折り返し地点|扁桃摘出手術日記②
入院三日目(術後一日目)
朝4時頃、目が覚める。少し喉が乾燥したようだった。寝れそうになかったので、濡れマスクをつけてnoteを書く。30分くらい二度寝し、起床時間。7時に久しぶりの食事が出された。重湯と味噌汁、トマトスープにほうじ茶。全部が汁物。味が美味しくて重湯と味噌汁は完食できた。
8時から診察なので、集中して食べなければならなかったが無事間に合った。手術してくれた先生に喉をチェックしてもらい、歯磨きと洗面の許可を貰った。洗面所はドアがなく男女分かれてもいないため、最初は抵抗があったが段々恥がなくなってくる。部屋に戻ってから今日の点滴を二種類つけてもらい、午前中のうちは比較的元気だったのでnoteを書いて投稿することにした。
お昼は三分粥とほうれん草のペーストみたいなもの。栄養がありそうなので頑張って食べるも、半分くらい食べたら胃がびっくりしたのか気持ち悪くなってしまった。1時間ばかり横になる。
午後、今日から身体を拭く程度ならOKとのことで看護婦さんが手伝いに入ってくれる。背中を拭いてもらう時、私の下着を見て「ナイトブラかわいい〜どこの?」と聞いてきてブランドを答えると、おもむろに自分の胸元をのぞいて「うん!しまむら!」と言ってきた。それに爆笑していると、産後太りすぎて看護服を4Lサイズまでコンプリートした話を披露してくれた。面白い看護婦さんだなぁと思う。
14時すぎ、母が面会に来てくれた。ラッピングされた袋からシマエナガの写真集と柴犬グッズを取り出してプレゼントしてくれた。お返しに昨日読み終わった吉本ばななのエッセイを渡す。
体調や入院生活などの話をしていると、「退院の日、お父さんに迎えに来てもらいなさい。嫌いなのはわかるけど!」と言われる。悲しい気持ちになったが久しぶりに地上に出て一人で帰れるかわからないので、渋々OKした。元気だったので母をエレベーター前まで見送る。
面会後はカツセマサヒコの『ブルーマリッジ』を読む。結婚前の青年と、同じ会社に勤める離婚寸前の上司の話が交互に織りなされる。パワハラをする側の描写もかなり鮮明に描かれていたが、カツセさんの文章力もあって読みやすかった。一気に読了し、"マリッジブルー"を反転させたタイトルは「結婚後のことまでブルーになっている状態(青年)」と「結婚の逆である離婚(上司)」を示唆しているのではないかと考えたりした。
気付いたら日も暮れ始め、夜ご飯の時間。魚のすり身や大根とにんじん、抹茶プリンなどが用意された。私みたいに固形物が食べれない人のためにも魚の形を形どってくれるところに、食事を楽しませようとしてくれる栄養士さんの想いが見えてくる。マヨネーズをつけて食べた大根と抹茶プリンが特に美味しかった。
食後、ドライシャンプーと歯磨きを申し訳程度に済ませ、夫にLINEを返したりする。離れて暮らしていると彼がとても自立した人間であることがわかり、少し寂しくなる。
夜はNetflixにダウンロードした『グランメゾン東京』を観た。面白すぎて就寝時刻一時間過ぎた後まで観ていた。
入院四日目(術後二日目)
3時半に目が覚める。暇つぶししようと思ったが二度寝できそうなので、そのまま就寝。6時過ぎに部屋の電気で目が覚める。唾を飲み込んだ時の痛みが昨日より増している。それでも扁桃炎や親知らず抜いた時程度の感覚で、許容範囲だった。
朝ご飯は三分粥と味噌汁とお豆腐、ホットミルク。全部は食べれなかったが、7割くらいは食べれた。入院四日目にしてちょっと気分が憂鬱になってきており、シマエナガのぬいぐるみをさすりながらご飯を食べた。
食後はすぐに診察。一緒に並んでいる人に「2分過ぎてるのにまだ来ないよ」と言われるが、2分くらいええやろと思う。先生がカビゴン柄の医療服を着ているのを横目で確認しつつ、診察。膿んだり腫れたりしてないとのこと。「痛かったら痛み止め増やせるからね」と言われたが、今のところ大丈夫そう。吸引機、歯磨き、洗顔を済ませて部屋に戻る。入院日の朝に自宅でシャワー浴びて来てからというもの、一度もシャワーを浴びれず頭が痒くなってきた。ドライシャンプーのシートを使う。
昨日の続きで『グランメゾン東京』を観ながら横になる。LINEを返したりする気にもなれず、しばらく就寝。お昼頃に目覚め、またご飯か…お腹空くかなと心配になるも昼から固形物がちらほら登場しているので食べてみることに。鮭とほうれん草のクリームソースがけがびっくりするほど美味しく、うますぎてカイジの作画で泣きそうだった。手術後の方が食材ひとつひとつの旨みを感じる。
午後は点滴を何度かつけ変えてもらいながら、横になって『グランメゾン東京』をダウンロードしてきた6話まで見終えた。Netflixのダウンロード制限、悔やまれる。その後は身体が休みたがっていたのでしばらく寝た。起き上がってからは辻村深月さんの『光待つ場所へ』を読んだりLINEを返したりする。すると、まさかの夫も辻村深月さんの本をたまたま読んでいたとのこと。こういう読書を通じた繋がりを彼と感じられるのは嬉しい。元気になってきたので、吸引機ついでに体重を測りに行くと、入院時より2kg減っていた。
部屋に戻りnoteの執筆。黙々と二日分の日記を書いていたら外が暗くなり始めていた。夜ご飯はハンバーグの概念みたいなやつと白菜のお浸しなど。お粥にはエビ味噌が付いており、ありがたかった。みかんは苦手な食べ物だけど、これで早く良くなるならと思って完食。入院してみて病院食が美味しいことが一番意外だったかもしれない。
夜になったら頭の痒さがひどく、シャワーを浴びれないのが辛くなる。明日相談してみようかな。ともかく、まだ口はあまり開けないけど喉の経過が順調そうで良かった。入院生活も今日で折り返しだ。
入院時あってよかったもの
のどぬーるぬれマスク
多くの人が言及しているが、乾燥を防ぐだけでなくこれをつけているだけで気休めになるのでかなりおすすめ。本5冊
8日間の入院で5冊もあれば大丈夫だろうと思っていたが、意外とすらすら読めてしまうので、むしろこのくらい持って来ておいて良かった。