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「六曜」は仏教となんの関わりもない

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 先日、思い立って私の祖父母や両親が眠る菩提寺のお墓参りに行ってきました。実家の宗旨は真言宗豊山派。宗祖は弘法大師 空海で、総本山は奈良県の長谷寺です。「豊山派」の「豊山」はこの長谷寺の山号なのだそうです。

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 行くと必ず住職にご挨拶するのですが、今年最初のお参りだったので、「豊山寶暦(ぶざんほうれき)」という小冊子を頂きました。中身はよくある暦なのですが、パラパラっとめくっていて目を惹かれたのが、最後の方にある「六曜について」というページです。六曜というのは、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口のことで、これが規則正しく循環し、6日ごとに吉凶が巡っていくという観念です。各々の意味は下記となります。

先勝( せんしょう/さきがち) :「先んずれば勝ち」との意味で、万事急ぐことが吉。 午前中は吉で、午後2時より午後6時までが凶
友引( ともびき/ゆういん): 「友を引く」として身に起こる幸・不幸なことが周囲にも伝わる日。午前11時から午後1時は凶、それ以外の時間は吉
先負( せんぶ/さきまけ): なるべく行動を起こさず静かに待つ方が吉。午前中は凶、午後から吉。裁判など争いごとには不適
仏滅( ぶつめつ): 何を行うにも悪い。一日を通して凶。葬式は可
大安( たいあん): 何を行ってもうまくいく。一日を通して吉。結婚式・入籍・納車にも良い
赤口( しゃっこう/しゃっく): 午前11時から午後1時の間は吉、それ以外の時間は基本的に凶。血や火など赤にまつわるもの、納車は不適

 六曜の中で一般に浸透しているのは、「友引にお葬式はできない」「仏滅に結婚式や入籍はしない」「大安はすべて吉」くらいではないでしょうか。ごく稀に、安いからと仏滅に結婚式を挙げるカップルもいるそうですが、普通は避けますよね。

 ところが、真言宗豊山派では、六曜は仏教とはなんの関わりもない「習俗的な観念」だという見解なのです。

 例えば、「仏滅」は元々は「空亡」で、それが「虚亡」に変わり、その後「物滅」になって、現在の「仏滅」になったので、仏が入滅して縁起が悪いという意味ではない。その根拠や意味づけは不明な部分が多く、普及したのも明治以降のことだそうです。

 現在は公営の葬祭場でも友引が休みになっている日が多いので、便宜上の配慮として、やむなく六曜を掲載しているのだとか。六曜信仰は子や孫の代まで伝えてゆくべき観念だとはいえないと断言しています。

 仏教は、仏教の教えに従って私たちが生きれば、「一切日皆善」であるという教えがあります。ですから、真の仏教徒であれば、どんな日であっても、「日日是好日(にちにちこれこうにち)」なのです。

 私はこれを読んで「数秘術の考え方に似ているな」と思いました。数秘術ではイヤー・ナンバー、マンスリー・ナンバー・デイ・ナンバーを出すことができますが、数字に吉凶はありません。ただ、「1」は物事をスタートするのに良いとか、「5」は行動や冒険のバイブレーションがあるので、行動がキーワードとか、各々の数字のもつバイブレーションが違うという考え方です。

 禁忌やタブーには体に悪い食べ合わせでとか、薬効を損ねる薬と食物の組み合わせなど、科学的根拠のあるものもありますが、アメリカ やドイツの「13日の金曜日」のように迷信で不吉とされるものもあります。

 占い師が禁忌に縛られるなと言うのは変だと思われるかもしれませんが、数秘術はルターの禁欲主義に反発した「ニューソート」のコミュニティの間で広まったものです。つまり神の罰を恐れて自らの魂の欲求を無視するのではなく、魂が生まれる前にこの世で実現したかったことを思い出し、自分らしく生きられるような手助けをする「禁忌からの解放」の占いなのです。

 たとえ今日が天に召される日であっても「好日」。そんな心境になれたとき、私たちはこの世を離れていくのかもしれません。





 

 

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