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風車の風吹く街で【シロクマ文芸部|お題「風車」】参加記事

#シロクマ文芸部  お題#風車 から始まる~ 参ります。

今月の「シロクマ文芸部」参加作は、同一人物を登場させ、4月を綴って参る所存です。第1回目はこちらからご覧いただけます。本文は貼付記事の直下より。

風車が一定距離を隔てて立ち並ぶ道で、私たちは記念撮影をしていた。

「もう少し近くに寄ってください。……はい、OKです。それでは撮りますよ。良い笑顔くださいねー。はい!OKです、お疲れさまでした」

撮影クルーが愛想の良い笑顔と共に、並んで立つ私たちを一枚の写真に収めてくれた。背景は勿論風車。

「どうですか?1回だけ撮り直しができますが」

アフターフォローを告げてくる係員に「あ、それでOKです、ありがとうございます」と彼が答える。そうして、プリントアウトされた写真と、撮影データが入ったSDカードが引き渡された。支払はお財布ケータイ。便利な時代になったものだ。

ここは、風車とチューリップが人気なアミューズメントパーク。立て板に水で今回の日帰り旅行を決めた彼が手配した場所だ。これもスマホの予約で。居ながらにして、とは正にこのことか。
週末、デートなるものをしているはずなのに、私の心は凪いでいた。少しはドキドキとかときめきとかあるかと思ったが、相手が彼では無理だったようだ。

「どうよ?花も見頃だし天気はいいし。良い週末になっただろ?」

相変わらず自己完結している。まあ、悪い気分ではない。私だって週末のドライブは好きだし、花も風景も好きなものたちだから。何だかんだ言って、長年の付き合い、私のツボを心得ているのが彼だ。

「ここは海が近いから風が気持ちいいんだ。初夏にはチューリップも満開になるし、インスタ映えってゆーのか?それで有名ならしい」
「ああ、私のフォロアーさんも、ここで撮った写真アップしてたな」
「だろう?だからさ、一度来てみたかったんだ。直美と」
「え……雅也、それ、ウケ狙いとか何かのネタじゃないわよね」
「ばーか、んな訳ないだろ?マジだよ、マジ」

そうか、マジか。マジなのか……。
真面目な想いに、私はどう答えたらいいだろう。自分は今、何を感じているだろう。しばし自問自答しながら、私は雅也の右腕を自分の左腕でそっと掴んだ。

私が手を伸ばすのと、雅也が手を差し出したのは、ほとんど同時だった。


拙稿題名:風車の風吹く街で
総字数:841字(原稿用紙二枚強)

よろしくお願い申し上げます。

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