には、まさにその力があった。本作は、私の中のある部分を、確実に変えてくれた。

映画の主人公である鈴芽(すずめ)には、勇気があった。大切な人を守りたいと願う、やさしさがあった。彼女の人生をかけた「戸締まり」は、私に大切なことを教えてくれた。

いつもなら、この時間はまだ仕事をしている。しかし、今夜はパートナーの隣で、ゆっくり眠ろうと思う。もしも夢の中で「ミミズ」※が暴れ出したら、草太や鈴芽と同じように、言霊を唱えて戸締まりをしよう。

かけまくもかしこき日不見(ひみず)の神よ
遠つ御祖の産土よ
久しく拝領つかまつったこの山河
かしこみかしこみ
謹んでお返し申す

映画「すずめの戸締まり」より引用

鍵をかけても、ミミズそのものが消えるわけではない。だが、暴発を抑えることはできる。今は、それで十分だ。

私はもう、戸締まりをする。もう十分、悼んだ。
これから先は、未来のために時間を使う。そのために私は、私のための決断を、きちんと下そうと思う。

※「ミミズ」とは、映画の作中に出てくる“災いのもと”です。詳しくは、映画コラムをご参照ください。
また、映画「すずめの戸締まり」公式サイトの固定ツイートを、こちらに共有させていただきます。

◇◇◇

映画テキストサイト「osanai」にて、これまで公開となった映画コラムです。
気になる作品がありましたら、こちらも読んでいただけると、とても嬉しいです。


また、本日「osanai」にて、私以外の書き手の方々による「すずめの戸締まり」の映画コラムが複数公開となっております。
観る人により視点が変わり、さまざまな楽しみ方が味わえるかと思います。こちらもぜひ、お読みいただければ幸いです。


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