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「Z世代女子」へのマーケティング、どうするのが正解?【インタビュー】

「Z世代」ってご存知ですか?

元々はアメリカから生まれた言葉で、1960年代から1970年代に生まれた世代を「X世代」と呼んだことから始まり、1980年代から1990年代前半生まれを「Y世代(ミレニアム世代)」、そして1990年代後半から2010年代初頭に生まれた世代が「Z世代」と呼ばれています。

Z世代は2020年時点で世界人口の約3分の1を占めており、今後は、消費者や労働者として社会で最も大きな影響力を持つと言われています。


実際、どんな世代で、どんな特徴があるの?

今回は、弊社のブランディング研究会「iCL」のメンバーであり、
武庫川女子大学でマーケティングを専門に研究されている高橋先生に
Z世代女子の特徴や、Z世代に向けたマーケティング施策について、インタビューを行いました。


高橋 千枝子先生
武庫川女子大学 経営学部教授
金融系シンクタンクでマーケティングリサーチや商品開発、新規事業開発などに従事。2017年より本学教員に就任。専門はマーケティングで、健康ヘルスケア業界、健康経営、女性向けビジネス、知的生産サービスなどを研究。
博士(商学)、経営学博士(MBA)。
著書に『20代の武器になる 生き抜く!マーケティング』(中央経済社)、『図解 健康業界ハンドブック』(東洋経済新報社)、『これからの人と企業を創る健康経営―健康経営評価と企業価値創造』(健康経営研究会)。『プロフェッショナルサービスのビジネスモデル』(硯学舎)など。


モノの所有より、体験重視


───Z世代とは、どんな世代ですか?
高橋先生:
Z世代の特徴として、スマホ・SNSが日常であるデジタルネイティブ、モノ所有に関心が低く体験を重視する、流行を追いかけず個性・自分らしさを大切にする傾向があり、男女平等・LGBTQなど多様性を尊重するとともに、SDGsなど環境・社会問題に関心が高いという特徴がみられます。
Z世代の親世代の多くはバブル崩壊後に社会人になっており、経済が良くない時代を生きてきたため、当人達も背伸び消費はせず、堅実な消費・価値観をもっています。これまでのマーケティングが通用しない世代です。


SNSは情報収集の場として使いこなす


───SNSはもはやどの世代にも浸透しているかと思いますが、Z世代特有のSNSの使い方はあるのでしょうか?
高橋先生:
SNS の使い方として、Z世代よりも上の世代は情報発信や交流の手段として使っていますが、Z世代は「情報収集」としてSNSを使っていると感じます。
私の世代では、たとえばカフェ・レストランなど飲食店を探す時、GoogleやSafariなどのブラウザでいろいろ検索しますが、彼女たちはSNSで流行りのスイーツや人気のカフェなどを検索して、上位に挙がってきたものをさらに細かく調べて、やっとそこに行く、というような感じです。
また、企業が出している情報を信用しないで、SNSで同世代の口コミを検索してモノを買ったり、お店に行く、というのが上の世代とは違うと感じる点ですね。


───では、Z世代は「発信」をメインにはしていないということですか?
高橋先生:
そこは難しいところですね。TwitterやTikTokをやっている子もいるけれど、家族や友達には知らせない匿名のアカウントも持っていて、その複数のアカウントを対象や目的によって使い分けている、というのもZ世代の特徴としてあります。
話を聞いてみると、高価なカメラでこだわった写真を撮って、旅行先やカフェの写真を趣味のアカウントで発信している子もいて、複数の人格、複数の目的をもって発信をしている子もいます。
複数のグループ・コミュニティに所属するのが当たり前なので、アカウントを分けて、それぞれで発信するという使い方がみられます。

 

環境問題に敏感な世代


───Z世代の女性の購買意識として、顕著に見られる特徴はありますか?
高橋先生:
先程の回答にもありましたが、SDGsに関心が強い傾向があります。
環境問題に貢献しているとか、社会課題に貢献している商品・サービスの情報を収集したり、優先的に購入したり。
ボランティア・寄付につながる購買など、「社会に役立つ自分でありたい」という意識が強いなという気はしますね。
また、「貯金はないけど、この商品が欲しいから高額でも買っちゃおう」というのは少なく感じます。身の丈に合った商品を選び、「これくらいお金があるからこれを買おう」というような、金銭感覚がしっかりしている印象があります。


───Z世代より少し上の世代だと、「みんなで同じブランドを持つ」とか、好きな芸能人のファッションを真似るとか…そういう流行りがあったと思いますが、Z世代もそういった動きはありますか?
高橋先生:
あまり服やバッグなどそういうものにお金を使うことはないけれど、「お気に入りのスイーツ」とか「お気に入りのカフェ」とかは結構似通っているのでそういう流行りがある所は他の世代と同じですね。
ただ、「モノ」より「体験」を重視しています。ファッションは様々ですけど、好きなカフェを聞くと同じ名前が出てきたりします。


自分で作る・自分で学ぶ


───コロナ禍になったことで、Z世代の購買意欲や購買意識に変化はありましたか?
高橋先生:
コロナ禍になる前からのZ世代の特徴かもしれないですが、ハンドメイドが好きなんだなと思う所はあります。
お菓子やアクセサリーを作るとか、欲しいものは自分で安く作るというのが比較的多く感じます。
特にコロナ禍になり在宅が多くなったことで、たとえば最初は動画視聴サービスを利用して楽しんでいても、在宅期間が長くなるにつれて、親と一緒にお菓子を作るとか、YouTubeをみて料理を作るとか、ちょっとしたアクセサリーを作るとか、そういうことをよくやっていますね。ハンドメイド思考があるのはコロナの影響もありますが、この世代の特徴でもあります。
景気がいい時代に生まれ育っていないというのもありますし、コロナもあって、自分の就職後や将来にすごく危機意識・不安がある子が多いので、しっかり勉強をするという傾向もあります。
今遊んで、社会に出てからしっかり仕事をしようというより、今、将来のために資格を取るとか勉強をしておくとか。学校の授業以外にYouTubeで勉強をするとか。
学生に、一番わかりやすい授業は?と聞くと「YouTubeです」と返ってくるんです(笑)。簿記の勉強はYouTubeが一番学べるとか。お金を使わずに勉強する方法を見つけていてすごいです。
購買意識というと堅実で、自分の将来のための準備をしっかりしている人が多いです。そこが他の世代と違いますね。


SNSで発信されていないものは、Z世代には認知されない


───では、Z世代に向けてマーケティングを行うにあたり、押さえておきたいポイントはありますか?
高橋先生:
まず、TVCMや動画広告、企業のプロモーションはZ世代には響きづらいですね。
身近な人とまではいかなくても、同世代の人が良いと言っていた商品・サービスを検索して、細かく調べる…というのが主流です。インフルエンサーや、ターゲットと同じ層の人かつ発信力のある人に情報発信してもらうというのもよくありますよね。
ただ、それで飛びついて購入するということはなく、そこからたくさんの情報を調べて、比較して、納得したものを買う。イメージだけ訴求しても買ってもらえないのでかなり細かく情報を発信しなくてはなりません。
手を変え品を変え、毎日情報を変えていくくらい細かくしていかないと選んでもらえない。手間はかかる方法が必要です。

写真に撮りたい、人に教えたいという発見や、新たな何かがないとSNSには載せてくれません。SNSに載せるネタになるような新鮮なことを企業が発信できればいいし、逆にそういうのがないと、まず目に留まりません。
SNSで発信されていないものはZ世代に認知されづらいですね。どうやってZ世代に発信してもらうかも必要です。


高橋先生、ありがとうございました!


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【はるかぜ」について】
「はるかぜ」とは、ブランディングの株式会社ハルに在籍し、専門分野をもつ女性スタッフによるマーケティングチームの愛称です。
それぞれの知識・ノウハウを活かして、エンドユーザーのニーズに即した女性視点のマーケティング施策を提案しています。
HP: https://harugakita.co.jp/service/harukaze/

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