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チーム指導、質の高め方

トレーナーが筋力トレーニングやモビリティドリルなどを、指導する時は1対1で教える場合と、1対複数で教える場合があると思います。

特にサッカーチームでトレーナーをしている方は一度に20人近くを一気に指導する事もよくあります。

複数人を指導をする時、なかなか説明が伝わらない、選手の集中度が低い、だれてしまう、などの悩みを持つ事方もいるかも知れません。

集団に対する指導では些細なことを意識するだけで選手の集中力や指導の質が大きく高まると考えています。

そこで今回は集団に対する指導のテクニックについて書いていきたいと思います。

伝わりやすい形態


まず始めに考えることは指導対象をどのように並べるかです。

指導するときには、円になって真ん中でデモをする円型か、列になって行う列型の二種類がよく使われると思います。

円型はご覧の通り選手の視線が複数あるので

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真ん中でデモをする場合、正しくエクササイズの要点を伝えられない場合があります。しかもデモを何回も角度を変えてやらないといけないので時間がかかりやすいです。

列であれば、視線が同じ方向を向いているので、エクササイズの要点が伝わりやすいです。

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また円型だと、向いている方向によって、

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声の聞こえやすさが違うので声を大きくするか、向きを変えながら説明をしなければいけないので効率が悪いというデメリットがあります。また人数が多くなると円が大きくなってしまうのでトレーナーから距離が大きくなってしまい、指示が伝わりにくくなります。

なので筋力トレーニングやモビリティドリルなどを指導する場合は列型の方が好ましいです。

ただ列型では、ラテラルホップなどの左右、上下に移動が伴うエクササイズをやる場合には衝突の可能性があるのでその辺は注意する必要があります。

また筋力トレーニングを指導するときには、動きを正面と横から観察する必要があります。そうすることで指定したフォームでエクササイズを行えているか、動きのエラーが出ていないか、見極めやすくなります。

円型だと選手が様々な方向に向かってエクササイズを行っているので、エラーを把握しにくいです。

列型であれば、自分が移動すれば正面からも、横からもエクササイズを観察できるのでエラーを観察しやすいです。

トレーニングへのモチベーションを高める


僕が指導するときに気をつけている事は、何のためにトレーニングを行うのか説明してから指導に入る事です。

毎週トレーニングをする前に、

「何故トレーニングするかというと、◯◯や◯◯のためで、このトレーニングは自分と向き合うために行うものだから、ほかの人とお喋りしながらやるのではなく、自分の身体と会話しながらやりましょう。」

みたいな感じで、話をしてから指導に入るようにしています。◯◯に入る内容は具体的に説明したり、抽象的に説明したり、内容を変えながら説明しています。
何故わざわざこんな説明をしてから指導に入るかというと、だたなんとなくやらされてやるより、やる意味を理解し自発的に取り組んで欲しいからです。

またチーム指導だとどうしても隣の人と話しながらやってしまい、だれてしまい効果が落ちてしまうので、自分の身体に意識を持って行ってもらいたいという理由もあります。

エクササイズの説明の仕方

この説明をした後エクササイズ指導に入ります。

エクササイズを説明するときには

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の順番で説明します。

自重でのスクワットを例にすると

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✅基本姿勢

足幅は肩幅より少し広く、爪先は少し外に向けて、手は前

✅動きのポイント

デモをしながら、お尻を後ろに引きながら、膝を外に開きながら太腿と地面が平行になるくらいまで身体を落とす

✅テンポ

2秒かけて身体を落とし1秒で身体を上げていく。のような順番で説明します。

まずは静止状態で基本的なスタンスの説明をし、動きのポイントをデモしながら説明します。その時に正面からのデモと横から見た時のデモを行います。そうすることで、正面からではわかりづらい説明も、横から見せることで理解しやすくなり、動きに対するイメージも高まると考えています。

また、こうならないようにする(膝が内側に入らないようになど)という説明は極力避け、こうする(膝を外に押し出す)、という説明にします。こうならないようにと、説明するとそっちに意識がいってしまい、うまくエクササイズを行えない場合が多いと感じているからです。


そしてテンポの説明です。何故テンポの説明をするかというと、チーム指導でテンポを指定しないと、それぞれのペースで行ってしまうので、エクササイズの進行にばらつきがでやすいからです。また、テンポを指定しないと、とりあえず回数こなせばいいんでしょと動きが雑になったり、どこの筋肉を使っているか意識が向きにくいので、テンポを指定するようにしています。そして最後に回数とセット数を伝えます。

動きの観察

エクササイズの説明をした後は選手の動きを観察します。

まず確認する事は、選手がエクササイズを指定したフォームで行えているかです。

主に動きにエラーが出る場合は、説明がうまく伝わっていないために、足幅などが間違っている場合や、動きのポイントを理解していないか、筋力や柔軟性が欠如していて動作を正確に行う事が出来ないなどの2パターンがあります。

説明が伝わっていない場合は、その選手にもう一回方法を伝える事で修正が可能です。

ただ説明が伝わっていないパターンの場合は、単純に選手が聞いていなっかった場合と、説明が明確ではなく、わかりづらかった場合の2パターンがあるので、聞いていない選手が悪いと決めつけるのでなく、その原因を追求する癖をつける事が大切になっていきます。

もし、多くの選手が同じようなエラーが出ている場合には、説明がわかりづらかったり、声が小さかったり、こちら側に注意が向いていないのに説明を始めてしまったりしている、など理由が考えられるので原因を把握するようにしましょう。
こういったミスは自分で分かりづらいので周りのコーチに意見を聞いてみたり、指導を動画などで撮影してみたりする事で、自分を客観視できると思います。


エクササイズの難易度の設定

チーム指導ではエクササイズ難易度をどこに設定するかが大切になっていきます。

結論から言うと、チームの真ん中より上の選手に難易度を設定しています。

チームスポーツでは能力の低い選手を伸ばすより、能力の高い選手を伸ばした方が勝利に直結するために、能力の低い選手にではなく、高い選手に難易度を設定します。

ただ能力の低い選手を取り残しても良いと考えている訳ではなく、そういった選手でもついていけるように、エクササイズにバリエーションを持たせて、能力の低い選手はこのエクササイズ、より高い選手にはもっと難易度の高いエクササイズのようにする工夫をしています。

具体的に言うと、腕立て伏せで膝をついて行う事で、負荷を減らす

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能力の高い選手にはレップ数を多くする、チューブやメディシンボールなどの道具の使用で負荷を高めるなど

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様々な工夫をし、能力の低い選手、高い選手両方に適切な負荷がかけられるように配慮しています。

エクササイズに難易度を付けることでもっと上の難易度のものをやりたいとモチベーションが高まる効果もあり、選手の集中度も上がると考えています。

ただ基本的な負荷の設定はチームの中の上に合わせる事がチームにとってプラスに働くと考え、トレーニングを作成しています。


まとめ


対象者が複数人いる場合に注意する事についてお話してきました。

列で行うのか、円で行うのか、トレーニングに入る前に何を伝えるのか、エクササイズの説明をどうしたら良いのか、すぐにでも出来る簡単な事について話してきましたが、こういう些細な事が指導に違いを生むと考えています。

この考えは僕が指導していく中で、試行錯誤しながら発見してきたものです。そしてまだまだ改善の余地があると思っています。

もしこのnoteを読んで、もっとこうしたらいいんじゃないの?こういうのはどうだろう?など意見がありましたら、コメントして頂けると嬉しいです。

お互いの指導のために意見交換が出来るきっかけにこのnoteがなれればいいなと思います。

編集後記

Macを買い換えようと思っているのですが、今持ってるMacBook Proの調子が最近いいので非常に迷ってます。笑









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