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77.【東京広島物語⑦】自問を続ければ、答えに辿り着くことはできるのだろうか

答えとは何なのだろうか。そもそも何かに辿り着くことはできるのだろうか。問いかける。正解などなくとも、決断の時は迫る。

さて、前回の続き。
そんなことを思っていた、前回の記事から二日後のお話。

「広島に異動してもらうことになった」

上司お得意の冗談かと思いました。
結構ジョークが達者な方ですが、仕事が鬼のようにできる人です。
会社で最も尊敬しています。

その人が言うものだから、本気で冗談だと思ってました。
何言ってるんだろう?と言われた瞬間理解できないという現象が、人生で初めて起こりました。

まさに、青天の霹靂でした。

なんで?がたくさん出ました。
なぜこのタイミング?
なぜ、僕なのか?
なぜ、こうもチャレンジしようと決めた直後なのか?

「……いつからですか?」

恐る恐る、尋ねました。
答えなんて、聞きたくないはずなのに。

「来月から」

どうやら、広島営業所の立ち上げを担当することになるそうでした。
弱冠25歳、新卒3年目でそんな大役を任されるのは、ある意味栄転のようなお話でした。

ぐるぐると、思考が脳内を巡ります。
一昨日、学ばせてくださいって言ったよな、とか。
土日の使い方や、平日の使い方を変えていこうって決めたよな、とか。
東京にいるつながりを広げて、頑張ろうって思っていたよな俺、とか。
広島行けば、全くの未知の土地で力がつくことも考えられるな……とか。

いろいろ思いが巡りました。
お得意の正解探しの旅が始まります。

でも、学校のテストみたいに正解なんてものはどこか別のところにはなくて。

あるのは、自分自身の中。
あるとしたら、自分の中だけに、答えがある。

早速先輩に相談しました。
夜24時でしたが、話を聞いていただきました。

こうした方がいいよとアドバイスはいただきましたが、結局決めるのは自分だよ、よ。
それから数日に渡って相談しても、やっぱり結論はそんな感じで。
僕もまあそうだろうな、と思いながら、まるで他人事のように、自分のことを考え続けていました。

広島に行ったら、どんな生活になるだろう。
学びたいしな。東京にいる人たちは、かけがえのない人たち。
でも、異動を断れるのだろうか。
断ったところで、これから何していくかもよくわからないし……。

結局、そのときの僕が出した答えは、広島に行く、でした。

「広島行くのか……」

先輩の、驚いたような、どこか憂いのような、そんな声を今でも忘れません。
今となっては、そりゃ一緒に頑張ろうぜと言った仲間が物理的に離れていくのは、寂しいことでしょう。当時の僕は、それすらも汲み取れずにいました。

ただ、先輩つながりで、散々僕に「本当はどうなりたいの」と問いかけをいただいていた方からもう一つ助言をいただきました。

「通えばいいじゃん」

私も京都に転勤になって、そこから3ヶ月間通っていたよ。

そんなことをおっしゃいました。

広島から、東京へ。

学ぶ時間は土日にあるから、土日に来ればいい。

言葉にすれば単純だけれども。

僕の約700kmの往復は、そこから始まります。

忘れもしない、あの年の、6月19日から。

暑い夏が、すぐそこまで近づいてきていました。

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