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三浦春馬の色香を思う存分堪能する 『tourist ツーリスト バンコク編』

とくに大きな用事のない日曜日。

『真夜中の五分前』について書くために、行定勲監督の作品『窮鼠はチーズの夢を見る』と『劇場』を続けて観て、次は『クローズドノート』でも観ようかと思っていた。そして、『春の雪』を観たら『真夜中の五分前』に戻ってnoteを書くつもりでいた。

ただ、ちょっと作品のセレクトがマズかったのか、面倒くさい主人公が続いて疲れたので、少し休みたくなった。

そんなわけで、今日は三浦春馬さんの作品の中でも、シンプルに大人の色気が存分に楽しめるtouristについて触れる。現在、Paraviでしか配信されておらず、円盤も発売されていない。ご興味を持たれた方は、視聴するのにParaviへの加入(有料サービス:無料期間あり)が必要となるが、一見の価値はあるので、ぜひ加入をお勧めしたい。

『tourist ツーリスト』とは?

TBS・テレビ東京・WOWOWの3局が史上初めて3局合同で制作したオムニバス形式のドラマで、第1話「バンコク編」・第2話「台北編」・第3話「ホーチミン編」の3話で構成されている。

それぞれ、悩みを抱える女性主人公が、異国の地で天久真(三浦春馬さん)と出会い、人生を模索していき、新たな道を歩いていく・・・という1話完結のドラマだ。

主題歌を担当するのはHYUKOH。異国の地を旅して、人生を模索するドラマにピッタリの音楽だ。この音楽を聴くたび、脳裏に天久真の姿が浮かんでくる。

このnoteでは、第1話のバンコク編について綴る。

見どころその1:異国情緒とエネルギーにあふれるバンコクの街

本作『tourist』の魅力は、なんといっても3話とも舞台が、異国情緒漂うアジアのエネルギッシュな街だというところにある。何かを求めて日本を飛び出した主人公たちの物語は、空気感も情緒も全く違う空間で繰り広げられる。

バンコク編。真とさつきの出会いの場面はいかにも「観光地」という感じの場所だ。しかし、そこから2人で食事に行くところや、タイの屋台、夜のマーケットの明かり、夜景に至るまでの場面では、街全体が熱気を帯びているように見えて、画面からも暑さが伝わってきた。最初に観たときは、なんだか自分も暑くなってしまって、何か飲み物を・・・とキッチンに移動して冷蔵庫を開けたことを覚えている。

見どころその2:天久真(三浦春馬さん)の色気

本作では全3話で主人公の女性が異なるが、天久真(三浦春馬さん)は3話すべてに登場して、彼女たちの人生の転機に関わっていく。

ところで、皆さんは「三浦春馬」の代表作は何だとお考えだろうか?

『君に届け』の風早くん? 『ラスト♡シンデレラ』の広斗?
はたまた、『ブラッディ・マンデイ』の高木藤丸?

いずれにしても、若いころの「正統派イケメン役」のイメージが強いのではないだろうか。そんな方にはぜひ、天久真を観ていただきたい。

無精髭を伸ばし、白いTシャツにジーンズ、黒い大きなリュックを背負った青年は、文字にすると何の変哲もない普通の服装をして、ハガキの写真の場所を探しているだけだ。なのに、私は観ているとき、画面の向こうからあふれ出る色香で自宅の部屋中がむせ返り、窒息するんじゃないかと思ってしまった。

少々あざといシーンもあるが、それすらも吹き飛ぶ大人の男の色気にあふれている。

見どころその3:野上さつき(水川あさみさん)の変化

仕事で鳴かず飛ばずの状態に陥っている、テレビプロデューサーの野上さつき。バンコクへ来たのは何の目的だったのだろうか。

登場の場面から携帯で仕事の話をしているので、仕事が空いたから休暇を取って、というわけではなさそうだ。

なんとなく腐れ縁が続いている45歳のオッサン(マキタスポーツさん)と寝て、嫌気がさしてホテルを移って、何となく出かけた先で天久真と出会う。

一緒にお昼を食べたときに10,000バーツで天久真を買い、一緒にバンコクの夜の街を歩き、缶ビールで乾杯し、UNOで勝負をする。

さつきは、仕事の苦労を真に話し始める。
頭の固い古いオヤジたちを説得するのはどれだけ気苦労の多いことか、と。
さつきの年齢は、34歳。微妙なお年頃だ。オヤジたちは「女の子」扱いはしないだろうし、ある程度戦力としても評価していて、「かわいい〇〇ちゃんの仕事だから」と評価が甘くなったりすることはない。

若くて可愛い時代が過ぎたら、女性であっても男性と同じように「根回し」や「説得」に多大な労力を割く必要が出てきてしまう。ちょうど気苦労の多くなる時期だと思うのだ。さつきはそんなニュアンスを全部ひっくるめて苦労話を語る。

そしてホテルに帰ってからも、刺激的な一夜を過ごす2人。
2人の会話から、輪廻転生の国で、さつきは生まれ変わりたかったのだろうか?と感じた。真はどう感じたのだろうか。刺激を求めて、2人で賭場に向かう。

イカサマ賭博で負けそうになり、その場からお金を奪って逃げる2人と、バンコクの夜の街が美しい。

終わりに

私が『バンコク編』で最も好きな場面は、真とさつきが2人で水かけ祭りに参加するところだ。
2人とも全身びしょぬれになりながら、最高の笑顔で水をかけあう。本当に本当に楽しそうだ。

真に出会って、ともに過ごした刺激的な時間はさつきを変えた。
日本に帰ったら、自分みたいにくすぶっている人に元気を与えられるドラマを作りたいという。
話を聞いて、「いいじゃん、それ」という真。

さつきは、晴れ晴れとした顔で日本に帰る。真は旅を続ける。
一期一会、という言葉がふっと頭に浮かぶ。

真の旅は、台北へと続くのだ。

水川あさみさんが演じたさつきのような悩みは、30代の未婚女性なら誰でも持っているものだろうと思う。焦りや苛立ちをさつきからは凄く感じた。

そして彼女と過ごし、前を向いて歩く手助けをする天久真は、ただ優しいだけの人ではない。ビジュアル(色気)もさることながら、役自体のミステリアスさもなかなかである。滅多にお目にかかれない三浦春馬を、未見の方はぜひ、観ていただきたい。

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