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何故ペットとの共生社会が必要なのか?

「ペットとの共生社会を創ろう」という声は良く挙がりますし、筆者自身も大賛成です。自分の生涯を終えるまでに、何かしらの貢献をしたいと思っています。
ただ、そもそも何故必要なのか?を言語化して整理できていなかったので、大きな視点からですが、改めて纏めてみました。

「伴侶動物」「人類最善の友」の肩書きは、ただ可愛いからだけでない

全世界の3世帯に1世帯が犬と共に生活し、国内では15歳未満の子供の数(約1,500万人)を犬猫の数(約1,900万匹)が上回る今日、ペットは既に社会の一部として組み込まれています。
彼らがこれ程までに人間社会に必要とされるのは、単なる愛玩の対象として、だけではありません。
例えば犬であれば、3-4万年前から移動手段として、あるいは家畜の守護者としてヒト社会の進化を共に牽引してきました。
そして今日においては、盲導犬、セラピードッグ、災害救助犬、ウイルス探知犬(COVID-19渦においても、英政府は数千万円の予算を投じて探知犬を育成、空港等への配置を進めている)など、様々な社会課題に時には自らの身を犠牲にしてでも共に立ち向かう、他に類を見ない存在となっています。
(参考)CNN「新型コロナ「探知犬」の実験開始、においで感染者を識別か」

特に、人々の「健康」に対する貢献は注目を集める

ペットと暮らすことによる運動量の増加やストレス・孤独感の低減が”健康に良い”ことは各所で定性的に語られてきた事であり、飼い主であれば感覚的にも同意できる事と思います。
グローバルでも、実は2000年頃から人間の健康と動物(野生動物、家畜、ペット)の健康を一体で考えるイニシアチブが立ち上がっており(One Health)、ペットが人間の健康に齎すメリット(逆も然り)に関する研究・議論が進められています。
また、一部では定量的な試算も公表されており、ペット先進国のドイツでは年間約7,500億円、オーストラリアでは約3,000億円、ペットと暮らす事による医療費の節約が認められています。
(参考)ペット産業の現状と将来展望
健康問題は国連が定めるSDGs(Sustainable Development Goals)でもゴールの1つとして位置づけられる世界的アジェンダです。
とりわけ、超高齢化社会による医療費負担増が深刻化する日本においては、ペットによる健康の下支えは必要不可欠と言っても過言ではないでしょう。

更に言えば、「幸せ」になる為にペットと暮らす

加えて、より根源的な「幸せ」という観点からも、ペットとの共生が欠かせないことが分かってきています。
最近の研究により、犬と人間は見つめ合ったり、触れ合ったりすることでお互いに幸せホルモン「オキシトシン」を分泌し合うことが確認されています。
(参考)オキシトシンによるヒトとイヌの関係性
オキシトシンは、元来配偶者などパートナーとのスキンシップから分泌され、ストレスを減少させ多幸感を与える効果があります。
海外の実験では、オキシトシンの経鼻スプレーをされた被験者の寄付額が、そうでないセグメントの2倍になることが確認されたり、自閉スペクトラム症治療の有効性についても研究が進められるなど、注目が高まっています。
「幸せ」はいつの時代にも求められるものですが、自然災害やパンデミックの頻発、政治情勢不安により人々の「不安」が急激に高まる現代において、ペットがもたらす「幸せ」はより大きな意味を持つのではないでしょうか。

愛情の搾取ではなく、人間とペットが施し合う社会を

このように、ペットが人間社会の成立に少なからず貢献しているのは明らかであるにも関わらず、依然として彼らの権利や福祉を無視した生体供給システムが蔓延り、殺処分の問題も根深く残っています。
加えて、最近ではペットの高齢化に伴う二次診療体制の問題もあれば、個人的には、欧州等に比して公共交通機関等パブリックスペースでの制限が多い点も残念な所です。
彼らが”してくれた事”に対し、当然の恩義をもって報いるという当たり前のことをする為に、上記のような課題を超えた共生社会が必要であると筆者は強く想います。

今回は「なぜ?」という大上段の問いに対し、筆者の想いも多分に込めながら、柔い部分も多分に含みつつですが書き下してみました。
次回以降は、どのような共生社会を、どうしたら創っていけるのか、勉強しながらですが書き進めていきたいと思います。