見出し画像

第八幕:猫たちが大騒ぎ!?6 ミュージカル研究会の頃-汗と涙の青春ストーリー-

また、自主公演などで江夏さんが観客席にいると、すぐにわかった。
一人、”あは、あは、あは”と笑っているから、すごく浮いているのである。
彼は身内だったから、お客さんが笑うところ以外でも、身内ならではのおもしろい部分もわかるから、誰も笑っていないような場所でも遠慮なく笑うことがあったのだ。
だから、引退後に後輩の芝居などをみにいくと”あ、江夏さんがきてる!”なんて、みんなすぐわかったのである。
「江夏が笑っていると、間がおかしくなってやりにくいんだよね」という会話もよくあった。

6

このように、どこか面白みがあり、隙があるところが、江夏さんの持ち味だった。
また、性格もあけぴっろげで、夏合宿の時は、”俺は合宿中にこれを読んで勉強するんだ!”と”変なタイトルの本”を持ち歩き、ハイテンションでみんなに見せびらかしていた。
それをみて、みんなは苦笑いしたり、笑ったりしていた。
絶対的なムード―メーカだった坂上さんがいなくなり、その弟子のような存在だった江夏さんなりに盛り上げようとしていたのだ。

話しを戻すとそんな江夏さんが、猫組の芝居を見ることもしばしばあった。
そんな江夏さんが思わず”猫組はちょっと空気が重くて来にくいんだよな、美也子もあんまり来たがらないだろう”みたなことを、なぜか僕にそっとつぶやいたことがあった。残念ながら猫組は雰囲気が悪かったのである。

猫組はこのような状況だったが、他の組はどうだっただろうか。
舞台はねずみ-猫-象という順番で、主人公は輪廻を経験していく。
さらに、たびたび霊界?のような場所で、謎の男(幹事長の真壁さん)と軽快な会話がある。

ネズミ組は新人中心でとてもやりやすそうな印象があった。
ねずみチームを引っ張るのは男子では彦一、女子では優有だった。
新人なのにソロもあり、抜てきされていたのだ。
ネズミチームは性格が良く素直なタイプのメンバーが集まり、まとまりもあった。

たびたびこの物語にも出ている優有は歌が大好きで、芝居も温かみがある子で、他大学組だった。
常に笑顔をたやさず、男性からの人気も高かったし、女性からも嫌われないような、みんなから可愛がられるタイプだった。
そんな彼女なので、先輩にもかわいがられ、ネズミのリーダーに抜てきされた。男の役だが、ボーイッシュな感じでとても合っていた。

つづく…(続きを早く見たい方は、ハルカナル屋根裏部屋にアクセス!)

第一幕:未知なる舞台へ!
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/第一幕:未知なる舞台へ!

第二幕:衝撃! 初役はみんなが大嫌いなあれ!?
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act2

第三幕:最初の公演
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act3

第四幕:夏の発表会
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act4

第五幕:脚本会議、夏の陣
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act5

第六幕:夏休みも大変!? 音響スタッフで出陣!
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act6

第七幕:夏合宿
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act7

第八幕:猫たちが大騒ぎ!?
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act8

第九幕:試練の秋
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act9

登場人物

-新人-
僕:元帰宅部。歌、ダンス、芝居、3拍子そろわない珍しい新人。しかも、入部したのが2年生の時だったため、振り返るとかなり浮いた存在だった。
岩尾…親友。2浪しているフリーターながら、ミュージカル研究会に入る。
鉄郎:某都内に通う高校時代、伝説となった男。野性的で、繊細で、躍動的で、とても頭がよく、次元の違う存在感を放っていた。どこを行くのも裸足で歩いていた。
優有(NEW):歌と芝居が大好きで他の女子大学からミュー研に通っている。穏やかで性格が良く、みんなから好かれており、脚本家の坂上さん、美也子さんらに気に入られ、たびたび彼らの作品に主役で出演することになる。
芽衣…大阪出身でのりやよく、ダンスが好きだった。若くして亡くなってしまい、この作品を書くきっかけになった存在の1人。

-中人(2年目)-
美也子さん:容姿は少しボーイッシュで、性格は物静かで控えめ。宮沢賢治を愛しており、彼女が生み出す脚本は、独特で素晴らしい世界観だった。
江夏さん:新人の時はぺけをつけられていた僕や岩尾とかなり距離があり、あまり話す機会はなかった。坂上さんとおなじ愛知出身で、師匠と弟子のような間柄だった。普段はちゃらんぽらん、三枚目だが、ミュー研への思い入れが人一倍強く、男子では歌、ダンス、芝居が一番うまかった。とても個性があり、 後に百萬男 – フジテレビに出演した。
時子さん: 歌・ダンス・芝居、すべてのレベルがトップクラスの先輩だが、怒ると鬼より怖く、男子全員に恐れられていた。
松田さん:初対面の時に「俺、次の舞台で主役とっちゃうよ!」と言ってのけた自信家。実際は繊細で神経質な一面もある。一方でできの悪い後輩を気にかけ、面倒見の良い一面もあった。
夕実さん:松田さんの彼女。小柄でかわいらしく、親切な先輩。


ご覧いただきありがとうございます!