今週の読書録(2024.11.10)
コンクールシェフ!
五十嵐貴久さんの「コンクールシェフ!」は、かつての料理の鉄人を彷彿とさせる流れ。
若手料理人の登竜門であるコンクールの番組、ファイナリスト6名の人柄や料理に対する思いなどを描いた作品で読みながら食材や調理シーンが想像できる。
登場人物たちの人生には料理と切り離せないストーリーがある。
続編も楽しみになる一冊でした。
カフネ
阿部暁子さんの「カフネ」は、冒頭と終盤では主人公への印象ががらりと変わった作品。
遺言をきっかけに再会することになった二人。
人生の方向性が異なる主人公たちが家事代行ボランティアでペアを組むことで、自身の価値観や他者とのかかわり方を再構築していく。
ある意味シスターフッドのジャンルに分類されるのでしょうか?
結末は最近の流行らしい内容でした。
滅びの前のシャングリラ
凪良ゆうさんの「滅びの前のシャングリラ」は、世界の終わりに向かう日々を過ごす人々の日常を描いた作品。
「明日世界が終わればよいのに…」
そう思った瞬間がある方もいるかもしれません。
実際に1か月後には世界が終わる。
自暴自棄になる人、無法地帯になる街。
最後の1日まで何をするか?誰と一緒に過ごすのか?
限られた時間を自分であればどうするか?
日常がフィクションのような状態になったとき、主人公たちが起こした行動。
創作と分かりながらもリアルな心理描写に引き込まれ、あっという間に読了。
非常事態下でも食事をする風景が印象的。
食べることは生きることなのだとなぜか強く思い出しました。
赫夜
澤田瞳子さんの「赫夜」は、全冊著者直筆サイン入りということでも話題になった作品。
平安時代の駿河、現在の静岡県が物語の中心。
富士山噴火という未曽有の大災害に直面する人々。
現在と異なり政治の中心とは情報の伝達を急いでも1週間かかる地域で被災した人々。
住まいや家族を失い、終わりなき災害に怯え続ける。
災害は貴賤も年齢も性別も関係なく平等におとずれる。
非常事態にこそ人間の本質が見える。
最初から持っていなかった者と失った者の被災後の生活。
名もなき人たちの被災と復興の様子は時代は変われど現代とも共通するものを感じました・
ライト・スタッフ
山口恵以子さんの「ライト・スタッフ」は、映画が娯楽の中心であった時代のお話。
かつて存在したライト専門のスタッフを志すことになった主人公。
当初は不本意ながらもやがて技術を磨き、一流の職人へと成長をとげていきます。
映画からテレビへと娯楽の中心が変わる時代、表舞台には出ることのない職業に焦点をあてた物語。
朝ドラ好きの方であれば楽しめるかもしれません。
なぜか好かれる人の言いかえ手帖
「なぜか好かれる人の言いかえ手帖」は、コミュニケーションを円滑にしたい、環境が変わって新たな人間関係を構築したいタイミングで参考になるかもしれない一冊。
お礼の際に「ありがとう」の連発ではなく、ちょっと気の利いた相手も喜びそうな言葉をかけたい。
謝罪時やフォローの際に使用したいフレーズ。
そんなビジネスシーンで、ちょっと感じの良い人と印象に残りそうな言い方が紹介されているので、早速取り入れています。