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「手の中の深いところで」〜犬飼愛生の新作詩(東京新聞)から

今日(10/26)の東京新聞(そして中日新聞)夕刊に、犬飼愛生の新作詩が載っている。東京新聞は、5面。

「Gift For You」というタイトル。

1行目、「ギフトは最大の脅迫」といきなり始まる(どんな詩もいきなり始まるのだが、そう言いたくなるところがある)。「悪気なんてなかったんです」というさりげないような(毒のある?)ひとことをスパッと置くのが犬飼さん流。さりげないんだけど、ゾワゾワするようなことを言う。

ちょっと過激なことを言っているようでいて、でも、この新聞に載った詩は、どこかアッサリしている。彼女の詩にはたまにあるのだが、ポップ・ソングのような親しみやすさ、口ずさみやすさがある。しかし、ポップ・ソングだ、と言い切るにはゴツゴツしている。それが魅力だ。

優しさというか、軽やかさというか、明るさというのか、そういう感じに満ちている。

冠詞のない「Gift」について。つまり、どういうこと? "贈り物というもの"についての詩(うた)、ということでいいかなぁ。私たちが生きてゆくなかで受け取っている、いわゆる"ギフト"について。

「もう会えなくなった人が残していった/ギフトも/捨ててもいいのに、捨てないんだよ/誰もかれも/手の中の深いところで握って」

という連をくり返し見てしまう。誰でも、そう言われると思うことがあるだろう。「手の深いところ」と書かれているところを、よく見てしまう。

また、犬飼さんが今回、新聞紙上で詩を発表するにあたって、書いておきたかったことが、詩のすくないことばとして、そこに置かれるべくして置かれているようだと感じる。

ちなみに、顔写真とコメントつき。プロフィールの中に、「文芸誌『アフリカ』所属」とある。「所属」に、大笑い。でも、何と書いていいかわからないんだろうね。『アフリカ』はわかりにくいのがウリでもあるからね? え? 何? いや、所属でも何でもしてください。『アフリカ』に立ち寄り中、なんて書いても何のことヤラ? 妻は「『アフリカ』って文芸誌だったの?」とか言うから、ますますややこしい。ありとあらゆる説明をし尽くしたあと、「ようするに本です。あ、冊子のことです」というところまでいくとすごく気分いいだろうという気がしているが…(まぁどうでもいい話です)。さいごは話が逸れた。

東京新聞、中日新聞が入手できない地域の人たちも、おおきめの公共図書館に行けばあると思いますから、ぜひ探してみてください。

(つづく)

「道草の家・ことのは山房」のトップ・ページに置いてある"日めくりカレンダー"は、1日めくって、10月26日。今日は、「FOR YOU」というスタンプの話。犬飼さんの新作のタイトルは、知らないで書いてます。

横浜らいずの「丘の上のマルシェ」は、いよいよ明日! 10/27(日)12時-16時の開催です。道草の家からは、『アフリカ』最新号&バックナンバー+αと、ひなた工房の新作もろもろを持ってゆきます。

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オトナのための文章教室 in 横浜 & 三鷹、横浜では31日(木)の夜スタート。その日が初回です。参加者募集中です。毎回参加でなくてOK。まずは1回、様子見でいいので、ぜひ。初回は、「わかること/わからないこと」なんて言いつつ、"謎"をめぐって何かやります。書いてはいないけど参加、もモチロン歓迎です。

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※"日めくりカレンダー"は、毎日だいたい朝(日本時間の)に更新しています。

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