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ギリシャ神話の話6 時代の変遷

古代ギリシャの詩人ヘシオドスさんが記した詩集『仕事と日』によると、世界は五つの時代によって分かれているそうです。
神々が世界を生んだその時から、現在の時間軸までを含めて分けられており、主要な出来事を挟んで切り替わってるものと考えられています。
というかどこが区切りか分からんところもあるので、そのあたりに関しては私の妄想想像で補完させていただき記していこうと思う。


黄金の時代

ウラヌスから王位を簒奪し、クロノスが王位に就いた時代は『黄金の時代』と呼ばれる。
この時代ではそこかしこで常に果実が実り、蜜が流れ、穏やかな気候が続きました。
人々は争うことなどなく競うこともなく動物と共に安らぎと静謐な暮らしをしています。

常に食に困ることなどなかったので奪うことを知らず、田畑を耕すような一切の労働を行うこともしませんでした。
王様は父親のチンコを切り飛ばしたり実の子供を丸呑みしちゃうようなヤバイやつでしたが、民衆にはそんな恐れ暗い影響もありません。
人を恨むことも羨むこともなく、食べることに困らず、暑さ寒さにも困らない平和な時代、この時代を黄金の時代と言いました。

他の神話での黄金時代

エデンの園

聖書の創世記内にて記述がある、アダムとイブ(エヴァ)が過ごしていたとされる楽園。
ほぼギリシャ神話の『黄金の時代』と同じ。
最後は「絶対に食べるなよ、絶対だぞ」というダチョウ倶楽部のネタみたいな神の言葉に乗っかって知恵の実を食し、追い出されてしまう。

桃源郷

中国の陶淵明の『桃花源記』が初出の楽園。
仙人が住み、果実が一年中実るなど共通点が多い。
唯一の違いは桃源郷は無くなっておらず現在も存在すると言われている点。
「人々の心の中に理想郷を追い求める心がある限り桃源郷は全ての人の心に在り続ける」という最終回みたいな説。
桃源郷は一度訪れるとどんなに行こうとしても二度と行くことは出来ない。

ニライカナイ

ちょっと違うかもだけど沖縄に伝わる神話の世界。
海の底とも海の果てとも言われる場所にあり、神様たちが暮らしているらしい。
たまに神様がニライカナイから出てきて豊穣を与えまた帰っていくそんな場所。

白銀の時代

ゼウスは激怒した。
クロノス治世からゼウス達オリュンポス世代に移り変わると、ゼウスが四季を司る神を作ったことで春夏秋冬が生まれた。
それによって作物が実らない時期もあり人々は農耕を行い、寒さや暑さに耐えるために木を切り家を建てることになった。
労働は面倒だ。神様めなんてことをしやがる。あーあ前のクロノス治世方が良かった。
なんて声が巷に溢れかえったことにゼウスは激怒したのだ。

こんな神を敬うことのない人間など必要ない、と雷霆を振るい生まれた文明を焼き払いポセイドンの力で洪水を起こし全て流し去った。

青銅の時代

ゼウスはふと考えた。
神と人間には圧倒的な差が必要なのでは?と。
人間は圧倒的な力の差が分からないバカだから俺たち神を舐めてんだ、と。
そんなゼウスを見て親戚のプロメテウスは
「あんさんそれならおいらに任せてくんなはれ」
と言いました。
ゼウスは「お前に任せよう」と言うとプロメテウスは牛を一頭殺し、美味しそうな脂身が巻かれた骨と肉や内臓をより分けた。
「あんさん、神はこの美味しそうなテカテカの脂身がついた骨ときったねぇ内蔵や肉どっちを選びなさる?」
と問うた。
ゼウスは迷わず
「せっかくだから俺はこの骨を選ぶぜー!」
と脂身の撒かれた骨を選んだ。
プロメテウスは人間の為に栄養のある肉や内臓を与えようと思っていたので内心しめしめと思っていた。
しかしゼウスはそんなプロメテウスの考えはお見通しだった。
「脂身は溶けてるくらいが美味いんだよな、よしもうちょっと火で炙ろう」
と人間たちから火を取り上げてしまった。

火を取り上げられた人間たちは冬の寒さに耐えきれず震え、食べ物を焼くこともできないのでいつもお腹を壊していた。
そんな人間を哀れんだプロメテウスはブサ面界の星ことヘファイストスのところから、炉の種火を頂戴し人間に分け与えた。

人間はその火を使い再び文明を築き上げたが、やがて火を使って武器を作り争い始めた。
「どうしてこうなった」
プロメテウスはそんな暴力が支配しだした地上の人々を見やり、激しく嘆くのだった。

英雄の時代

ゼウスは言った。
「いったんリセットしよ」
世を大洪水が襲い地上の文明はまたも流されていった。
デウカリオンとピュラーの一組の夫婦はプロメテウス(あるいはテミス)の予言を聞き箱舟を作っていたので大洪水にも流されず生き残ることが出来た。
二人は流されていった文明を嘆き石を山から撒いた。
するとその石から新たな人類が生まれた。
新たな人類も青銅の時代の人類と同じように争いを始めた。
やがて暴が支配する時代が続き、その中でも神の血を引く英雄たちが人々をまとめ各地で国を作り上げていった。
英雄たちは時にはお互いに助け合い、時にはお互いの暴を懸けていく。
英雄が誕生し各地で勢力を競った時代を特に『英雄の時代』と呼ぶ。

ヘラクレスやペルセウス、オデュッセウスやアキレウスが活躍した時代もここ。

鉄の時代

ここの時代の変遷については手元のどの資料にも記載はなかったが、ギガントマキアでの激しい神々の争いはヘラクレスがいることから英雄の時代以降と思われるため、おそらくギガントマキアでの争いの余波で文明が崩れたのではないかと思われる。

生き残った人類は再び争いを始めた。
それを嘆いた神々は愚かな人間たちを見捨て地上を去ることにした。
地上に残った最後の神は世に正義を説き続けた。
その正義の女神の名はアストライアと言った。
だがかつてパンドラによって解き放たれた人間の欲望は留まることを知らなかった。
正義の女神アストライアもついには人間への正義の呼びかけも諦め他の神々とともに天へと昇って行った。

地上は欲望に支配され血で血を洗う戦が続いた。
悲しむように慈しむように正義の女神アストライアだった乙女座が空から今も人々を見つめている。

あとがき

流れで書いたけど「パンドラって誰だ?」ってなるかたもいらっしゃいますよね。
パンドラの箱って有名かなと思って勢いで書いてしまった。ごめん。

現代も神々が戻って来てないとこを見ると『鉄の時代』が続いているようです。
ちなみに英雄の時代はトロイア戦争時代の遺跡群から換算すると紀元前1250年ごろということなので、鉄の時代は長くとも既に3000年以上続いているってことですね。

下手すりゃ各時代で最長なのでは?と思うんですが、そろそろゼウスさん仕事の時間ですかね?

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