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#12 ビジョンは立ち昇る

多様でいい、多様だからいい

2015年、会社というより「コミュニティ」だったナラティブベースは、ビジョンらしきビジョンも持たず、事業らしき事業もないまま、すでに会社としては4年目に突入していた。それぞれのワークスタイルを実現するためのしくみづくりに邁進しつつも、私はこのコミュニティの求心力がなんなのか?それを言語化しなければ…とモヤモヤしつつ、一端の会社になるためにもそれらしいビジョンを掲げなければと躍起になっていた。

で、あるとき、じゃあ直接聞いてみよう!と主要なメンバーをひとりづつ呼び出して聞いてみたのだが、それぞれがまったく違っていてますます混乱することになった。ある人は「スキルを生かせるから」と言い、ある人は「ライフスタイルに合っているから」と言い、ある人は「新しいことにチャレンジできるから」といい、ある人は「ハルさんが面白いから」と言った。そしてほとんどの人が「でもそれだけじゃない気がする。」と模索中だった。私は困惑しつつも、これを聞いて「なんか、コレでいいな」と思った。まさに目指しているとおり多様化とそれをサポートしているんじゃないか!?

ちょうどそのころ読んでいた社会人の学びと成長について書かれた本に、以下のような一節がありピンときた。

出入りが自由で活動内容も自由なコミュニティでは、参加者は、自分はなぜここにいるのか、何をめざしてここにきているのかを考えざるをえない。何をしたいのか、本当にそれをしたいのかが参加者自身に突きつけられる。こうした自問自答が内省を呼び起こし、その人が、仕事のあり方や自身のキャリア、あるいは生きていく方向性を見定める機会となる。

『リフレクティブ・マネージャー』中原淳/金井壽宏

みんな自分の働き方、生き方を模索していた。ひとつの方向性であるわけもない。ここにもう一つ、「コミュニティ」という形態である意味を見出した。

制約さえもリソースだ

モヤモヤが解消され、私はさっそく自社サイトのリニューアルに取り掛かる。そのとき打ち出したコンセプトメッセージは

「今だからできる働き方」が自分をまわりを元気にする

だった。
それぞれがそれぞれの目的で参加し、この場を利用して働き方をつくる。それぞれに子育てや他にもパラレルに抱えた事情があるけれど、多様であることを受け入れて力にしていく。サイトリニューアルの企画書にはコンセプトとして以下のような文章を綴っていた。

今、このときに自分が持つ経験、知識、感情、制約さえも、すべてがリソースであり、チャンスである。
そのリソースを「ここちよく生かし切っている」
「その働き方を自ら選んでいる」という充実感が、
その人のパワーや魅力を最大限に引き出す。
いつでも「今だからできる働き方をしている」と感じられることは、幸せではないだろうか?
そして、そのような活気づいた働き方が世の中にあふれたら・・・
家族、仲間、社会、まわりも元気にしあわせになれるのではないだろうか?

2015年自社サイトリニューアル企画書より

そして、最後に大きくこう書いた。

ビジョンは
作るのでもなく、掲げるのでもなく、
その場から、立ち昇る。

つづく

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