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「屈折する息子」こそがRDJの真骨頂である【ジャッジ 裁かれる判事感想】

もうタイトルがすべてです。
こんばんは、みやもとです。

ロバート・ダウニーJr.といえばアベンジャーズやシャーロック・ホームズでSNSでは割と有名だったり人気だったりすると思うんですが、もう少し若いころはインディーズや単館系の作品にもたくさん出ていたんですよね。
本作「ジャッジ 裁かれる判事」はどちらかというとその若いころに出演していた単館系作品への回帰と位置付けられると思います。

チーム・ダウニー強い

本作は製作総指揮RDJ、製作に妻であるスーザン・ダウニーという「チーム・ダウニー」による作品でして、最初から最後までとってもRDJの映し方を「「「「「わかってる」」」」」作品でした。どのショットで画面止めても美しいですよ。ドリトルでも思いましたが、チーム・ダウニーは「美しく撮る」にものすごく力を入れてると思う。

物語はざっくり言うと「故郷に帰らず、都市で成功している息子が家族に頼まれて数十年ぶりに帰郷するも、少年時代の記憶に阻まれて父と衝突し続けてしまう」なんですが、
RDJ、実は全く同じ話を以前やってるんですよ。
「シティ・オブ・ドッグス」っていうんですけど。
これは「すみっこぐらしは実質ジョーカー」「ミッドサマーは実質TRICK」みたいな話ではなく、本当に。
ただ、シティ・オブ・ドッグスはメインは回想シーンなのでRDJではなくシャイア・ラブーフが演じる主人公の方にフォーカスが当たっているんですよね。なのでRDJのよさがぶっちゃけ活かしきれていないと思っています。また、大人になった主人公が帰郷してからの「和解」についてがかなりハードランディングです。
その「和解」――父との和解、兄弟との和解、元カノとの和解、ひいては「一度は捨てた故郷との和解」に重きを置いているのが本作「ジャッジ 裁かれる判事」です。
私はどっちも好きなんですよ、シティ・オブ・ドッグスは良くも悪くもかなり粗削りで、若く、生々しい失望と痛みがある。ただ、観る人をかなり選びます。RDJファンでもシティ・オブ・ドッグスはあんまりピンとこない、という人も多いですね。でもめちゃくちゃエモい。途切れたレールの向こうへ放り出されるようなエモさがある。
それをもう少しマイルドに、そして掘り下げて、軟着陸を目指し、かつRDJを誰よりも美しく撮る、という方向でアナザー版的に作られたのが本作なのかなあと勝手に思っています。

屈折し居場所のない息子を演じるとめちゃくちゃ輝くRDJについて

また見出しがすべてなんですけど、本当にそうだと思ってるんですよ。
彼の顔立ち――シャープな鼻筋や真円のような大きな瞳、それに立ち居振る舞いというのが何歳になっても不安定そう――神経質で猜疑的な人物を作り出すんですけど、それ自体が大人になりそこなった大人であるとか、パターナリズムにおける居場所のなさとかをもうそれだけで表現していて、家父長に抗うとしても正面からぶつかることも出来ない屈折した息子を演じる時に一際輝くというか。
思えば当たり役だったアイアンマンだって父と子の物語なんですよね。可愛い娘のいる父親の振る舞いも似合っていますが、それよりも機能不全な父を抱える息子の役の方が似合う俳優、他にあんまり思いつきません。

とはいえ、そんな限定的なシチュエーションの役が今後も続くとは思わないですし(シティ・オブ・ドッグスとの通底だって勿論私が勝手に言ってるだけです)、ドクタードリトルみたいな冒険活劇ジャンルも切り開いていってくれてるようなので、まずはMCU後の安定したご活躍と、それから何よりもシャーロック・ホームズの続編をお願いいたします!!!!!もう8年もワトソンを待たせています!!!!!頼むよ!!!!!

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