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職員室の関係をよりよくする”職員室インタビュー”

教員になって3年目から続けている同僚の先生たちへのインタビュー。職員室インタビューと題して、これまでの取り組みをまとめておきたいと思います。

職員室インタビューとは?

シンプルに言うと、自分が働く職員室の先生達の教育観、人生観などナラティブに関することをインタビューして、その場でグラレコに落とし込んでいくという活動です。

仕事をしていると、隣に座っている先生を、1人の人と捉えるよりも先生として捉えて関わる自分がいます。その先生がこれまでどんな経験をして、どんな考えや思いで、子ども達に関わっているのか知らないままに。先生として、人としての、根っこにあるものを知ることができればもっとお互いに分かり合って学年運営や、学校運営ができるのではないかと思ったことがきっかけの1つです。

当時の僕は一介の若手教員で、学級経営や授業作りにもがいている最中でした。(5年目になった今も、当時とは立場が変わりながらも葛藤している最中です。)

そんな中でも、NPOの頃から場作りや組織開発に関わってきたので、関係性をよくすることの大切さを肌で感じていて、そこへの眼差しは人一倍敏感だったんだと思います。

クラスだけではなく、先生達同士もさらによりよい関係を築くために、3年目の僕に何ができるのかを考えた結果、自分がこれまで学んできたファシリテーション、グラフィック、コーチングのスキルを生かして、自分から関係性を変えていけるインタビューを行うことでした。

職員室インタビューの始め方

まずは、学年を組んだことのある先生へのインタビューから始めました。当時は、iPadではなくスケッチブック(F10、531×460の一番大きなサイズ)にプロッキーと水性のペンで描いていました。予定していた所要時間は30分〜45分程。当時は教員3年目だったので、勉強させてくださいと放課後にいろんな教室を見て回っていました。その時に「インタビューさせてください!」とお願いをして描いていました。

話が始まると、盛り上がりすぎて30分では収まりません笑

その人の歩んできた道のり、そこへの意味付け、今取り組んでいることの裏にある思い、ここは譲れない価値など、インタビューを通して、それまでは知らなかったその人自身の根っこに触れることになりました。

結局、どの先生もだいたい1時間程度話してもらうことになりました笑

描いたものは、その場で写真に撮り、写真をデータで渡しています。

学年を組んだことのある先生へのインタビューに始まり、まだあまり話したことのない先生、管理職、初任の先生など、インタビューを受けてくれる同僚の幅は広がっていきました。

取り組んでみて変わったこと

僕とその先生との関係性の変化は、敎育活動の細部に現れます。例えば、個別支援学級の先生の授業に空きコマでふらっと入らせてもらい一緒に授業をしたり、逆に僕の担当するクラスにふらっと遊びにこられたり、これまで頼みづらかった仕事もお互いに頼みあったりと、シームレスな関係性が少しづつ構築されていきます。

子ども達にお互いに協力し合おうと普段から声をかけがちな僕らの仕事は、僕ら自身が職員室で協力し合える関係性を体現する必要があると思います。東京学芸大学教職大学院の渡辺貴裕さんや風越学園の岩瀬直樹さんが言われるように、職員室とクラスには学びの同型性があり入れ子構造になっています。職員室で先生達が協力できる関係性を体現していれば、クラスでも同じことをできるはずです。

職員室インタビューののびしろ(課題やチャレンジ)

職員室インタビューも細々と続けて3年目に入り、様々な先生のインタビューが蓄積されてきました。

これまでは、僕とその人との関係性をよりよくしてきたので、これからは学校全体として関係性がよりよくなるようにこのインタビューを職員室で公開していくことに取り組みたいと思っています。校内の情報共有フォルダに格納するか、貼り出してみるか、どんなかたちがいいか検討してみます。

また、インタビューのまとまった時間なんて今の学校では取れないという問題もあります。僕もまだまだ時間が合わずインタビューしていない人もいます。僕がやってみたのは、飲み会の場で飲みながら描く(コロナ以前にやってみましたが意外と話が弾みます。)や、インタビューすることを事前に伝えておいて時間を確保してもらうことや、1日10分をとってもらい数日に分けてインタビューするというものでした。工夫をすれば、少しづつ取り組めると思います。

他の方が自校で取り組みたいと思われるかもしれませんが、スキルがないとむずかしいのではないかという課題もあげられると思います。この活動は、グラフィックをすることが目的ではありません。相手の話を傾聴し、ナラティブを一緒に紡ぐということを目的に考えれば、その一歩は誰でも踏めると思います。グラフィックではなく、相手のナラティブを聴いて、文章にするという形でも。

まずは、職員室にいる先生一人ひとりとつながるチャネルをたくさん作ることです。そうすることで居心地のよい、働きやすい職場になるのではないかと考えます。小さいけど、意味のある一歩をこれからもどんどん踏み出していきたいなと思います。

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