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自然を愛し詠った人たち。

私は、『幼年時代を追想して不死を知る頌』を成人式を迎えた頃に知りました。以来、田部 重治選訳 『ワーズワース詩集』を通じてこの詩編に触れ続けています。今この歳になっても、折に触れ思う詩編です。


さらば唄え、小鳥よ、歓喜の歌を、
鼓の調べにつれてのよう子羊をして躍らしめよ。
 
われらも心において汝らの群れに加わらん、
笛吹くものよ、戯るるものよ、
今日、5月のよろこびを全心に感ずるものよ、
 
かつて輝やかしかりしもの、
今やわが眼より永えに消えうせたりとも、
はた、草には光輝、花には栄光ある
時代を取り返すこと能わずとても何かせん。
われらは悲しまず、寧ろ、後に残れるものに力を見出さん。

ワーズワース著 『『幼年時代を追想して不死を知る頌』』田部 重治選訳 『ワーズワース詩集』 より

Then sing, ye Birds, sing, sing a joyous song!
And let the young Lambs bound
As to the tabor's sound!
We in thought will join your throng,

Ye that pipe and ye that play,
Ye that through your hearts to-day
Feel the gladness of the May!

What though the radiance that was once so bright
Be now for ever taken from my sight
Though nothing can bring back the hour
Of splendour in the grass
Of glory in the flower
We will grieve not
Rather find
Strength in what remains behind

Intimations Of Immortality From Recollections Of Early Childhood
by William Wordsworth



『Intimations Of Immortality From Recollections Of Early Childhood』、『幼年時代を追想して不死を知る頌』については、各種サイトやBlogで優れた解説をなしている方々がおられ、研究論文もネット上で公開されているようです。解釈はそれらの方々に譲るとして、以下は選訳者である田部重治について少し綴ってみようと思います。
まずはWikipediaに訊ねてみました。

これをはじめとして各種資料を巡ったところ、田部重治がアルピニストであり、優れた随筆家であったことを知りました。

英米文学者であり、登山家であり、随筆家である。田部重治の人と成りに触れるにつれ、日本文学から忘れ去られようとする「随筆」という分野の奥深さを思い起こします。
山と随筆と言えば、思い浮かんでくる人物が一人います。深田久弥です。

上記HPより一部を引用します。

日本人はたいていふるさとの山を持っている。
山の大小遠近はあっても、
ふるさとの守護神のような山を持っている。
そしてその山を眺めながら育ち、
成人してふるさとを離れても、
その山の姿は心に残っている。

どんなに世相が変っても
その山だけは昔のままで、
あたたかく帰郷の人を迎えてくれる。

私のふるさとの山は白山であった。

深田久弥 「日本百名山」 深田久弥 山の文化館 より引用

自然への深い畏敬。日本人が長きに渡って抱いてきたその思いを、この21世紀、次の世紀へと受け継ぎ残したい。私は上記の優れた文学者の足跡そくせきを追いつつ、そう思っています。

それでは、今回はこれにて。ここまでご閲覧いただきありがとうございました。


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