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#36「2年ぶりのスクールコーチ」

晴天のグラウンドで私は何かをしている。何かは思い出せない。ただ、子どもたちと一緒にいるから、サッカースクールのコーチをしていたのだろう。その後、辺りは急に一変する。黒い雲がものすごい速さで青い空を覆い始めた。グラウンドを出て道を足速に歩いていると、通り過ぎたお店の窓から「〇〇コーチ」と呼ばれた。そんなところで私は現実世界に戻った。寝起きの寝癖と頭痛に襲われながら。今日の午後の昼寝はいつも以上に長かったものの、疲れは取れなかった。

その正体は明白で、午前中の疲労と日焼けである。今日はいつもよりも早い7時に起床し、練習開始の2時間前にいつものグラウンドへ向かった。サッカースクールコーチのお手伝いをするためである。本来担当しているチームメイトがテストのためどうしても対応することが出来ず、代役を引き受けることになったのだ。

正直、引き受けるつもりはなかった。スクールコーチは大学生まででもう終わり。中途半端に引き受けてやるのは嫌だったという理由が一つと、単に貴重な睡眠時間が削られるのが嫌だと言う理由から、粘りに粘ったものの、チームメイトからの押しの強さとnoteのネタにもなるかなという思いから、今日だけ特別に、およそ2年ぶりにコーチ復帰することになった。

担当するのは幼稚園児クラス。2年半前に出来たこのスクールの一番初めにメインコーチとして担当させてもらったカテゴリーのサブコーチ。なんだかご縁を感じた。その当時に幼稚園児だった子らも何人かいて、彼らは隣の小学生クラスに通っていた。背丈がだいぶ大きくなった二人を見て、時の流れを感じてしまった。

当時は10名程度だったのが、今では20人を超える子どもたちが参加してくれて、名前を覚えるのも一苦労だ。練習に積極的に参加する子や、緊張でみんなの輪に入れない子、無言で近くのコーンをいじっている自由人と、本当に十人十色だった。それでも共通するのは、みんな純粋なエネルギーに満ちているということ。

結論からいえば、スクールコーチを引き受けて良かった。子どもたちの無邪気さに触れることができ、自分の疲れも吹っ飛んだように感じたし、癒される楽しいひとときだった。スクール後には、とある親御さんから「子どもをあやすのすごくお上手ですね」といってもらえた。学生時代に3年以上、3つのスクールでコーチのアルバイトをしていたのだから他の学生バイトメンバーに比べればその辺りは上手くなくてはいけないので当然だけど、単発のこの一回のなかでそういっていただけたことは嬉しかった。

そんなこんなで、スクールをやり、その後自分たちのトレーニングをやるというハードスケジュールを乗り越えた身体は、午後一瞬で寝れてしまうほどの疲労感と充実感を抱えていたのだ。昼寝で見た夢の真相は分からなかったけれど、コーチ業はなかなか楽しい仕事だったのだなと再認識することができた。

子どもたちに負けないくらい声を出していたのか、喉が痛くなってしまったのはここだけの話である。

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