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ジョン・カサヴェテス 作品一挙上映

noteを始めて2年経ちました。相変らず試行錯誤を繰り返していますが、フォローしてくださる方も増えてやりがいも感じています。というよりはもはや生き甲斐となっています。そして当初予想していなかった嬉しい驚きは海外在住の方の記事を拝読できて交流できる事です。日本とは違う暮らしを興味深く読ませて、また見させて聴かせていただいています。
その中のお一人である森野しゑにさんの最近の記事に目が止まりました。


映画通を自負する私が全然知らない監督で、しかも


「インディペンデント映画の父」と称され、ジャン=リュック・ゴダールやマーティン・スコセッシ、ヴィム・ヴェンダース、ジム・ジャームッシュといった世界の巨匠たちから敬愛された唯一無二の映画監督

ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ解説文

だって⁉そこにタイミングよくザジフィルムズさんの記事がアップされて

これはもうシアターイメージフォーラムまで行くしかないでしょということで行って来ました。
炎天下、初めて行った劇場はお世辞にも立派とは言えず狭苦しくて、これならユーロスペースの方がマシといったところで、ミニシアターさんはどこも苦労なさっているんですね。ギリギリに行かないと会場が開くまで待っているスペースがない有様で映画の配給の仕組みは全然分かりませんがザジフィルムさん、それでも敢えて一挙上映を敢行してくださってありがとうございます。と前置きが長くなりましたが本題に入らせていただきます。

観た作品の感想は年代順になっています。実はあまりの暑さに出かける元気をなくして、実際に上映館で観た作品は「こわれゆく女」と「ラブ・ストリームズ」の2作品のみ。残りは森野さんに教えていただいたサブスクで鑑賞しました。森野さん、お陰様で熱中症を免れる事ができました。鑑賞し終えたら解約します。


「アメリカの影」1959年

ゴダールの「勝手にしやがれ」が1960年ってことは影響を受けているのはゴダールの方?一方はチンピラ男がパリの町を駆け抜ける映画でこれといったストーリー性はなく、もう一方もエネルギーが有り余った若者たちが喧騒のニューヨークでしゃべったり、喧嘩したり、愛し合ったりする様子をカメラが追うだけの作品で似ているといえば言える。森野さんの解説によると、人種問題をはらんでいるらしいけど、一回観ただけでは、そこまで分からない。主役の一人の女性が混血なのも分かりにくくしている。
当時の世相を楽しめればいいのか⁈
                       (FODにて視聴)

「フェイシズ」1968年

「アメリカの影」と同じく、これもモノクロで夫婦の不倫を扱った作品。
夫役の男優はカサヴェテスそっくり!妻役は素人らしいけど睡眠薬を飲んで
不倫相手の若者に介抱される場面などとても素人とは思えない。
カサヴェテス映画の女神ジーナ・ローランズが夫と浮気する娼婦役で登場。
煙草プカプカ吸いまくり、お酒飲みまくりで、この時代の人って本当に不健康!カサヴェテスは59歳で亡くなりジーナ・ローランズはまだ93歳でご存命中って事は…寿命には個人差があっても食生活は関係ないってこと?                                   (FODにて視聴)

「こわれゆく女」1974年

何よりも驚いたのは、あの刑事コロンボのピーター・フォークが出ていたこと。あの人気キャラからの脱出はさぞや大変だったのではと推察します。
反対にカサヴェテスも「刑事コロンボ」に犯人役で出ていたそうです。
ジーナ・ローランズはこの頃から演技に凄みが出てきたように思います。
精神が壊れた妻役を迫真の演技で見せてくれます。
 (シアターイメージフォーラム)

「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」 1976年

レトロスペクティヴリプリーズが好評につき、延長されたのでやっと観る事ができました。と言ってもクローズアップがやたら多くて画面が暗くて見にくかったですが、我慢して見続けていると、主人公が経営しているナイトクラブの映像などには非凡さを感じました。
でも何故チャイニーズを殺したのかとかイマイチ分かりづらいし…でもそれを言ってしまうとヌーヴェル・ヴァーグの映画なんて、つじつまが合わない事だらけだし、それはそれで理解すべきなのかな?
主人公を演じたベン・ギャザラもカサヴェテス組の常連で、よくみかけます。カサヴェテスの映画だけでなく、ハリウッドでも活躍していました。
(シアターイメージフォーラム)

「オープニングナイト」1977年

ファンの女性の事故死でおかしくなった大女優の役を油ののったジーナ・ローランズが演じます。散々な危機を乗り越えた最後の舞台で貫禄の演技を見せる場面は圧巻です。終わりの方でピーター・フォークも友情出演しています。           (FODにて視聴)

「グロリア」1980年

これは商業的にも成功した作品ではないでしょうか?
ギャングの情婦だったジーナ・ローランズが抗争に巻き込まれた少年を助ける物語でジーナは冷静な女ギャングを演じます。リュック・ベッソン監督の「レオン」に影響を与えたと言われているらしいが、カーチェイスがタクシーチェイスになっているところが笑える。後ハイヒールでニューヨークの街を走りまくるところ…何足か履き潰したそうですが。
この映画は今回のレトロスペクティヴリプリーズには上映権の問題で残念ながら持ってこれなかったそうです。でもサブスクで観れるから良しとしましょう。                            (アマプラ)

「ラブ・ストリームズ」1984年

いよいよ最後の作品です。今回のカサヴェテスとジーナ・ローランズは姉と弟役です。今度もジーナは子育てで心を病んだ母親を演じます。面倒を見てくれる弟に癒しの為に動物園みたいなペットショップから仔馬やヤギや犬、鶏、インコを買ってきます。それらが全部収まるという家も日本では考えられませんが…弟が受け入れたところで、嵐の夜に姉は恋人と出て行って終わり。何だか良く分からない幕切れ。   (シアターイメージフォーラム)

おまけ

「きみに読む物語」2004年

検索中、偶然みつけたのですが、カサヴェテスの息子のニック・カサヴェテスの監督作品です。老夫婦の回想から始まる純愛映画の王道を行く作品で、ありきたりな物語という意見もあるみたいですが、それなりに丁寧に創られたいい映画だと思いました。私はこの映画を数ヵ月前に何の予備知識もなしに観て感動したのですが、ジーナ・ローランズが出ていたんですよね!
あの認知症の美しい老婦人が、ジーナ・ローランズだったなんて!
もう一度観なくっちゃ。(アマプラ)

ここまでで2840文字、最長記録です。最初の頃の作品は正直に言って、良さが分からなかったけど、段々と凄味が増してきました。
配信でもう一度観るのがお薦めです。長い間、お付き合いいただきありがとうございました。





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