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闇夜を走る後悔 【旅する日本語】


「気晴らし」と「気散じ」。

意味の循環を起こす二つに差異をつけるなら、気を「晴らす」のか「散らす」のか、その違いだろうと思う。

思い出すのはバスタ新宿。チョコとパンとおにぎりを抱えて乗り込んだ、夜を走る大きな箱。


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最悪だ。もう、ほんとに、最悪だ。

何が来年には、あの街で、だ。何があたまの御守りだ。何が待ってろ。東京。だ。アルバムの最新にいる富士山。その荘厳さが今は憎い。

無臭で音の鳴らない食べものを選んだ私は偉い。偉いんだから、誰か拾ってよ。次々と口に放り込む。現実逃避で暴食に走る悪い癖。得るものは余分なカロリーだけだというのに。

働きたかった。あの会社で。

第一志望群全滅。帰り着くまではグスグス泣くわけにいかない。てか自分が悪いのにメソメソ泣くのも情けない。今にもあふれる自己嫌悪の傷を、ぐちゃぐちゃに咀嚼し、ばくばく飲み込み、気を散らす。

福岡へ帰る夜行バス。
いっそこのまま、どこかに連れ去って、

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