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琴線に触れたnote集

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何度でも読みたくなる。 出会えたことに心から感謝したい、素敵なnote集。
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2021年11月の記事一覧

美しい人生を

 夜が明けた。強い日差しがカーテンを照らしている。  空気が澄んできたのだろう。夕方にな…

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貧困当事者だって提供者に。「フードセーフティネットを作りたい」日本初のフードバン…

「飽食の国」とも呼ばれる日本で、食べ物に困っている状態、いわゆる“飢餓状態”に陥る人の割…

はちみつ爺さんとハトちゃんの冒険

 厚く切ったきつね色のトーストに金色のはちみつを塗る。  それが父の毎朝の楽しみだ。  以…

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なんか変だなと思うこと

接客がびよーんと来る。これだと、なんのことかわからない。僕もわからない。 だけど、僕もど…

292:SNSからひっそりと消える人

自分と似た人だろうと思う。 SNSからひっそりと消えていく人は。 「これを読んだ人はどう…

虫垂炎に罹ったら、夫がぼくの食生活を徹底的に管理・指導する神経質な鬼になってしま…

今年の2月に急性虫垂炎に罹り、深夜に救急車でドナドナされるという地獄みたいな経験をした。…

伊藤チタ
2年前
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掌編「カッシアリタ」 逃げて

 本当に久しぶりだねえ。  車いすの膝の上にお盆を乗せながら、マキははしゃいだ声を上げた。  だな。突然悪かったね。  ううん、来てくれて嬉しいよ。ありがとうね、わざわざお土産まで。  マキはお盆からお茶と、おれの買ってきた栗ようかんをテーブルに置いた。安物のせいかようかんは思ったより小さく貧弱で、おれはひそかに肩をすぼめた。こじんまりとしてるけど、きれいに掃除、整理がされたバリアフリーのリビングには似つかわしくなかった。白いカーテンが揺れる窓際には写真立てがあり、枠のなかで