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〜正統派フレンチと日本酒の口福マリアージュ〜てるじい×近石凌弥シェフ

ようやく心置きなく外で日本酒を飲める日がやってきましたね。
外でご飯を食べることの特別感が以前よりも増し、ありがたみをより強く感じます。

思えば、以前はよく足を運んでいた日本酒ペアリングのお店やイベントにもしばらく行けておらず、刺激の足りない日々を送っておりました…。

ということで、久しぶりに日本酒と料理のマリアージュを堪能するべく、このnoteで過去2回ほどご紹介させていただいた、日本酒ソムリエてるじいの口福マリアージュ会に参加してきました!

▼過去の記事はこちら

今回のテーマは、正統派フレンチと日本酒のマリアージュ。
フレンチの近石凌弥シェフとのコラボレーションです!

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てるじい / 日本酒ソムリエ
28歳の時に日本酒の虜になり、その素晴らしさを広めるために日本酒の世界へ。
大手酒販店である「はせがわ酒店」に5年間勤めたのち、日本酒の名店「荻窪いちべえ」の店長を3年間経験。その後、今や超人気店の「麦酒庵 恵比寿店」を立ち上げから関わられて5年間店長を勤められたという、ザ・日本酒エリート。
麦酒庵時代に日本酒と料理のマリアージュに目覚め、官能評価と科学的分析を基にした相性の研究を重ねる。現在は、これまで培ってきた蔵元や酒販店との信頼関係や、独自の酒スキルを活かして、フリーランスとして活躍。

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近石凌弥/ 料理人 
香川県出身。2015年坂出第一高校(調理師課程)を卒業。
その後上京し[シェ・イノグループ]に就職し5年半修行。
2020年8月退職し、フリーランス料理人(フランス料理)として主に個人宅への出張料理を行う出張料理人として活動中。
[食を通して楽しく幸せになる]そんなひとときを願い、叶える料理人をしている。

Facebook:https://www.facebook.com/ryoya.chikaishi   
Instagram:https://www.instagram.com/cr.ferrari458/?hl=ja

前回は、薬師神陸シェフのモダンフレンチと日本酒のマリアージュを楽しみましたが、対する近石シェフは、シェ・イノグループ仕込みのクラシックな正統派フレンチ。今回はどんなマリアージュを味わわせてくれるのでしょうか。

白子とリンゴのカナッペ×月山スパークリングCLOUD

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一品目は、アミューズにぴったりの、一口サイズのカナッペ。
リンゴと白子という、驚きの組み合わせです!!

クラッカーには、ヨーグルトとブルーチーズが塗られ、白ワインで煮たリンゴのコンポートがたっぷり。軽く火を通した白子の上には、シードルビネガーのジュレが添えられています。上に散らされているのは、香りのよい粉山椒です。

全ての具材を一緒に味わうべく、一口でパクりと頬張ると、幾層も重なる複雑な味わいが口いっぱいに広がります。とろりとした白子のコク、チーズの香り、リンゴの甘さ、シードルビネガーの酸味。そして、これらを粉山椒の香りが爽やかにまとめます。

白子とりんごの組み合わせ、クセになるおいしさです。

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こちらのお料理に合わせたお酒は、「月山 スパークリング クラウド」(吉田酒造/島根県)

瓶内二次発酵によるきめ細やかな泡が特徴の、うすにごりの華やかなスパークリング酒です。もぎたてのりんごのような爽やかな香りと、リンゴ酸系の軽やかな酸味があり、お酒単体でもものすごくおいしい…!

そして、ペアリングも計算され尽くしています。
クラッカーのサクッとした食感は、スパークリングのシュワっとした発泡感と調和し、お酒のりんごのような風味は、そのままりんごのコンポートにピタリと合わさります。白子のとろっとした味わいが、うすにごり特有の米のコクに絡み合い、シードルビネガーの酸味がお酒のリンゴ酸と共にキュンと全体をまとめます。そして、最後にスーッと鼻に抜ける山椒の香り…。

うっとりするような、ラグジュアリーなマリアージュ。
クリスマスなど、これからのパーティーシーズンにもぴったりですね。

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そして、今回もてるじい名物の味変アリ。
「飯田橋 遊」さんとのマリアージュ会のように、今回もお酒そのまま+味変バージョンの、一回で二度美味しい構成に。

月山スパークリングの味変アイテムは、粉山椒

料理にも山椒が振りかけられていますが、お酒にも加わると、さらに親和性が高まります。お酒自体もより一層爽やかになり、白子のクセも和らぎますね。

ちなみに、てるじいが愛用しているのは、大阪のやまつ辻田さんの粉山椒。
七味唐辛子など、その他の香辛料も絶品だそうです。

ミント香るクスクスサラダ×月桂冠 果月 桃

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2品目は、ミントとトマトと生姜をクスクスで和えたサラダに、モッツァレラチーズと桃のシロップ漬け、シャインマスカットが添えられたオードブル。

トマトの酸味とミントの香りが爽やかなクスクスに、モッツァレラチーズのコクと果物のジューシーさが驚くほどマッチします。

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このお料理に合わせたのは、「月桂冠 果月 桃」(月桂冠/京都府)

なんと、果汁を入れるわけでもなく、香料を使うわけでもなく、純粋に「日本酒」として、桃の味わいを表現したお酒だそうです。
初めて飲んだのですが、これは確かに「も、桃だ…!」となりました。

そして、このお酒に、クスクスが信じられないくらい合う!!

桃のような味わいの日本酒なので、試しにストレートに桃に合わせてみたところ、同調するだけで新しい美味しさは生まれず。モッツァレラチーズとも合うは合うものの、いまいちパッとしない。

しかし、クスクスも一緒に食べることで、口の中で爆発的な化学反応が…!!

クスクス単体でも合いますが、桃とシャインマスカット、モッツァレラチーズと一緒に味わうことで、さらに美味しくなります。私はこのマリアージュが一番好きでした。

お皿に散らされたミントをお酒に入れて味変すると、さらに香りよく楽しめました。

真鯛のポッシェ スダチ風味のスープ仕立て

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3品目は、スープ仕立ての魚料理。

真鯛のアラで取った出汁で真鯛を炊いた、うま味たっぷりの贅沢な一品。
カブのすりおろしが入ったスープは、ほっこりと優しい香りに、とろりとした食感があります。すだち果汁の酸味もきいていて、すだちの皮の香りも爽やかに香ります。たっぷりのミョウガも嬉しい。
真鯛に隠れてしまいましたが、後ろにはツルムラサキも添えられています。

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合わせたお酒は、「鳩正宗 純米 りんご酵母仕込み 生酒」(鳩正宗/青森県)。りんご酵母由来のフルーティーな香りと軽快な酸味があり、どこか白ワインを思わせる味わいです。

合わせる前は、「料理に対してお酒の香りが強すぎるのでは…?」と思ったのですが、実際に料理と共に味わってみると、意外にもスッと馴染んでくれました。

料理が繊細な味わいだからこそ、お酒を合わせることでおいしさの輪郭がハッキリするように感じました。言葉で説明するのが難しいのですが、料理を食べながらお酒を口に入れると、ふわふわしていたものがクッキリしてくるイメージです。

そして、このお酒の味変は「ベルモット」
ベルモットとは、白ワインをベースに、様々な香草や香辛料が配合された、フレーバードワイン。飲むだけでなく、フレンチでは料理にもよく使われるそうで、なんと「何か良い味変アイテムが無いかと探していたら、近石シェフが料理用に持ってきていたベルモットがあったのでピンときて」と、てるじい。

ベルモットを少量入れることで、なんとも奥深くエレガントな味わいになり、料理のおいしさもさらに引き立ちます。てるじいのセンス、恐るべし。

芋豚バラ肉のロティ エシャロットソース 季節の焼き野菜 × 達磨正宗ひやおろし

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4品目は、いよいよメイン料理。
茨城県の、さつまいもを食べて育った「もち豚」のバラ肉のロティ(ロースト)を、エシャロットソースと季節の野菜で頂きます。

さすがはソースが命のフランス料理。
このエシャロットソースは本当に絶品でした。

フォンドボーをベースに、赤ワインとベルモットなど様々な材料を使い、手間暇かけて作られたソースだそうです。お肉ももちもちでジューシー!れんこんやキノコなど、秋のお野菜とよく合います。

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合わせたのは、「達磨正宗 純米 ひやおろし」(白木恒助商店/岐阜県)。こちらはお燗で頂きました。

長期熟成古酒で有名な達磨正宗の中では、ひやおろしは熟成が浅いお酒。
とは言え、しっかりと色づき、ほんのり熟成香もあります。

これまた納得のペアリング。
味のしっかりした根菜と熟成酒は相性が良く、たっぷりめに振られた黒胡椒のパンチがお酒のパンチとぶつかり合い、良い塩梅です。ソースのコクとうま味はお酒の複雑な味わいに溶け込み、お燗で口の中が温まることで豚肉の脂がとろけるおいしさが楽しめます。

そして、こちらの味変はガラムマサラとダージリン

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お酒をお燗にする時にこれらを加えて、濾したそうです。
ダージリンの香りと若干の渋味でお酒の甘味が引き締まり、複数のスパイスがブレンドされたガラムマサラのスパイシーな香りが一味違うアクセントを付け加えてくれます。

豚バラ肉のこってりさと達磨正宗の甘味はよく合いますが、ともすればしつこさもあるため、スパイスが加わることでよりさっぱりと頂けました。

ガトーショコラ × 木戸泉Afruge Ma Cherie

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ラストのデザートは、近石シェフ渾身のガトーショコラ。
とても濃厚で、口の中ですぐにとろけてしまいます。

下にはイチジクのソースが敷かれ、ピンクグレープフルーツが添えられています。濃厚なガトーショコラを楽しみながら、合間にピンクグレープフルーツを食べて口の中をさっぱりさせると、交互にずっと食べていられますね…。

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合わせたお酒は、「木戸泉 Afruge Ma Cherie」(木戸泉酒造/千葉県)

「afs(アフス)」という甘酸っぱいお酒をシェリー樽で熟成させたスペシャルなお酒で、まるで洋酒のような味わいです。

私自身、熟成酒とガトーショコラが合うことはよく知っているのですが、このお酒は酸味がとても強いので、「え…?本当にこれと合うのかな?」と懐疑的でした。しかし、ここで重要な役割を果たしてくれるのが、ピンクグレープフルーツ。

ガトーショコラと木戸泉をそのまま合わせると、やはり木戸泉の酸味が勝ってしまうのですが、ピンクグレープフルーツを一緒に味わうと、酸味が同調して、お酒との橋渡しをしてくれます。

そして、こちらの味変アイテムはナツメグとシナモン

スパイスの風味が加わることで、さらにマリアージュにグラデーションが生まれます。お酒の熟成感とナツメグ・シナモンはよく合いますね。

デザートまでたっぷり楽しみ、大満足のマリアージュでした!!

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今回は、中延のSHU SAKE CORP.さんでお酒を選び、お酒の味わいに合わせて料理を組み立てていったそう。

今回のマリアージュを作る上で苦労した点を伺ったところ、「マリアージュのパーツ(要素)は決まっていても、それを単純に料理にしても美味しいとは限らないため、料理としての美味しさとマリアージュを両立させるのが大変だった」とのこと。
(…私も毎月の料理教室で同じ苦しみを味わっているので、その気持ちよ〜く分かります。。)

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ちなみに、完成度の高いお料理とマリアージュでしたが、今回のお料理を担当された近石シェフは、なんと弱冠25歳!!末恐ろしい…。
今後がますます楽しみですね。

近石シェフは、日本酒だけでなくワインのマリアージュ会も頻繁に行われているそうですので、ご興味のある方は是非参加されてみてください。

てるじいの口福マリアージュ会は、今後も様々なシェフやお店とコラボレーションして行われますので、こちらも是非とも参加してみてくださいね。

▼今後のイベント予定
🌟12/16木「新政 & "JSP限定酒" だらけの会 」
 冷蔵庫パツパツなので、超豪華なお酒ばっかりを超お得に放出しちゃいます🤣
🔽ご予約はこちら🔽
https://forms.gle/k7rg4eT8q4joGdke7 

🌟12/20〜24「レストラン "土と風" フレンチ×どぶろく&日本酒 口福マリアージュ」
 秋田県の新設酒蔵に併設のレストランにて8席限定口福マリアージュやります♫
🔽ご予約はこちら🔽
https://coubic.com/inetoagave/services#pageContent 

🌟1/7・1/10に超希少な「NO6だらけの会」を2日に分けてやります🍶

🌟1/15「フレンチと日本酒&ワインの口福マリアージュ」
お昼と夜2回に分けて、東京タワーが綺麗に見えるお洒落空間で少人数で開催します🇫🇷🍶🍷

お酒好きな方々とご一緒に是非ご参加ください😊
下2つは近日中に募集開始しますので、
予定を空けて楽しみにお待ち下さ~い😘

[てるじいnote ]
こちらへ情報アップします🍶
https://note.com/telug

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日本酒にスパイスや紅茶、さらにはベルモットまで…。
久しぶりに、たっぷり刺激を受けたひとときでした。

日本酒に世界の料理を合わせることやスパイスなどをちょい足しすることは、もはや新しい常識のようになってきましたね。日本酒は自由だ…!!

てるじい、近石シェフ、ありがとうございました!!

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