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猿之助さんの事件と数秘を見て思うこと

自分で解決できない問題にぶつかったら、第三者に相談して欲しい

 昨日、歌舞伎俳優の四代目・市川猿之助さんが自宅から救急搬送され、お父様の段四郎さんとお母様の延子さんが亡くなられるという痛ましい事件がありました。5月は明治座で昼夜とも主演の歌舞伎公演の最中で、しかもそれは明治座創業百五十周年の記念公演です。座長として、澤瀉屋を背負って立つ立場として、途中で公園を投げ出したのですから、よほど精神的に追い詰められていたのでしょう。しかも、ご両親と家族会議をした結果、「死んで生まれ変わろうと」いう結論に達したというのですから、人に話したくないような深いご事情があったのではと推察します。

 その点について軽々に語るべきではないと思うのですが、立場は違っても、同じように思い詰めておられる方がいるとしたら、占い師として少しお話しておきたいことがあります。それは、利害関係のない第三者に相談することのメリットについてです。

人は目の前の問題で頭がいっぱいになると「視野狭窄状態」に陥る

 占いは「悩みの百貨店」「社会を反映する鏡」です。実に様々な問題が持ち込まれます。ご自身やご両親の経済問題、身内の深刻な病気、ドロ沼状態の不倫、お子さんの成績不振等々。その中には都内の高級住宅街に住まわれていた猿之助さん一家とは異なる生活レベルの方も多々おられます。それでも、何とか状況を打開しようと、その糸口やヒントを求めて私の元へご相談に来てくださるわけです。

 お話を聞いていて驚くのは、第三者が聞くと「何故?」と思う決断をお客様がされようとしていることが多々あることです。目の前の問題で頭がいっぱいになると、人は極度の視野狭窄状態に陥ってしまうのです。例えば、40代の方が正社員の仕事を辞めて故郷に帰り、高齢のお母さんと障害のあるご兄弟の面倒を見るつもりだったり。それも相思相愛でお付き合いされている恋人と別れてまでです。

 私は友人や知人に行政書士や福祉関係者がたくさんいて、自分自身も終活カウンセラーの資格を持っているので、そのようなご相談があると、「お母様は生活保護の申請、ご兄弟は障害者認定が受けられないか、地域包括センターへ行って、相談してみてください」と申し上げています。占いじゃない。おっしゃる通り。もちろん、占いもちゃんとしていますが、肝心なのは、どんな方法を使っても、問題が解決、あるいは改善されることですよね。

 大抵の方は「地域包括センター」が何をするところか知りませんし、名称すら知りません。地域包括支援センターとは、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える「総合相談窓口」です。保健師・看護師・社会福祉士・主任ケアマネジャーの3職種が連携して業務をおこなっているので、高齢者の介護はもちろん、障がいのある家族がいれば、行政へ橋渡ししてくれるはずです。

自分を食べさせてくれる仕事は最大の資産

 相談を受ける際に心がけているのは「自分を食べさせてくれる仕事は、最大の資産である」ことを再認識してもらうことです。すでに築き上げてきた人間関係も然りです。恋人も正社員なら、別れるどころか、結婚した方が家賃や食費も割安になりますし、信用もダブルになり、経済的にも有利です。親や兄弟に問題があった場合、世帯分離した方が行政の援助が受けやすくなりますし、障がい者になれば、障害者枠で就職もしやすくなります。心優しく、責任感の強い人ほど、「私がなんとかしなければ!!」と思いがちです。その気持ちは尊いですが、自己犠牲は一家心中、介護共倒れの第一歩です。

 人間は「自分ファースト」が正解です。

まず、自分が自分の足で立っていることが大前提。今の時代に親兄弟を背負える余裕のある人などそうそういません。80歳まで現役で働いてきた親が病気になったのなら、国の制度を利用する「権利」は十分にあるはずです。

 話が少しそれてしまいましたが、猿之助さんがもし一家心中を図ったのだとしたら、自分がスキャンダルで仕事を失ったら、ご病気のお父様やお母様が経済的に困る、あるいは、親が残って恥を晒し、世間に謝罪するような事態になった可哀想だし、申し訳ないと思い詰めたのかもしれません。連日のジャニー北川さんに関する報道を我が事のように感じていた可能性もあります。

人は基本的に「自分に夢中」。スキャンダルはすぐに忘れる

 ですが、人は基本的に「自分に夢中」なんですよね。ゴシップやスキャンダルは好きですが、それは野次馬根性というべきもので、新しいゴシップが出てくれば、昨日のニュースもすぐに忘れてしまいます。それに歌舞伎のファンはシニアが多く、スマホは持っていてもネットのニュースを見ない人も多いでしょう。何十年も猿之助さんやスーパー歌舞伎を応援している人は、芸さえ良ければ、簡単には離れないはずです。

 もし猿之助さんが家族会議を開く前に、信頼できる弁護士でも、学生時代の全く違う業界にいるビジネスマンでも、あるいは占い師にでも良いから相談していたら、全く違う結果になっていたのではないかと思うのです。

#MeToo運動からセクハラ・パワハラは犯罪となった

 ただ、昔と今が違うのは、2017年にハリウッドを起点にして起きた#MeToo運動からセクハラやパワハラは犯罪であることが明らかにされたこと。企業の管理職なら、必ず人事部から研修を受けさせられたり、動画を見ることが義務付けられたりしています。芸能界で働く人にも等しく人権はあるのはいうまでもなく、歌舞伎だろうと宝塚だろうと、どのような分野でも、セクハラやパワハラはご法度のはず。昨今の報道を見ていると、21世紀は風の時代だというのに、時代の変化に鈍感で、
旧態依然の行いを続けている人が多いのは残念なことです。

コロナ禍で渡航できれば運命は変わっていたかも?

 もう一つ思うのは、この事件はもしかしたら、コロナ禍がなければ、起こらなかったかもしれないということです。猿之助さんは数秘術で見ると、ライフ・パス・ナンバー(人生の行程数)が「5」、ソウル・ナンバー(魂の欲求数)も「5」の人です。「5」は変革・行動がキーワードで、海外にも縁があります。帰国子女も多く、真剣に勉強すると語学に堪能になれます。時代の変化に敏感で、流行を取り入れるのも得意です。その代わり、ルーティンワークが苦手で、変化と変革を好みます。本来は自由人で、自分の思うように生きたいタイプです。

猿之助さんは変革と自由を好む「5」の人生航路を歩む人

 猿之助さんはラスベガスで遊ぶのが大好きだったと報じられています。寝る間も惜しんでスロットをやっていたようです。大金を投じているので、カジノのスタッフが負けているので同情して、食事を奢ってくれたこともあるとか。おそらく、日々過密スケジュールで、膨大なセリフや振りを覚え、『ワンピース』など新しい歌舞伎をプロデュースし、映画やドラマにも出演し、そのどれも素晴らしい成果を上げていたのですから、自分で自覚する以上に神経が張り詰めていて、何かでガス抜きしないと生きていられない状態だったのではないでしょうか。コロナがなければ、ラスベガスで息抜きできたのに、丸3年渡航はできず、それどころか、マスクをしての稽古と休演が続きました。その状況下に置かれたのは猿之助さんだけではありませんが、4つのコアナンバーのうち「5」が2つもある猿之助さんにとって、コロナ禍の3年間はストレスを倍加させた可能性があります。

 パーソナリティ・ナンバーは「3」ですから、本来は4歳から5歳の子供のように無邪気なところがあり、陽気で楽しく、社交的。言葉を使うのも巧みな人です。美的センスにも溢れています。

人生の目的は人を巻き込みながら、富とパワーを求める「8」

 ただ、ディスタニー・ナンバー(運命数)が「8」なので、35歳過ぎから徐々にパワー権威、富を求め、人を巻き込みながら、大きなビジョンを成し遂げるとい人生の使命に向かって突き進んでいきます。今年はパーソナル・イヤー・ナンバーも「8」で、本来はこれまでの努力が報われる収穫の年になるはずでした。

お金と物、人の通路となる「8」は心身共にタフでないとバランスを崩す

 この「8」というナンバーには、魂と肉体のバランスを取るという意味もあります。「8」は膨大なお金、物、人の通路となるので、心身ともにタフで、肉体と精神のバランスをとるように注意深くコントロールする必要があるナンバーです。
超多忙でギリギリの状態で仕事とプライベートのバランスを保っていた猿之助さんが、セクハラ・パワハラ報道の記事で身内と思っていた人たちからの告発に深く傷ついたとしたら、その瞬間にうつ状態となり、冷静な判断が出来なくなってしまったことも考えられます。

報道のあり方を問い変える契機に

 私自身、ライターでもあるので、パブリックに情報を出すことの責任は日々感じていますが、今回の記事を書いた記者もおそらく、複雑な思いを抱えていることでしょう。セクハラ・パワハラの被害者の方たちにとって、その被害の実態は明らかにされて然るべきでしたが、もしその記事がなんらかの形で猿之助さん一家を追い詰めたとしたら、報道のあり方ももう一度、問い直してみる必要があるかもしれません。

 一つ言えることは、猿之助さんにはまだ、使命が残されているから生き残ったのだということです。三谷幸喜さんは「天才」とおっしゃっていましたが、
「天才」の孤独や苦しみは凡人には理解できません。今は彼の人生がベートーヴェンのように「苦悩を突き抜けて歓喜にいたる」日がくることを祈らずにはいられません。







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