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読書嫌いが挑戦!夏目漱石『心』


まえがき

堂々と言える話ではないですが、私は本を読むのが好きではありません。
ハッキリ言うと嫌いです、特に文学作品。
なのになぜ、夏目漱石の「心」なのか。
答えは簡単、目で読んだのでなく、耳で読んだのです。
たくさんの作品の中で、「心」が目についた、ただそれだけです。

耳読書をするのは、職場から最寄り駅に着くまでの10分間だけ。
かなりの日数が必要でしたが、読破することができました。

主な登場人物

「私」「先生」「K」

あらすじ

「私」は鎌倉で先生と出会いました。そして仲良くなり、「私」は先生の家に出入りするようになります。
先生は毎月、誰かのお墓にお参りしています。
実は、そのお墓は、幼なじみKのものでした。

Kと先生は同じ女性を好きになりました。しかし、その女性と先生が結婚すると知ったあと、自ら命をたってしまいます。先生は結婚後も、ずっと罪を感じて生きてきました。しかし、最後には先生も自ら命をたってしまうのです。

感想

心の動きの表現が素晴らしい

話が全て一人称で進んでいきます。
この話の中で一番印象にのこるのは「先生と遺書」です。
人のずるさや葛藤がとてもよく表現されていて、言葉で人の心の動きをそんなに表現できるものなんだと驚きました。
Kが、自殺した後、「私」は長い間その罪悪感に苦しみます。本来は、幸せなはずの毎日なのに。
完璧な人など誰もいなく、誰もに弱いところがあります。正しく思いやりのあること、自分を犠牲にすることが正当なのかを、改めて考えさせられました。

明治時代の恋

今では、人生の中で恋をする事はそんなに難しくありません。しかし、明治時代の人たちにとっては、恋心を抱くことそのものが、とても貴重だったということがよくわかります。

失望は生きる気力を奪う

考えてみれば、よくある話です。
2人の学生が下宿屋の娘に恋をして、抜け駆けした方が勝ったのです。
Kの自殺の原因は失恋ではなく、友人の裏切りに失望を感じたのだと思う。失望は生きる気力を奪います。
人の心が純粋だった時代、人を信じる思いも、ずっと純粋だったのでしょう。

遺書が長い

とにかく、先生の遺書はとても長いです。
この遺書には、先生の人生そのものが書かれていました。
物語だから最後まで読むけど、実際にこんな遺書があったら、読む人は大変ですよね。
できたら、その遺書を読んだ後の「私」の行動や反応を知りたかったです。
このあと、「私」はどうしたのだろう。確か汽車の中で読んでたと思うので、そのまま駅について、先生の妻に会いに行ったのでしょうか。

まとめ

私はやはり文学が好きではありません。そう思いながらも、この話を最後まで読んでしまいました。耳読書で聞いていると目で読む場合とは違う感じ方をします。その結果、夏目漱石の「心」は、時代背景が分かり、聞いているだけで、情景が浮かぶとても良い作品だと思いました。文学嫌いな私が最後まで読んだ貴重な作品です。

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