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『君たちはどう生きるか』

7/15日 
13:35〜@ユナイテッドシネマ福岡ももち

引退するする詐欺師として著名な、
日本アニメ界の巨匠、宮崎駿の最新作を観てきました。

メディア露出を意図的に控えていただけに、期待感が異常なほど高まっていたのでしょうか。SNS上のレビューでは、賛否両論あれど、やや批判的なコメントが多いようにみえます。

確かに、老若男女が楽しめるエンターテイメント活劇だけを期待して観にいくと、イマイチおもんないのかもしれません。
しかし、少なくとも私にとっては、有意義な2時間でした。宮崎駿らしさ、ジブリらしさを存分に感じることのできるアニメーションになっていると思われますし、想像の余地があるという意味で、とてもアーティスティックな映像作品であると感じました。

・・・極論、映画に何を求めるかという話なだけかもしれません笑

⚠️以下、ネタバレをさせて頂きたく⚠️>


一体全体、いかなる話を見せつけられるのか全く分からぬ中、どういう訳かプレミアムシートを選択。

・・・いや、正確には、「選択せざるを得なかった」と言うべきか。
一切のトレイラーの無い中、通常席のほとんどが埋まるという意味不明さ。泣く泣く追加代金を払って、ぼっち鑑賞マンは最上段へと避難したのでした💦

【作品の印象】

ストーリー

ストーリーについて、初見で抱いた感想を要約します。

  • 出だし、惹かれる展開

  • 道中、いつもの宮崎駿

  • 後半、不安しかない

  • ラスト、何だかんだオチつけてて草

冒頭、客の心の掴み方はバッチリではなかろうか。
後半に繋げるためか、母親の姿(リアルな部分)を全く見せずに進行させるのが逆に良く、「火にのまれる病院へと向かう眞人」の姿だけで進めることで、得体のしれない怖さ・不安さが植え付けられました。
他方、眞人にとってのトラウマを、以後、母親ベースで感じることが難しくなり。母親を失ったことよりも、情景(火・炎)そのものへの恐れの方に強さがあり、結果、時々やってくる回想シーンで眞人が涙を流す様に同情しにくさがありました。まあそれも、幼さや、助けられなかった不甲斐なさという所で理解しうる範疇かなと。

道中はまあ通常運行。

問題は後半かなと😅 具体的には、夏子を追って塔に入った後から。
話の進捗に合わせて、ストーリーラインにおける宮崎駿の思いつき度合いが高まっていく印象。画面上に大海原が広がり、いっぱいのペリカンが現れた瞬間には、「もうこれはどうオチつけるつもりなんや・・・!」と。一観客ではあれど、不安感に苛まれるという。

ところで、世の中のジブリ作品は、リアル寄りか空想寄りかで大別できるものと思います。そういう意味では、あの始まり方(前者)から、誰が喋るインコ神(後者)の登場を予想するでしょうか笑笑

話の広げ方にヤバさは感じつつも、最終的には一通り回収し、確りオチをつけている点に感動。というか、最早、ああするしかなかったともいう。

あれだけひっちゃかめっちゃかに散らかしたものを、一応は納得できる形で回収している点に脱帽です。一観客の不安など露知らず、宮崎駿の空想力はあまりに強かった・・・。
(※勿論、多数の回収されないコンテンツはあります。あくまで、比較的寄与の大きいコンテンツのうち、できる限り多くを回収しているという意味です。)

インコに積み木ぶち壊させて、世界を破滅させて、各人を元の空間に戻して、子供産ませてめでたしめでたしは、流石に常人には思いつかんてwwww

キャラクター

 『君たちはどう生きるか』の主人公は、牧眞人(まきまひと)という10代の少年だ。軍需工場を経営する父親と共に東京を離れ、父の後妻が待つ郊外へ疎開する眞人は、航空機製作所に務める父と戦時中に疎開した宮﨑駿の実体験がモデルではないかと思わせる。

https://realsound.jp/movie/2023/07/post-1377061.html

1941年生まれの宮崎駿が、自らを主人公に投影しているのは明らか。
作中にて、「君たちはどう生きるか」を手に取る様子からも、それが窺えます。

私の後輩であり、脚本家にして漫画家の野中・D・ルフィー氏はこう述べており。

「マヒトが賢そうなのに、やたら精神が幼く見えて怖かった」

うーーん、確かに。
年の割に声は大人びていて、頭の回転が速い。にも関わらず、青鷺や塔などに対して頻繁に気を取られ、周囲の注意も及ばず、積極的に危険に飛び込んでいこうとする。そうしたズレのあるキャラ造形には、確かに違和感があります。

勿論、危険に飛び込んでいかないと話が進まないので、しょうがないとは言えるものの・・・。その裏の行動原理が、ちょっと人間離れしているような。

話が進むにつれて、母 → ナツコ → ヒミへと、追う相手が移行していく。母親については、血縁関係からくる正義感が行動(vs青鷺など)に結びついたと納得することができます。でも、ナツコの為にそこまで熱心になれるのは一体どうして・・・?

もしかすると、そこに書籍「君たちはどう生きるか」からのインスピレーションが絡むのかもしれません。集団生活たる社会において、人のために行動することを一つの理想的な生き方と捉えるがゆえの描き方なのかもしれません、もしかすると。

ただどうしても、ストーリーの為に都合よく描かれている感が否めず。
特に、最後の最後で「積み木積む? Yes or No?」に発展してるのも、どこか飛躍感が・・・。

演出

絵のタッチは、これまでのジブリそのまま。
当方、久しぶりに映画館でジブリを観たということもあり、どこか温かみのあるアニメーションに安心感を覚えました。

また、作品中に、過去作品のセルフオマージュらしき描写が多くみられて、なんだか懐かしい気持ちに。
千と千尋の神隠しを彷彿とさせるおばあちゃんたちや、ポニョっぽい生物などなど。かわいー。

このほか、「音」へのこだわりも感じられました。注意して聴いてみると、お屋敷内での重めの会話の裏で、周囲の環境音(虫・葉が擦れる音など)が極々うっすらと聞こえていたり・・・。その場にいたら、きっとこうなのだろうな、と思わせる臨場感がありました。

テーマ性

という訳で、この映画は、宮崎駿の人生哲学を窺い知ることのできる、バイブル的なものとして観る方が正しいのかもしれません。

少なくとも眞人の正義感や行動力、人間関係、コミュニケーションなどから、古き良き昭和的な生き様を再提案するような形になっているかと思います。

Z世代にはZ世代の考えややり方があって然るべきですが、確かにかつてと比較すれば、勢い、行動力よりも保守的さが目立ちます。(と、一Z世代が言っています笑笑)

この作品はまるで、そんな現代の若者に対して、「君たちはこう生きてみても良いかもしれないよ」と投げかけてくるようです。

また加えて、豊かさに埋もれている現代社会に対する、アンチテーゼとしての性質も感じます。
豊かであるがゆえに苦労しない、苦労を避けることができるが、それは本当に有意義か。困難な選択が後々良い「なにか」をもたらすかもしれないが、その可能性自体を捨てて良いのか?

これまた、書籍「君たちはどう生きるか」に通ずる部分がありそうです。

【宮崎駿の思想《考察》】

宮崎駿という人間の考える世界は、ファンタジーであると同時に、一つの宗教感をあらわすものなのだと思います。

今回に限らず、とことんアニミズム的であり、また、輪廻転生的です。ロマンが感じられますよね。

即ち、宗教家とクリエイターというのは、似たり寄ったりなように感じます。影響力を持ち、時に、人を導くという点で共通しているからです。

私は「君たちはどう生きるか」を鑑賞後、オウム真理教や幸福の科学が製作したアニメーションを思い出しました。
(※勿論、方向性は180度違うと思いますし、特にうち前者については禁忌を犯していますから、そこに関して共通していると述べるつもりは一切ありません。)

非現実的な想像上の世界を描くのには、アニメーションという媒体がある種、最適なのかもしれませんね〜🤔🤔

なお、責任は取れませんが、宗教アニメのURLを以下に掲載しますので、ご興味があればご覧ください。以上、なんだかよく分からないレビューのような何かでした!


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