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似たもの親子

娘の定期検診のため、16時半に歯医者へ。

前回、歯の掃除をしてもらってから約8か月。不登校中のため、歯科検診は自分で受けに行かなければならない。

小学4年生の娘の乳歯は、今までに8本くらいは抜けたと思う。

それでも、歯が抜けることに対して、ものすごい恐怖心をもっている。むしろ年齢とともに、どんどん膨らんでいるようだ。

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以前noteでも書いたのだが、娘は血が出るのを極端に嫌がる。

娘が小学1年生だった頃、血を見たくないからという理由で、歯が抜けないよう、丸3日間食事をとらなかったこともあったっけ。

ご飯だけでなく、飲み物も飲もうとしなくなってきたときは、さすがに焦ったなあ。

結局、歩く気力すらない娘をおんぶして歯医者に連れて行き、抜歯してもらいました。

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さて、そんな経歴をもつ娘さん。またしても、大事にとっておいている乳歯がありまして。

ちょっとでも触ったら、ポロッと取れそうな状態になってから、早くも8か月がたつ。

人に歯を触られるのが嫌すぎて、ずいぶん前に仕上げ磨きを卒業。

それからというもの、グラグラの歯は、ほとんど磨いてもらえていないようだ。

その証拠に、娘がにっこり笑うたび、乳歯と永久歯が重なった部分の磨き残しが目に飛び込んでくる。

もちろん、何度もしっかり歯磨きするように話したし、「たまにはママが仕上げ磨きしようか」と提案もしてみた。

でも、娘の意思は固い。

あああ…もう、耐えられない!

とうとう、私はしびれを切らし、定期検診を予約したわけです(定期検診には抵抗ない様子)。

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えー!!まだ残ってるやーん!

担当の歯科衛生士さんも、思わず笑っている。

そして、娘が自分で乳歯とお別れする決心がつくよう、根気よく説得してくれました。頭が下がります。ほんと。

たとえば、

ピンクに染まる薬を使って、磨けていない現実を伝えたり、大人の歯が虫歯になるリスクを諭したり、「抜くときは注射じゃなくてクリームで麻痺させるから怖くないよ」って説明してくれたり…

そんな歯科衛生士さんの努力もむなしく、相変わらず娘は「抜かない」の一点張り。

あなたの頑固さも、すごいわ。

いや、待てよ。

頑固といえば思いあたるエピソードがある。

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子どもの頃、私はピアノを習っていた。

とにかくレッスンが嫌いで、「今度こそやめてやるんだから!」と、毎回帰り道に決意するくらいだった。

だけど、どうしても「エリーゼのために」だけは弾けるようになりたくて。

先生に

バイエルとかツェルニーとか、基礎的なのはやりたくない。でも、「エリーゼのために」だけは教えてほしい。

という、まあ、勝手すぎるお願いをした。

それから10年以上、自分のポリシーを貫いた私。

ピアノをやめるとき、先生に言われたっけ。「あなたの頑固さには負けたわ」と。

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結局、娘は自分の意思を貫いた。

「血が出るのが怖くても、グラグラの歯はしっかり磨くこと」を、歯科衛生士さんと約束して。

抜いたほうがいいことは、きっと娘も分かっている。

それでも、100%納得できないから、抜歯せずにおいておくことを選んだのだろう。

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血のつながりがあっても、親子は別の心をもつ人間であることは理解しているつもりだ。

とはいえ、やはり似ている部分もあるんじゃないかしら。遺伝なのか、そばにいるからなのかは知らんけど。

自分の意思を最後まで貫く娘を、昔の自分と重ね、何だかちょっぴり誇らしく思った。

でも、お願いだから、歯はちゃんと磨いてください。

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