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詩集

86
想像性を大切に創作したポエムたちです。
運営しているクリエイター

#考えたこと

詩的に天文を語る①

切れ間のない 青空のひとすみ、 ぽっかりと 色が抜けていました。 そこには、 出番にはまだ少…

不規則にメトロノーム

毎日を慈しんで愛するよ。 理不尽なこの世界。 それでも、君は昨日と変わらない声で笑う。 気…

ヒール

その細い右足で蹴りあげたコンクリート。 規格外のばか力に負けそうな、 一筋の赤いストラップ…

車窓

夕暮れどき。 車窓から見える風景を、まばたきで切りとる。 次にまぶたを開いたときには、そ…

軽い季節を迎えて

軽いな、と思う。 夏の日差しの名残が残る、秋の晴れ間。 外は、夏よりもどこか、軽い空気で…

とんぼ

とんぼは、飛行機のようだ。 軽い機体で、縦横無尽に飛び回る。 低空飛行する小型飛行機には…

とんとん。オクラを輪切りにする。目に鮮やかな、緑。 添えた左手に、反発する力が伝わる。 包丁が刻むリズムに、心が落ち着いていく。とん、とん。 まな板が音を立てる度に、手の中から星が生まれてゆく感覚。零れていく種は、星屑のよう。私が作った星たちを、両手に包み込む。星は、逃げていく。

失敗を恐れていた。自分が無力だと知るのが怖かった。
やらないという選択を選び続ければ、やったらできたかもしれないという可能性にずっと縋っていられる。若さは甘く、愚かだ。
挑戦しなければ、傷つくこともない。自分を騙し騙し生きる。
誤魔化されなかった青い自我が、「やれ」と叫んでいる。

君が息をしやすいように生きていったらいいよ。足掻いてもがいて、訳の分からない日々に理由づけして生きる今日に、君が少し笑えるように。
溜息を空気に溶かす。透明な大気を汚したことに心を痛めるその優しさは、決して世界を傷つけたりしない。寂しそうな唇を塞ぐ、ただそのための言葉を贈りたい。

全て失うと知りながら、人は何故多くを手にしたいと願うのだろう。沢山のものを得ることは、沢山のものを失うことだとは思わないかい。
ほんとうに必要なものなんて、片手で数える程しかないと、君だって気付いているのだろう。欲求は、そのまま生きる意味になる。それに気づくことは、時に虚しい。

自分がこれっぽっちも特別な存在でないことに、何度も気づかされて打ちのめされて。それでも他者と比較し、比較されながら生きていく私たちは、本当に特別な存在になりたかったのか。誰にとっての特別になりたかったのか。
ありのままのだめな自分を肯定してほしいと、君の後ろ姿が叫んでいるようで。

自分の感性が少しずつ死んでゆくのを、私は傍観するしかできない。つまらない大人になるのは嫌だといくら叫んでも、知識ばかり蓄えた頭を振ったところでどうにもならなくて。
なんでもないことに心が揺れ動くかどうかは、私自身が決められることではないようです。ああどうか繊細な女の子でいさせて。

縁を結んで、切って、また結んで。
そんなことの繰り返しが、人間関係を作っていくのなら。
別れはきっと、再び出会うためのキザな演出だと思ってもいいでしょう。
今度もまた、初めて会ったような顔をして、
最初よりもっと素敵な出会い方をしましょう。
だから、そんなに悲しまなくてもいいの。

身体1つで生まれてきました。取り替えようのないこの身体は、借りぐらしの住処。死ぬまでずっと一緒です。片時も離れずに私に寄り添う存在。身体がなく心だけだったなら、どれほど身軽だったでしょう。痛みも苦しみも、死への恐怖も、全ては心と身体の共鳴。けれど、痛みと引き換えに手に入れたのは、