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政治のようにデザインすること - 読書:コ・デザイン

最近読んだ本:

この本も読書会の課題図書で勧められ読んだ一冊。今回も著者ご登場で深夜1時まで続く熱い会でだった。

この本は何が書いてある?

「コ・デザイン」は、製品等の利用者や利害関係者など、従来は「作る人」とされなかったような人も一緒になって何かを作り上げる、そんなものづくりへの取り組みを指している。本書にはその説明や、なぜ必要なのか、実践には何が必要か、挫けそうな時どうしたらいいか、などが書かれている。

ただ、それだけではこの本の5割も説明できていない気がする。実はこの本は「デザイン」という広義な言葉をさまざまな学問の視点で丁寧に説明するところから始まり、倫理観や態度、デザインできる対象とは何か、そして終盤には表紙の絵にもある「Designing is Giving」の説明にまで話が広がります。

この本はデザインすることの本質を説明してると自分は思いました。なので、デザイナーはもちろん、何かを変えようと活動したり、作ったりしてる人なら誰でも勧めたい一冊。

✏️

本書の中でも、私は「政治」のところがとても面白く感じたので、それを感想文として残しておく。(かなりピンポイントなのですが、全体説明もっと書くと長くなり過ぎるので…)

作り手はユーザーの代表を務めている

デザインすることは、実は見えない権力をめぐる政治的な問題でもあります。そこで参加型デザインは、「デザインとは果たして誰のものなのか」を人々にたちどまらせて考えさせ、それまでデザインが特権的に行われてきたことを明らかにし、「民主化」するという理念をいち早く実践した事例となったのです。

この本から私が理解したことは(あってるかわからないけど)、政治家が国民を代表して、国民の現状をよりよくする担当であるように、私たち作り手というのは、ユーザーを代表して現状をもっとよくするということを行う、いわばモノづくりにおける「間接民主制」の代表者なのだということだ。

この考え方はコ・デザインを表す上でとても納得がいった。もともと国民のための政治だから「政治に国民を巻き込む」とは言わないように、プロダクト開発だってそもそもが当事者(ユーザー)あってのことだということがよくわかる。「プロダクトをユーザーが選ぶか選ばないか」「PMFしているか」などは「選挙」に相当するのだと思う。そこにはもう、従来の「作り手が作りユーザーに与える」みたいな構図は無い。

プロジェクトメンバー全てが意思決定に直接関与するわけじゃない

どんなプロジェクトでも何か一つに絞る、みたいな決定は大変な作業だ。

さまざまな因果関係を吟味したうえで、どのような方向性をとるかはさらに一段上の階層に上って考え、自分なりのビジョンを携えた上で判断しなければならない。
コ・デザインのプロジェクトにおいて、人々は政治と同じように「関節的に」意思決定に参加したことになります。

何かを決めるとき、上の引用にもあるように判断する人は「自分なりのビジョン」というものが決定に求められる。

参加型デザインを経て「あれ、なんか違う気がする」と思うのって結局このみんなが理解したビジョンというものがデザインプロセスのなかで研ぎ澄まされないところにあるのかなと思った。「良いアイディアがでなかったから」とかでプロジェクトがうまくいってないと思うこともあるけど、こういう重要なことがあることは忘れないようにしたい。

また、もし自分が判断する側なら「いかに自分のビジョンをプロセスの中で磨いていくか」、また、参加者側なら「いかに判断する人のビジョンに訴えかけるか」というのがある意味コ・デザインの当事者に必要な姿勢なのかもなと思った。

うーん、思った以上に上手くまとめられなかった…。もう少したくさん読んで書けば慣れるのだろうか…。


photos : Edwin Andrade / History in HD

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