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裏切りのサーカス

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2011年のイギリス/フランス/ドイツ映画。変幻自在のカメレオン俳優、ゲイリー・オールドマン主演の重厚なスパイ・サスペンス作品です。
原題 "Tinker Tailor Soldier Spy"。

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あらすじ(ネタバレなし)
舞台は東西冷戦下の1980年代。スマイリー(ゲイリー・オールドマン)は英国情報部「サーカス」を引退した老スパイ。
極秘裏に、彼に新たな指令が下される。それは、20年にわたってサーカスの中枢に潜り込んでいる二重スパイ「もぐら」を捜し出し始末する、という任務だった。
膨大な記録や関係者の証言をたどり、容疑者を洗い出していくスマイリーがたどり着いた裏切り者の正体とは――。

原作は、ジョン・ル・カレのスパイ小説『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(1974年)。なんと、著者自身が英国 MI6 の元諜報員(!)という経歴を持っており、実際にあった事件を題材に書かれた作品です。

監督は『ぼくのエリ 200歳の少女』のトーマス・アルフレッドソン。

共演には、『英国王のスピーチ』のコリン・ファース、『インセプション』のトム・ハーディ、『ハリー・ポッター』シリーズのオリバンダーでおなじみのジョン・ハート、『シャーロック』のベネディクト・カンバーバッチ――と、実力派揃い!

ゲイリー・オールドマンに、コリン・ファースに、カンバーバッチ!!
わたしの好きな英国男子ばかり!! 最高

スパイ用語にワクワク!

本作の原題 "Tinker Tailor Soldier Spy"。
まず、ここから興味をそそられませんか? 気になりますよね♩

英国情報部を描いたスパイもの、ということで、本作には諜報員だけが使う隠語やコードネームがたくさん出てきます。

サーカス(Circus)
英国情報部のこと。本部がロンドンのケンブリッジ・サーカスにあるため。
もぐら(Mole)
情報部の内部に潜り込んだ他国の二重スパイ。

なんだか格好いいぞ!
オラわくわくすっぞ!笑

ちなみに、日本でも使われるようになった「ハニー・トラップ」(Honey-Trap)という言葉は、本作の小説で用いられたのが最初で、のちに一般に広まったのだそう。知らなかった~!

・・・

そして「ティンカー」、「テイラー」、「ソルジャー」は、本作の登場人物を表すコードネーム。

由来
サーカスの責任者「コントロール」は、長年の情報漏洩や作戦失敗などから、内部にソ連情報部の二重スパイ「もぐら」がいることを確信。
サーカスの幹部たち5人に、マザー・グースの「鋳掛け屋さん、仕立て屋さん、兵隊さん」の歌詞になぞらえた暗号名(コードネーム)を付け、密かに彼らの身辺を探っていたのです。

マザー・グースというところが良いですよね♩ とても英国っぽい!

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コントロール/Control(演:ジョン・ハート)
サーカスのトップ。
「もぐら」の情報源と接触する作戦に失敗し、責任を問われて右腕のスマイリーと共に引退。その後、間もなく死亡。

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ティンカー/Tinker(演:トビー・ジョーンズ)
「鋳掛け屋」の意。サーカスの新トップ。「もぐら」の容疑者の一人。
コントロールとは公私ともに確執があった。

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テイラー/Tailor(演:コリン・ファース)
「仕立て屋」の意。サーカス幹部。「もぐら」の容疑者の一人。
スマイリーの妻と不倫関係にある。

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ソルジャー/Soldier(演:キーラン・ハインズ)
「兵隊」の意。サーカス幹部。「もぐら」の容疑者の一人。

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プアマン/Poor Man(演:デヴィッド・デンシック)
「貧乏人」の意。サーカス幹部。「もぐら」の容疑者の一人。

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ベガーマン/Begger Man
「乞食」の意。こちらは観てのお楽しみ!

ゲイリー・オールドマンが渋い!

主人公ジョージ・スマイリーを演じるゲイリー・オールドマン

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わたし、大好きなんです♡

メジャーなところでは『ハリー・ポッター』シリーズのシリウス・ブラック役など、たくさんの映画に出演していますよね。

わたしは『レオン』でのエキセントリックな刑事役が一番好き!
("Everyone!!" と叫ぶシーンとか、最高♩笑)

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この方、出ている作品や役柄によって、本当に雰囲気が変わる俳優さんなんですよね。本作でも、いつもの感じとまったく風貌が違っていて、はじめは彼だと気づきませんでした!

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本作では、寡黙な老スパイを演じています。めちゃくちゃ渋いです!

2回以上、じっくり観たくなる。

スパイ映画といっても『007』や『ミッション・インポッシブル』のような派手なアクションはありません。淡々と、粛々と、謎を追ってゆく感じ。

それでも、味方の誰かが裏切り者という状況の中で、その「もぐら」本人に気づかれないように調査を進めるスリルは格別! 謎を追い、少しずつ真相を突きとめてゆく様子を重厚に渋いタッチで描いています。

ひとつ、お知らせしておきたいのが

終始、状況や展開を説明するような台詞がほとんどないので、映像から必死に読み取る力が必要。

と感想ツイートにも書いたように、(通常、映画では観客にわかりやすいように織り込まれる)説明的なシーンやセリフがほぼありません

なので、ぼーっと観ていると
「あれ? この人誰だっけ?」
「どうしてこうなったんだっけ?」
と何度も巻き戻すことになるのでご注意を。笑

これが「難解」とか「上級者向け」とか言われる理由なのでしょうね。
(わたしは、なんとかついていけました……汗)

でもこの “観る側の読解力” を試される感じ、嫌いじゃありません。

むしろ好き♡笑

観終わった後に、考察サイトや解説サイトを読むのも大好き♩

何より、豪華な出演陣の繊細な演技。見応えがあります。観ていて、思わず手に汗握りましたよ~。

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おじさん勢揃い♩ 渋~い!!

・・・

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大好きなカンババさん(ベネディクト・カンバーバッチ)も活躍します♡

頭脳派な役にキャスティングされることが多い彼が出ていることからも、本作が知的な作品であることがわかりますね。


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