思わぬところでくらった言葉

2022/10/27

今日、髪を切った。
愛媛に来てから4年以上経つけど、ずっと、お気に入りの美容室がなかった。満足いく髪型になったことがなくて、自分で切ったほうが納得がいく髪型にできたりした。

6月にはじめて行った近所の散髪屋がめちゃくちゃよくて、それからはそこに通ってる。最高だからGoogle Mapでレビューしたら、返信してくれるタイプの優しいお店。
オーダーを細かく聞いてくれるから自分の理想とかなり近い髪型に切ってくれる。なんなら、理想よりもお洒落に仕上げてくれる。髪質に合わせて、ワックスじゃなくて、ヘアオイルを塗ってくれるところも好きだし、ヘアオイルの金木犀の香りがすごくよくて、自分でも買って塗ってる。会話もちょうど良いし、値段も良心的でありがたい。

今日はそこに行くのが3回目だった。

近所ということもあり、予約しないでいったから、人がいっぱいいたら帰ろうと思いながらドアを開けると、初めて来たときに切ってもらったオーナーのお兄さんがいて、お客さんはいなくてすぐに席に案内してくれた。

席につくなり、僕のことを覚えていることを教えてくれた。前回、お兄さんに会ったのは6月のこと。(このお店は2人でまわしてるらしく、2回目は別のお兄さんだった。)
たかが数十分会話しただけの僕を覚えるなんて可能だろうか。かなり記憶力がある人なのか、もしくは、初めて来たときに何か変な言動をして覚えられたのか。
とか考えていたらすぐにオーダーを聞かれた。前回切ってから約3ヶ月経ったことだけを伝えた。

髪を切ってもらっている間、お兄さんはちょうど良い会話をしてくれる。広島から来た大学院生であることを覚えてくれていた。から、お兄さんの一言目は「最近研究どう?」だった。嬉しかった。(美容師に恋する女の子ってこういうかんじなのかな)


ぼさぼさに伸びた髪は、しばらく雑談をしていると、お洒落な髪型に変わっていた。

金木犀の香りを纏わせてくれている途中に、会話を結ぶようにお兄さんが話してくれた。

お兄さんが言ったことと僕が解釈したことをまとめると以下のようになる。

「自分と同じような人が周りにいるから麻痺しがちだけど、大学院は、精神的にも経済的にも誰もが通える場所じゃない。君の情熱と、それに協力してくれる親がいて、はじめて大学院に行ける。」

たしかに。完全に麻痺していた。

高3のとき、塾の先生に言われた「親が一番楽なのは、中卒で働くこと。次は高卒で働くこと。大学に行かせてもらうのは当たり前じゃない。」を思い出した。

この間、帰省したとき、そろそろ退職を迷っているお父さんがほろ酔いで、知り合いに話しかけていた、「息子が大学院で頑張っとるけぇ、もう少し仕事頑張ろうかな」も思い出した。


思い出した、ということは忘れていたということ。自分に喝。

いつだって自由な選択肢が与えられて、いつも自分勝手に選んできて、親にとって最良のルートではないかもしれないけど、応援してもらっているからには本気でやる責任がある。

髪を切りに来ただけなのに、急に胸が熱くなった。
前に来たときより100円値上げしたらしいけど、そんなの全然関係ない。
お代を払い、また来ることを伝えて店を出た。

今いる人を大事にするために、もっと頑張らなくては、と思った。

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