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今週の読書録

こんにちは。
今週はGW期間後半から読み始めた4冊です。

李王家の縁談

林真理子さんの『李王家の縁談』では、梨本宮伊都子妃を中心に維新後~戦後の高貴な女性の生き方が描かれています。
恋愛結婚が普通ではなかった時代、名家出身の女性たちの逞しさを感じさせる作品。
いつの時代も「最近の若い人は…」というセリフが言われ続けていたのだなと思うと、高貴な姫君もどこか身近に感じます。

以前『大正の后』で貞明皇后のお話を読んでいた内容と同じ登場人物たちが、また異なる側面から描かれており、二倍楽しむことができました。
今年に入って津田梅子、河井道など維新後世代の女性が活躍する小説を立て続けに読んできましたが、労働者階級とは異なる高貴な女性の時間の流れ方や上流階級特有の意識が巧みに表現されており、まるで当時を目にしていたかのような不思議な感覚を覚えました。

自転しながら公転する

以前から気にはなっていたもののGWに読んでみた一冊が、山本文緒さんの『自転しながら公転する』です。
非正規雇用、ワーキングプア、働き盛りで直面する親の介護。
真面目に働くだけでは報われない世代のリアルな姿が描かれた作品です。

時代ごとに移り変わる価値観に振り回され、悩みもがく主人公。
晩年の姿は予想外なようで意外と納得。
数々の文学賞を受賞しながら、惜しくも亡くなった山本さんの代表作の一つです。

醤油と洋食

神楽坂淳さんの最新作は『醤油と洋食』。
明治に入り海外から文化とともに食材や食事も伝わったものの、まだまだ市民権を得る前の洋食。
老舗料亭の一人娘である主人公は、思い人と協力しながら周囲の人たちの節目を彩る洋食作りに励みます。

朗読ポータルサイト「THOTHBOOK」では、全四回に連載が始まっています。

現代では、女性一人でどこでも気軽に外食できますが、当時はお寿司屋さんにいくのは一大決心が必要だった?
立ったまま食事をするのは、とてつもなくはしたない。
高貴な家柄の女性はとてつもなく制約が多い中で生活していたことに驚きます。

現代でいう大学生のモラトリアムのような、卒業して家に入る手前の女学生時代を謳歌する少女たち。
現実ではここまでうまくいかないのでは?という穿った見方もありますが、あくまでもフィクションですので、このような結末も悪くない。

ありんす国の料理人

同じく神楽坂淳さんの『ありんす国の料理人』もお料理小説です。
こちらは江戸時代の吉原を舞台になぜか小料理屋を営む元禿が主人公。

ちょっと抜けている商売っ気の希薄な主人公が、閑古鳥のなく料理店を立て直すべくゆるく頑張る物語です。
1と冠しているからには、いずれ続編が読めるはず。
続編も楽しみな一冊です。


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