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騒動1-サイレント・ネオ-boy meets girl-

この夏、電子書籍化予定

もう空は白み始めている。とんでもない夜になってしまった。
あまりに色々なことが起きすぎて、誰もが言葉数少なだった。
オジャムは疲れ切っているし、サシャは半分眠ってしまい、しきりにめをかいている。気を失ったテディ・Dはムサシの腕の中で目を覚ますことがなかった。

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家に戻ると居間に明かりがついていた。ちゃぶ台には冷めたお茶がおかれており、憔悴しきって背中を丸めているゴサクとオネの姿があった。

「あの……」
そんな姿を見てオジャムは言葉が見つからず、居間の入り口で立ち尽くしていた。
「今日は疲れただろう……とにかくおやすみ」
しばらくして、オジャムに気が付くと、オネはいつもの優しい口調で言った。
「はい…おやすみなさい」
オジャムはそういうと、サシャを客間につれていって布団に入れた。さらに、ムサシがつれてきたテディ・Dも隣の布団にそっと置いた。
それから、オジャムとムサシは、外にあるプレハブ小屋で寝ることにした。

プレハブ小屋の片隅には粗末な二段ベットが置いてあった。
かつては、ここでサシャも寝泊まりしていたが、今はオジャムが一人で使っていた。
ムサシは上に、オジャムは下の布団にもぐりこんだ。
オジャムは上の段のベットを下から眺めながら言った。
「ムサシくん、今日はありがとう。本当に助かったよ」
「……ったく、お前と会う時はいつもやっかいごとばっかりだな!」 「ごめん……だけど、明日は色々と大変なことになりそうだね」
オジャムはほっと息を吐きながらつぶやいた。窓の外は明るくなり始め、すでにすずめたちのさえずりが聞こえていた。
「まあ、なるようにしかならないさ」
ムサシは大きな欠伸を一つすると、あっというまに高いびきをかきはじめた。この男はどこでもすぐに眠ることができるという特技を持っているのだ。
オジャムは疲れと眠気におそわれるぼんやりした頭の中で、
「僕らのせいでゴサクさん、オネさん、村の人たちにひどい迷惑をかけてしまった」
「もうここにいることもできないだろう…そしたら、どこに行けばいいのだろう」
「テディ・Dのかわりようにほんとうに驚いた。でも、僕が力になって守らないと」
「何よりかわいそうなサシャをこの先どうしたらいいのだろうか…」
などと、あれこれ考えているうちに、いつのまにか眠りに落ちてしまった。

サイレント・ネオ-boy meets girl-(騒動/先行配信中)

BGM

-登場人物-

テディ・D:ゴスロリの格好をし、腕には9.8と数字をほり自死がんぼうがある少女。
オジャム:お飾りの提督をしていたが、父親をころされたあげく、砂漠に追放された。命からがら助かり、ゴサクの家で豚小屋などを掃除して糧を得ている。心優しい少年。
サシャ:誘拐船でオジャムと出会った6歳の女の子。勘が鋭く、ゴサクに気に入られている。その正体は…!?

ムサシ:地球(テラ)・ネオ東京出身の19歳の青年。愛機サイレント・ネオをあやつり、第5次地球・コロニー戦争において100機落としを達成、スーパーエースに認定された。しかし、戦う意味を見失い、月歌に放浪の旅に出る。

ソック:ムーンキングダム・斥候隊副隊長。ボーナスをなくしてしまい、恐妻トド子に家を追い出された悲しき中年男性。

シャギ:極悪非道の仮面騎士と呼ばれる男。若いころは、義侠を持ち黄金のシャギと呼ばれていた。青年時代に地元の若者たちと悪党を結成、砂漠地帯で暴れまわったが、ゲンバ提督の娘に手を出したことで怒りをかってしまう。顔を切り刻まれ、腕と足を切り落とされたあげく、投獄された。しかし、復活後は人が代ったように残酷になり、シャギ党を結成して、ついにはカイバの提督の座を強奪するに至った。

ムドー:月歌だけでなく、コロニー連合などで十数年の間、傭兵として戦場をわたりあるいてきた猛将。残酷な攻撃をすることもあるが、騎士道と義理を尊ぶ武人。シュトライツァー党では義兄弟のシュトライツァーの副将として活躍、北国随一の武将とまで呼ばれるにいたった。ダークブルーのパンツァーを愛機としており、精鋭の青備え50機を率いる。

マギー教授(おねえ)とみなみちゃん(アイドル):一年前に地球(テラ)から月歌に向けて出発したが、未だに到着せず。
かつてスーパーエースだったマギーは戦闘での怪我のため、現役を引退して士官学校で教授をしている。裏の顔はおねえである。

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