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帰りの電車でのワンシーン


帰りの電車に乗っていると、
満員近い車内で私の右隣にスーツ姿とおぼしめき30代くらいの男性が座った。
ちょうど私はnoteを書こうとアプリを開いたところだったけど、左にも右にも誰かが座っていると、なんだか
自意識が増してしまって、思うように書けないので、
スマホはバッグの中にしまうことにした。

隣に座っている人がどんな人かを思いを馳せるが、顔はまるで分からない。年齢も性別もなんとなくのその人の動きや持ち物で推測する。
右隣の人は白いカッターシャツにスラックスを履いているところまでは分かった。
すると、おもむろにごそごそと手元を動かし、
まだ綺麗には畳まれていない折り畳み傘をどこからか取りだしたのだった。今日は雨は降ってないはずなんだけどな。
白くて細長い指先がなんとなく私の右下の視界にちらつく。器用にその手をひらひらと動かして、あっという間に、だけれど丁寧に藍色の折り畳み傘を畳んでいく。
顔は分からないけれど、きっとこの人は美しい人なんだろうなと思った。

視界の隅になんとなくだけれど、ひらひらと折りたたむ美しい指先に魅入ってしまいそうだった。
こんなところにも人間の面白さが凝縮されているというか。傘を畳むその動きひとつや、折り畳み傘を綺麗に収納するというその事実だけで、なんとなく性格が見て取れたり、人との違いが明らかになる。面白い。


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