見出し画像

サラダの取り分けで居場所を作る女の子の話

前回の記事からものすごく時間が空いてしまいました。
こんにちは、みやもと a.k.a.八朔です。元来筆不精なので「頑張ってるな」と思っていただければ幸いです。
今回は前回ほどじっくり書いたり読んだりの内容ではないです。さらっと書いてるのでさらっと読んでください。

サラダの取り分けと女子力なんて10年前に終わった話だと思ってた

ところがつい先日、某SNSで「うちのゼミでは女子学生のサラダ取り分けは禁止しています」という旨のツイートが流れ、瞬く間に熱い議論が展開されることになりました。
学者先生がわざわざツイートするくらい今でも熱いトピックなのか、それは知らなんだ――という気持ちとともに、あるエピソードを思い出しました。

「気を遣いたくないので」と黙々とサラダを取り分けていた女子の話

僕が参加していたある飲み会で、黙々とサラダその他大皿料理をひたすら取り分ける女の子がいました。
さすがに任せっきりじゃ悪いかな、もしかしてここで配膳しなきゃいけなくて席の移動や遠い席の人とのお喋りも遠慮してるんじゃないか、そう思った僕は声をかけました。
「やってもらっちゃって悪いね、替わるよ」
「いえ、大丈夫です。気を遣いたくないので
女の子はフラットにそう言うと、そのあとも料理の取り分けをしていた。
その日はそれで解散したのだけど、後日彼女に訊いてみた。気を遣いたくないとはどういう意味だったのか。大皿料理を取り分けるという行為は気遣いそのものみたいなものじゃないのか。

「いえ、誰がやる? みたいな空気になる方が気を遣うんです」
それが彼女の一つ目の答えだった。
僕は瞬時に思い至った――学級委員の立候補を探す先生、誰も挙手しない教室、過ぎていく時間、誰か、誰か手を挙げろ、誰がやるんだ、誰かやれよ、早くしろ、そんな空気に堪えかねて「やります」と手を挙げる僕、そんな十代が僕にもあった。
そんなことを考えていたら彼女は更に続けた。
「それに取り分けしてたら飲み会に参加してる感じになるじゃないですか」
えっ? え? 何?
僕の聞き違いかと思ったので訊き返すと彼女はおおよそ以下のように教えてくれた。
・ぶっちゃけ彼女は飲み会があまり好きではない。
・でも彼女と仲の良い友人が参加するので、友人と話すために参加した。
・しかしその友人とだけ会話していたら他の人に対して感じが悪いだろうと思った。
だからといって気を遣って他の人と会話したくない。
・なので黙々と取り分け作業をして他の人と会話する時間を減らしていた。
彼女が言ってることがそれこそ僕に気を遣ってるわけじゃないなら、つまり彼女は自分も周囲もwin-winな関係として料理の取り分けを買って出たのである。

コミュ障にとってサラダの取り分けは救済手段の一つ

先程のエピソードの彼女をコミュ障とまで言い切るつもりはないけど、でもそうだと僕は思うのだ。
僕自身もそうだ。どれだけ気が利かない人間とはいえ、あまり親しくない人との飲み会などで特に会話も弾まない状況に陥った時、とりあえず手元の小皿を配りだすことがある。何故か? 手持無沙汰の方がつらいからだ。
正直乗り気じゃない飲み会、ランチ会、参加しなければならない場面というのは誰でもあると思う。今までの経験を思い出すと、そういう時はむしろ料理の取り分けって仕事があるだけ有難かったりする。

とはいえそれは女子力なのかって話

話が最初に戻りますが、今回のSNSでの議論の発端は先生がゼミの学生たちに「女子の取り分け禁止」というルールを設けたことでした。
正直な話、僕は「禁止するというルール」を設けるのはあまり賛同できません。その場の一瞬有難いかもしれませんが、長期的には女の子たちがその場その場で選択できる状態が好ましいと思うからです。この選択というのはNOだけでなくYESも含みます。
さて、件の飲み会について言えば逆説的ですがその飲み会の場には(女子のサラダ取り分け禁止という)ルールを設けて施行できる立場の人間が居たということになります。平たく言えば偉い人ですね。そしてその偉い人こそが「属性(今回は性別)による作業の発生を防ぎたい」と思っていたのなら、やるべきことはひとつです。
偉い人が自分で自分の皿にサラダを盛ればよかったのです。
偉い立場の人が一言「自分で勝手にやるよ」と言えば終わりです。なお僕はそういう会社でずっと働いているので気が利かないままの人生です。

下位の者の行動を支配するのではなく上位の者が積極的にアクションすれば組織は自然と変わっていく

というのは僕はここ最近たまたま常駐先で目にした言葉だったのですが、これが飲み会や食事会の場にもあてはまるのではないでしょうか。
もちろんSNSでの件の発言が間違いでも、僕の考え方が正解でもありません。同じように、サラダの取り分けを絶対にしたくない、そんなのは差別的な行為だ、と思っている女性が居れば、人と喋らなくて済むし楽だわーと思っている女性も居る。それだけのことですね。
その飲み会をどういう場にしたいか。それはその場その場で適した解を探していくしかないのだろうなと、そんな曖昧な結論で終わりにさせてください。

♥ハートマークをタップしていただくと書き手の励みになります(note未登録でもタップできます) ★面白かったなと思ったら是非フォローして他の記事も読んでみてね ★サポート機能からおひねりを投げ飛ばすこともできます(いただいたサポートは僕の仕事中のおやつになります)