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『ラヂオの時間』を見ました

もう20年以上前の映画になるのかと驚きつつも観た映画、『ラヂオの時間』。ラジオドラマの生放送を舞台にした群像劇だ。三谷幸喜監督のいつものドタバタコメディは健在だ。

ラジオ好きの私には、ラジオのドタバタがコメディになっていて、テーマとして楽しめたのもあったが、この映画でもっとも楽しめたところは別にある。

それは「音効」というものの描写だ。劇中、音響効果のテープを保管した部屋が開かないというトラブルが発生する。二転三転と変更がかかる脚本の変更に対応するには様々な音響効果音が必要だった。それを使えなくなったときに現れたのが、人力で音効をつくる職人だった。代表的な音効は波の音を小豆と籠で表現するというもの。ラジオは「音」だけの世界だ。実際の音は音だけ抽出すると案外迫力がなかったりする。しかしそこに人の想像力が加わったとき、別の音が本物より「ホンモノ」に聴こえてくる。この「音効」の描写が面白かったのが本作の面白さだった。

劇中では雨の音を、マイクに紙コップをかぶせ、そこに塩とコーヒー豆を落として作るというものや、ジェットエンジンの音を掃除機で再現する、花火の破裂音を雑誌を頭にぶつけて作るといった職人芸が表現されていた。

他にも足音ひとつとっても床の材質や靴の材質などでさまざまなパターンがあるらしく、録音スタジオにはいわゆる「音効部屋」があるらしい。そこにある道具はおよそ何の音を作るのか想像できない道具ばかりが置いてあるらしい。長年培われた職人の技で、音は作れているのだろう。

骨折音はセロリを折る音を使うとか、誰が思いついたんだろうか。他にもゴジラの鳴き声は赤ちゃんの鳴き声を逆再生したものに他の音を混ぜて作られてれているらしい。アメリカの映画『トップガン』の戦闘機が発進するエンジン音実際のエンジン音では迫力が出なかったために、音効が動物の鳴き声などを足して「エンジン音」を作ったという話も。

今日でも、世界中で音効職人が色々な音を、自力の技術で作っている。奥が深すぎる。これから映画を観て気になる音があれば、是非ともその制作過程を調べてみたいものだ。

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